イチから考えるお金のこと
-株式投資・中級編⑩-
第30回のまねまねコラムは中級編として、お金を増やす段階での実践的な知識をまとめていきます。お金についての基礎を学びながら人生の土台として必要最低限の蓄えができた後は、積極的にお金を増やすための行動・考えが大事になります。
前回はこれまで学習した金融政策や金利が、私たちの実生活にも影響を及ぼす景気の循環という現象を理解するとともに、それが株式市場でどのようなお金の動きにつながって株価というものが形成されるのか詳しくみていきました。株式市場のサイクルについても理解しておくことで、適切な時期を見計らって投資判断するための重要なヒントが得られ、利益獲得の機会をうまく捉えることができることがお解りいただたかと思います。
勝つ投資家に共通するのはその時々の市場環境に応じたリスクと期待リターンを適切に見極めて、勝ちやすい局面では果敢にリスクを取り、難しい局面では極力リスクを抑えながら柔軟に対応していく姿勢が徹底されていることです。
では反対に、多くの投資家が勝てていないという現実もあるのはどうしてなのか、今回はその根本的な理由とその解決策も探っていくことにしましょう。
多くの投資家が勝てなくなる理由
投資経験者の方であればおそらく誰もが最初に経験することですが、投資の初期段階で派手につまずいてしまうとなかなか抜け出せなくなる失敗事例からまずはご紹介させてください。
株式投資に限った話でもないのですが、リスクを伴うゲームに参加するとき初めのうちは利益よりもリスクを恐れて少額資金から始めてみると思います。株式投資という場合、現役を引退して退職資金運用などで最初から大きく投資する方もいたりしますが、ほとんどの方はリスクを慎重に見積もることから始めることでしょう。
そして投資の王道的な長期投資のつもりで、まずは誰もが知っているような企業、つまり国際優良株の売買からスタートしてみます。やはり安心感があって値動きもそこまで激しくない(一部を除き)ので、保有しているうちに前回解説したような市場サイクルで順番が回ってきて物色資金が集まり、思いのほか値上がり益を享受できたりします。
次第に株価変動のクセや市場のボラティリティ(変動幅)にも慣れてくるようになり、ある程度売っ...
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