【12/16日本市場の確認ポイント】
日経平均 28459.72(+0.10%)[28,358~28,525]
TOPIX 1984.10(+0.52%)[1,971~1,988]
東証2部 7474.08(+0.32%)[7,446~7,491]
JASDAQ 3884.86(+0.08%)[3,871~3,896]
マザーズ 999.80(+0.61%)[991~1,013]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+4.87%)
2.精密機器(+2.85%)
3.鉱業(+2.09%)
4.電気機器(+2.06%)
5.医薬品(+2.05%)
値下がりセクターTOP5
1.紙・パルプ(▲0.17%)
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし
昨日は米FOMC通過で不透明感の解消から全面高商状となり、日経平均は2%超の大幅高で29,000円台を回復、TOPIXも2,000ポイントを上回って引けました。マザーズは辛うじて1,000ポイント死守といったところでした。米FRBが金融緩和の縮小および来年の引き締め見通しをより鮮明にしたことで、本来ならば株式市場には逆風となるはずの内容ですが、日米ともにイベント直後の市場反応は大幅高となりました。
利上げ観測が強まったにもかかわらず米国の長期金利は低下したことで、ハイテクグロース株にも資金が向かいやすい環境から、日米ともに半導体関連株の上昇が際立ちました。東京エレクトロン(8035)が3.11%高、アドバンテスト(6857)が5.37%高に、さらには円安から自動車、エレクトロニクス、精密も買われ、インフレ加速で海運株や資源株などにも買いが向かいました。
他方でリスクオンに傾いた相場でもマザーズは一時マイナス圏に沈むなど低空飛行で取引を終えており、本来のリスク選好地合いならば大型株よりも小型株が選好されやすいはずです。ある意味、米国の利上げ観測に素直に反応したのがマザーズとも言え、増配を好感したキヤノン(7751)や今期高配当期待の大手海運株、オリエンタルランド(4661)などが大幅高したことも勘案しますと、債券の代替役となり得る買い安心感のある銘柄を選別する市場特性も透けて見えます。
【米国株概況】
ハイテク株に怒涛の売り圧力、前日上昇の半導体関連株が一斉値崩れのほかアップルやテスラも大幅安、クアドルプル・ウィッチングで個別株オプション清算の影響大
NYダウ 35897.64(▲0.08%)[35,779~36,189]
S&P500 4668.67(▲0.87%)[4,652~4,730]
NASDAQ 15180.44(▲2.47%)[15,119~15,627]
ダウ輸送株 16001.3(▲0.64%)[15,964~16,297]
半導体SOX 3766.3(▲4.27%)[3,748~3,961]
日経平均先物(CME) 28,745(▲0.88%)[28,680~29,150]
ドル/円 113.56~114.25
米10年債利回り 1.412%
WTI原油 71.76
金先物 1799.30
銅先物 4.3000
恐怖指数(VIX)20.57
Fear&Greed指数 28
High Yield Bond 86.45
16日の米国市場では前日に上昇が目立ったハイテク株のナスダックが▲2%超の下落となったほか、半導体SOX指数も前日上昇分以上の下落となり、米FOMC後の楽観ムードを打ち消しました。米国債の利回りは短~長全ての年限で低下したにもかかわらず、株価への影響は全く逆の結果となっています。VIX指数が18ptから22ptへ急上昇したことからも、にわかに質への逃避が進みハイテク株売りにつながったものとみられます。
NYダウでは11セクター中8セクターが上昇し、米アップルや米マイクロソフトなど大型ハイテク株の下落を金融株や景気敏感株の上昇で相殺しましたが、ナスダックは米エヌビディアをはじめ半導体関連株が前日の反動もあり軒並み大幅安となり、米テスラも▲5%超の下落となりました。
今晩には米国版メジャーSQであるクアドルプル・ウィッチングが控え、投機色の強い個別株オプション取引が活発な米国では、ここでの強弱感が現物市場に大きな影響を及ぼしていると考えられます。オプション清算に伴い実勢価格以上に吊り上げられた株価は、メッキが剥がれることでその反動が出やすいとみられます。
ただし、オプション絡みの動きはここで一旦リセットされますので、先行きに関してはやはり米FOMCの材料を消化した後が焦点となります。米国債の利回り低下がリスク回避で一時的なものなのか、あるいは上昇したハイテク株を利益確定した資金を債券にプールする投資家の動向を色濃く反映したものなのか検証が必要です。
もし前者の場合は足元の金価格が再び1,800ドルに接近してきましたので何らかのリスク要因、例えば地政学リスクなどを警戒する必要があります。一方で後者の場合には、今後株価が上昇する局面において上記と逆に債券から株式に資金を流すフローになると考えられますので、金利と株価は相関関係で上昇傾向となる可能性を示唆しています。すなわち、グロース株よりも金利上昇耐性の強いバリュー株シフトが起こると考えるべきでしょう。
【日本株投資戦略】
日経平均29,000円台回復でひと安心も定着には黄色信号、米国市場でのハイテク株総崩れが指数の重しに
米FOMC通過をまずは好感して日経平均は再び29,000円台に乗せることができました。一次反応としての物色傾向は、米長期金利の利上げ観測に対する上昇が限られたことで懸念が払拭されたグロース株の買戻しが優勢となったことです。とくに半導体関連株は製造装置メーカー中心に幅広く買いが波及したことで、半導体国際展示会の開幕で半導体戦略推進議員連盟の会長である甘利氏が日本の半導体政策について、「10年で10兆円投資」をほのめかしたことも支援材料になったものと思われます。
▼半導体の国際展示会開幕 甘利氏「10年で10兆円投資を」(2021/12/15)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC153B60V11C21A2000000/
ただし、その一方で日本株におけるグロース代表であるソフトバンクG(9984)や不動産株など将来の金利上昇が逆風となるレバレッジ型経営の企業は敬遠されやすかったとみられ、新興企業が多いマザーズは全く冴えない動きになったことからも、単純なリスク選好で全面高というわけでもなく選別色が強い相場だったと言えます。よって、今後の上昇局面においても昨日の反応が鈍かったところは投資家の物色が期待しづらい時期が続くかもしれません。
また、昨日はあくまでもイベント直後の一次反応の結果ということで、今後の米長期金利の動向次第では本格的に金利上昇し始めた場合、グロース株にはやはり逆風となって波乱の展開になりやすいことも留意が必要でしょう。この点は米国株のナスダックの金利耐性を注意深く監視し続けるのがよいと考えられ、銘柄選別にあたっては二次反応として目先の調整局面で押し目を作った際にグロースorバリューの底堅さを確認すれば判別しやすいはずです。
とくに今週はまだ欧州ECBや日銀金融政策決定会合をふまえての市場反応を見極める必要があり、インフレに対する両者の見解で改めて金利が反応し始める可能性もあります。また、グロース株をめぐってはやはり米国の先物・オプション清算後の米アップルや米テスラなど人気ハイテク株の動向を確認する必要がありますので、二次反応として来週前半の動きの中から新高値更新してくる銘柄にトレンドフォローでついていくスタンスが望ましいでしょう。
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