【11/25日本市場の確認ポイント】
日経平均 38,780.14(+1.30%)[38,672~39,053]
TOPIX 2,715.60(+0.71%)[2,713~2,734]
マザーズ 638.18(+0.53%)[636~642]
値上がりセクターTOP5
1.サービス(+2.11%)
2.保険(+2.10%)
3.医薬品(+1.48%)
4.化学(+1.42%)
5.陸運(+1.37%)
値下がりセクターTOP5
1.鉄鋼(▲0.88%)
2.非鉄金属(▲0.68%)
3.水産・農林(▲0.48%)
4.空運(▲0.44%)
5.建設(▲0.42%)
日本市場は次期トランプ米政権による政策期待から11月米総合PMIでの改善も示され米株高となった流れをうけて連れ高、日経平均の上昇幅は一時700円超を記録するなど幅広い業種に買いが広がりました。トランプラリーの特色的な景気敏感株を選好する動きに加え、週明けの為替市場がやや円高での推移となる中で内需系の陸運やサービスなどに強い買いが観測されました。
寄付き後早々に日経平均39,000円台を回復して朝方の買い一巡後は戻り売りに押し戻される場面もありましたが、軟調が目立っていた東京エレクトロン(8035)やソフトバンクG(9984)、ファーストリテイリング(9983)など日経寄与度の大きい主力値がさ株の買戻しが優勢。また、旧村上ファンド系の大量保有観測から京成電鉄(9009)などの大幅高に刺激され他の鉄道株にも連想買いが波及、直近上場の東京メトロ(9023)においては最高値更新の動きにつながりました。
もっとも、指数主導で上値を抑えられてきた日本株においては日米の金利上昇に一服感がでてきたことが大きく、これで戻り売り圧力もだいぶ収まってくるかもしれません。トランプラリーや日銀追加利上げ観測を追い風に上昇してきた金融株買いが一巡してくるにしたがい、今度は反対に金利低下や値ごろ感などに着目してのセクターローテーションが期待できるようにもなりそうです。
【米国株概況】
トランプ人事に安心感からトランプラリーの再開、米金利低下で各リスク資産に幅広い恩恵も
NYダウ 44,736.57(+0.99%)[44,385~44,815] 【高値更新】
S&P500 5,987.37(+0.30%)[5,963~6,020] 【高値更新】
NASDAQ 19,054.84(+0.27%)[18,969~19,208]
ダウ輸送株 17,754.4(+2.23%)[17,457~17,845]【高値更新】
半導体SOX 4,988.4(+0.66%)[4,955~5,031]
日経平均先物(CME) 38,795(+0.14%)[38,600~39,075]
ドル/円 153.55~154.74(高値161.99:7/3、安値127.46:2023/1/3)
日10年債利回り 1.067%(高値1.104%:7/3、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.278%(高値5.000%:2023/10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 69.08(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:2023/5/4)
金先物 2650.50(高値2,801:10/31、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 4.163(高値5.199:5/20、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)14.60(高値65.73:2024/8/5)
SKEW指数 167.28(安値110.34:2022/11/3、高値170.52:2/13)
Fear&Greed指数 61(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)79.79(安値70.30:2022/10/13)
米国市場はトランプラリーの一服感を意識しながらも次期トランプ政権の閣僚人事が相次いで発表される中で次第に警戒感も緩和、トランプラリーの第二幕がすでに開始したかのようでNYダウ、S&P500はともに最高値更新。さらに米景気を象徴するダウ輸送株指数のほか小型株指数のラッセル2000も前週からの連騰が続き、ついには2021年以来の最高値更新を成し遂げました。
トランプラリーといえば株高、金利高、米ドル高に加えて仮想通貨高に大きな特徴があり、前週末にかけてのところでは各資産の膠着感が浮き彫りとなっていましたが、金利上昇やトランプ人事への警戒感も薄れたことにより株価も再び上値トライするようになってきたものとみられます。この過程において米金利上昇のピッチが早かったこともあり株価も調整を挟み、典型的なトランプラリーの中でもハイテク株や小型株の下落が目についた一方、景気敏感の金融やエネルギーをはじめオールドエコノミー株は比較的底堅く、仮想通貨にいたってはラリー継続で最高値更新の日々が続きました。
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この金利上昇ペースには次期トランプ政権下における米財政の悪化やトランプ2.0政策の不確実性に伴うリスクを反映してのものとみられますが、米景気における今後の景況感は米総合PMIの改善からも期待が膨らみ始めています。米経済指標の改善が米FRBの追加利下げを見送る理由にもつながる可能性はあるものの、トランプ政権人事における新財務長官選定の混乱にかねてより有力視されてきたベッセント氏が就任することに落ち着いたことを考えれば、総合的に市場はこれを好意的に受け止めたとみなすことができるでしょう。
