イチから考えるお金のこと
-入門編⑦-

第7回のまねまねコラムはお金について考え始める際、入門編⑦として具体的にどんなことから考えていくのが良いのか、初めに知っておくべきことは何なのかについて述べていこうと思います。

前回は「20世紀以前のお金の歴史と金本位制の確立」について、世界がお金の共通概念を統一し通貨価値の安定を図るために中央銀行を設立した過程をみていきました。さらには第一次世界大戦を機に基軸通貨が英ポンドから米ドルへと移行していく過程で、実際にお金のルールも変わっていった一例を示しました。

今回はそこから米国が世界の中心的役割を果たす存在になっていく中で、それまでのお金のルールでは金(ゴールド)の保有量によって発行できるお金の量が決められていたものが実際には金(ゴールド)保有分の何倍もお金が発行されるようになり、またしてもルール変更せざるを得なくなった過程をみていきたいと思います。

これによって「お金のルールってそんなに頻繁に変わるものなのか?」という捉え難い現実が浮かび上がり、そして今この瞬間にもルール変更がなされようとしていることへの理解もしやすくなるかと思います。

世界大恐慌と金本位制の放棄

前回は終わりの方でさらっとふれた程度でしたが、お金の歴史上でもっとも衝撃的な出来事はなんといっても1929年の世界大恐慌です。これは社会の教科書などにも必ず登場すると言ってよい程あまりにも有名ですが、これまでも多くの経済学者によって研究がなされてきました。

この世界大恐慌がどのようにして起きて、その後の世界にどんな影響をもたらしたのかを知ることは、混迷極まる今の時代を生きる私たちにとっても実は大変重要な教訓となるものだからです。

1929年10月、米国の株価大暴落をきっかけに世界の景気はその後1933年まで停滞、というより沈滞し続けました。それまでの第一次世界大戦が終了した後の1920年代は、当事国が戦後復興に邁進したことで需要が喚起され、米国の産業は工場の増大とともに飛躍的な成長を享受していました。

1929年の米国経済は好景気真っ只中で企業は急成長を遂げるとともに、株式市場では狂騒の宴さながらに株価が上昇していました。参考までに、米国の代表的な株式指数であるS&P500を例に1920年頃をみ...

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