【12/15日本市場の確認ポイント】
日経平均 28459.72(+0.10%)[28,358~28,525]
TOPIX   1984.10(+0.52%)[1,971~1,988]
東証2部  7474.08(+0.32%)[7,446~7,491]
JASDAQ   3884.86(+0.08%)[3,871~3,896]
マザーズ  999.80(+0.61%)[991~1,013]

値上がりセクターTOP5
1.輸送用機器(+2.47%)
2.証券・商品先物(+2.17%)
3.サービス(+1.62%)
4.鉄鋼(+1.49%)
5.農林・水産(+1.25%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲2.99%)
2.精密機器(▲0.97%)
3.ゴム(▲0.76%)
4.紙・パルプ(▲0.63%)
5.医薬品(▲0.58%)

 市場が注目する米FOMC前に全体として様子見ムードが強まる中、巨額のEV投資を表明したトヨタ(7203)の大型材料で自動車関連株が一斉高となりました。トヨタ自動車が3.59%高、豊田通商(8015)が5.83%高、デンソー(6902)が4.24%高、取引先として関連の深い三井ハイテック(6966)の6.76%高や大豊工業(6470)の6.30%高などの上昇も目立ちました。
 他方でリチウムイオン電池関連にも物色が波及し、EV用の酸化鉄を手がける戸田工業(4100)が8.83%高、田中化研(4080)が13.13%高、ニッポン高度紙工業(3891)など中小型株の中にも材料に反応した連想買いを呼び込むものが多くみられました。

 セクター別にはバリュー株の見直し機運が高まり自動車を筆頭に鉄鋼が上位に食い込んだほか、鉱業・銀行なども強含みTOPIX優勢の底堅い動きを見せました。その一方、軟調さが目立ったのは欧州でバルチック海運指数が大きく下落した海運株。商船三井(9104)が一時▲5%超の下げとなったほか、川崎汽船(9107)は▲7.14%で取引を終えました。

 日経平均は半導体関連の東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)が弱含みましたが、トヨタ系銘柄の大幅反発が下支えして相殺し、前日比変わらずの水準でもみ合いに終始しました。12/10に大幅安した後も売り込まれていたリクルート(6098)が大きく反発し、サービス業セクターも値上がり3位に食い込んできました。

【米国株概況】
FOMC通過で不透明感が和らぎリスクオン、事実上の緩和終了もひとまずは来年3月までの楽観継続に期待感

NYダウ 35927.43(+1.08%)[35,389~35,943]
S&P500  4709.85(+1.63%)[4,611~4,712]
NASDAQ 15565.58(+2.15%)[15,055~15,575]
ダウ輸送株 16104.0(+0.60%)[15,954~16,157]
半導体SOX 3934.5(+3.69%)[3,757~3,939]
日経平均先物(CME) 28,865(+1.39%)[28,210~28,880]
ドル/円 113.63~114.26
米10年債利回り 1.465%
WTI原油 71.27
金先物 1776.85
銅先物 4.2453
恐怖指数(VIX)19.29
Fear&Greed指数 -
High Yield Bond  86.81

 15日の米国市場は米FOMC前で売買が手控えられ続落商状でスタートしましたが、FOMCイベントの通過で不透明感が和らいだことにより急速に買戻しが進みました。NYダウは再び36,000ドルに接近、S&P500も最高値圏の4,700ポイント台に乗せてきました。直近の軟調さが目立っていたハイテク株のナスダックも2%超の反発となり、中でも半導体関連が総じて力強い反発を見せました。

 注目されたFOMC後のパウエルFRB議長発言ではゼロ金利を維持する一方で、インフレ圧力の高まりをふまえて資産購入の減額ペースを倍増させ、3月中旬までに資産保有額の増加を止める見通しを示しました。
 これまでのインフレは一時的としていた表現は削除され、量的緩和の早期終了(従来は2022/6予定だったものを3カ月前倒し)および来年の利上げ見通しも2回から3回へ、再来年も3回とする方向へ軌道修正しました。場合によっては早期利上げに動くことも視野に、より適切な政策対応を可能にすると事実上の金融緩和策の終了を宣言したことになります。

 市場の受け止め方としては、テーパリング(資産購入の減額)加速や来年前半での利上げ開始は事前に織り込み済みで、利上げペースに関してはややタカ派の印象が強まったとみられますが、ひとまず不透明感解消からリスクオンと捉えたようです。中期的には株価の上値が抑えられる環境が示唆されたわけですが、足元のマネーは引き続きジャブジャブの状態で、とりあえず来年3月までは大丈夫だろうとの認識が広がったとみられます。
 コロナ禍において「YOLO」(=You only live once:人生は一度きりだから今を楽しもうぜ)価値観が強まっている米国らしく、市場センチメントも楽観ムードが支配的になっていることをよく表した市場反応と言えるでしょう。

【日本株投資戦略】
FOMC通過後の米国株高で市場心理が改善、日経29,000円に再びトライ

昨晩の米国市場で米FOMC後のパウエルFRB議長会見が進んでいくとともに反発を強めた米国株の動きをうけて日経先物も28,800円台を回復しています。12月配当落ち分を考慮しなければ28,900円付近の水準である中、昨日のバリュー株見直しの動きに加えて米国同様にハイテク株が素直に買われるかに注目です。

 FOMC結果は直後の市場反応はさておき事実上の金融緩和終了をアナウンスメントした形で、パウエルFRB議長の見解どおりにインフレ高進となれば米長期金利は上昇基調を強めていくこととなります。その割に米10年債利回りの上昇は比較的穏やかだったと言えますが、金利上昇はハイテク株など高PER銘柄にとっては逆風となるはずだからです。

 日本市場においても本日は堅調な地合いを引き継ぐとみられますので、日経平均29,000円、TOPIX2,000ポイント、マザーズ1,000ポイントといったそれぞれの大きな節目を無事にクリアして、かつ定着できるかまでを見極めていく必要があります。

 FOMCのようなイベント直後の反応は企業決算のガイダンスと同様に、一次反応で株価が上昇あるいは下落しても、材料を消化する間に逆方向へ転換してトレンドを作る場合もあるからです。ポジションを取る際は一次反応で試し買い、二次反応を見極めてから本格買いと投資タイミングを分けていくことも重要です。戻り売りが待ち構えている場合は一次反応で飛び付くよりも押し目を作った時の方が安く拾うことができるのもメリットです。

 とくに今週末から来週前半のところまでで上記の水準を定着できるようであれば、中国の不動産リスクやオミクロン株警戒のリスクに懸念が高まっても一時的な売り圧力であれば吸収可能で、年末に年初来安値を更新するといった懸念も和らぐことと思います。10月からおよそ3カ月続いた下落相場もこれで一旦トレンドの転換点を迎えたと言えますので、来週のリスクイベントへの対応は買い向かう姿勢で臨みたいところです。

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