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米債市場ではトランプ政権人事が異例とも言えるほど矢継ぎ早に発表される中で米10年債利回りは4.5%近辺で頭打ちとなり、米国債の押し目買いが優勢となってきました。これに伴い米国株でもさらなる上値を見越したリスクテイクの波が広がっているとみられ、トランプラリーの再開がそのまま年末ラリーにつながっていくとの見方が復活しています。米国市場は今週28日に感謝祭を控える中、トランプラリーの象徴とも言える小型株のラッセル2000が最高値更新したことからもわかるように、次期トランプ政権の不透明要因が晴れ、極端な財政拡張政策や選挙前の関税政策などにおいても現実的な路線を辿るとの安心感が投資家の楽観を後押ししているものと考えられます。
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米金利についてはまだ安心できると言い切れないまでも昨日は短期から長期まで各年限にわたり広く低下し、米10年債利回りは4.3%を割り込むに至りました。米財政拡張に伴う米国債増発懸念の緩和や新しいベッセント米財務長官の選定に伴う不透明感の払拭によりタームプレミアムが低下したことが背景にあることは間違いなく、ベッセント氏が掲げる「3本の矢政策」①実質成長3%、②財政赤字のGDP比3%まで削減、③エネルギー(原油ほか)増産に伴うエネルギーコスト低下はいずれも米株高要因となり、米金利低下や原油価格の低下などもこれを強力に手助けする要因と考えられます。いまや米国では米FRBの報告からもわかるようにインフレよりも米財政の持続可能性に焦点が当てられることとなり、米金利の安定からもたらされる恩恵はとてつもなく大きいと言えます。米国株のみならず金融市場全般においてのリスクテイクを促す一助になると考えられ、さらには膨大に積み上がった待機資金の雪解けにもつながる期待が持てるものかと思われます。
◆FRB金融安定報告、インフレより債務の持続可能性が最大のリスク(2024/11/23)
◆【米国市況】国債と株上昇、ベッセント・ラリーの様相-154円台前半(2024/11/26)
◆【随時更新】第2次トランプ政権の主な顔ぶれは 主要人事を一覧(2024/11/13)
【日本株投資戦略】
円高、金利低下で日銀追加利上げ観測が後退も、年末の配当再投資マネーが日本株好転の頼みの綱に
日本市場は米株高でトランプラリー再開の機運が高まりを見せる中、日米ともに長期金利の低下を手がかりに見直し買いを誘発。日経平均は一時39,000円を回復し25日の売買代金も久しぶりに6兆円超えを記録するなど、年末ラリーの足音が聞こえてきたとの声も聞かれます。
◆日経平均一時700円高 年末リスクオン相場の足音(2024/11/25)
米国ではトランプラリーの熱気に包まれながらも日本株は従来どおりの為替円安=株高は不発で、むしろ日銀の追加利上げ観測や金利上昇が意識されて上値限定的となりました。日本株のゆくえを左右する半導体株も米エヌビディア決算待ちで通過とともに反転上昇の期待がありましたが、これも影響は限定的で米国による対中半導体規制をめぐる懸念が上値を抑えることとなっています。
こうした懸念は既出材料でありながらも具体的な内容がいっこうに公表されず不確実要因として半導体株の上値を阻んできたわけですが、どうやら今週の米感謝祭前にリストが公開されるとあって、この中に日本企業がどれくらい含まれるのか懸念が広がっているものとみられます。裏を返せば米国の対中規制強化の話はもう半年以上も前から進められてきた議論であり、ようやく実施段階に入ったということとともに不透明感・警戒感の後退につながり、悪材料出尽くしの機会となるかが注目されます。また、今朝にはトランプ次期米大統領が中国への10%追加関税を発表、株式市場ではトランプ政権移行前に対中規制強化にまつわる悪材料を織り込み済みとなるかもしれません。
◆◆米、対中半導体規制強化へ 最大200社制限リストに追加=商工会議所(2024/11/25)
◆トランプ氏の対中強硬、日本身構え 半導体市場失う懸念 ートランプ2.0 ビジネス大転換ー(2024/11/25)
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また、日本株の戻り売り圧力を強めたのは国内金利の上昇および日銀の追加利上げが従来の1月実施観測から年内12月の会合に前倒しされるとの観測が浮上してきたからです。これには日銀から明確なシグナルが発せられたわけではなく、あくまでも市場が日米選挙後の為替円安のペース加速やトランプラリー下での金利先高観や金融株上昇に拍車がかかったことで憶測が独り歩きした面も否めません。日銀も先週の植田総裁が会見で市場の勇み足を牽制したり否定するでもなく市場の懸念は拭いきれずでしたが、足元で為替は円安一服、長期金利もひとまず1.1%近辺で上昇一服となりましたのでひとまず市場の織り込みも気が済んだと言えるかもしれません。
◆債券は上昇、米金利低下の流れ-日銀の追加利上げ観測は重し(2024/11/25)
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正直、金利動向に関しては日米ともに油断できる状況にはないのですが、元々市場は日銀の追加利上げを前倒しするかもしれないという論拠としてトランプラリーで勢いついた為替の円安基調が再びドル円160円に到達もということを意識したものであったかと思います。しかし、先週あたりから米ドル円の上値が重くなっており、直近では金利上昇にも一旦の歯止めがかかってきたことを鑑みれば日銀の12月利上げ可能性は多少なりとも薄らいだのではないかと思われます。
◆今年も「12月の日銀リスク」 外為市場、欧州通貨カギ(2024/11/25)
足元の動向では日本株が米国株高すなわちトランプラリーや年末ラリーに取り残されるリスクが無いとも言い切れませんが、昨日の売買代金を伴った上昇や下記の年末配当金の日本株還流に期待を寄せることもできることでしょう。とくに米国市場では小型株ラッセル2000の高値更新にみられるようにリスクマネーの動きは活発であることもふまえ、日本株も需給好転までもうひと踏ん張りというところまできていることを認識して取り組みましょう。
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