イチから考えるお金のこと
-株式投資・中級編⑨-
第29回のまねまねコラムは中級編として、お金を増やす段階での実践的な知識をまとめていきます。お金についての基礎を学びながら人生の土台として必要最低限の蓄えができた後は、積極的にお金を増やすための行動・考えが大事になります。
前回は金融システムと通貨、つまり実質的に「お金」を司っている中央銀行の役割と、そのお金を【金利】、【通貨量】を調整するという手段を通じて実体経済における景気を適切にコントールしながら経済成長の安定化と極大化を図っているといった、経済全体のメカニズムについて解説をしました。
簡単にまとめますと、金利を下げることで景気を刺激し、金利を上げることで景気の過熱を抑制するという理屈になります。これによって景気には一定のサイクルが生まれ、私たちの経済活動や暮らしに大きく影響を及ぼすことも同時に理解できたかと思います。
そこで今回はさらにこのサイクルに着目し、中央銀行の金融政策によってもたらされる景気サイクルの流れを俯瞰するとともに、現状がサイクルのどの地点に位置しているのか、そして未来はどういった軌道を辿りながら進んでいくのか、といった着眼点を持つことの重要性について解説していきます。
それによって、金融市場の一つを構成する株式市場にも一定のサイクル(相場サイクル)が存在することを学んでいただき、実際の投資に活かしていく方法についても述べていきます。論理的にそうなる確率が高いという基本的事実を知識として蓄積していけば、自ずと市場に参加するプレーヤーたちに対して優位性を確保できることになります。
それは日夜揺れ動くマーケットで投資判断を迫られる様々な局面において、つねに最適な選択をし続ける投資家になる上での非常に有用な武器となるものです。
金融政策および金利との関係からみる景気サイクル
まず、景気サイクルの出発点として景況感の底打ちというものを起点にした時、いち早く上昇に転じてくるのが株価および長期金利です。そして、現在の世界経済のしくみとして米国の景気が回復に向かい、消費が拡大することによって米国に輸出している国々、新興国の景気もやがて回復に向かうことになります。
以前、景気とはヒト・モノ・カネの動きで決まるという基本原則について解説しました...
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