【10/7日本市場の確認ポイント】
日経平均 39,332.74(+1.80%)[39,195~39,560]
TOPIX 2,739.39(+1.68%)[2,728~2,752]
マザーズ 650.01(+0.43%)[648~656]
値上がりセクターTOP5
1.銀行(+3.92%)
2.保険(+3.60%)
3.証券・商品先物(+3.50%)
4.その他製品(+3.18%)
5.サービス(+2.70%)
値下がりセクターTOP5
1.紙・パルプ(▲0.10%)
2.空運(▲0.02%)
3.海運(▲0.01%)
4.鉄鋼(▲0.01%)
5.不動産(▲0.01%)
日本市場は前週末の米雇用統計により米景気減速懸念の緩和および為替の米ドル高円安の加速を受けて日経平均は大幅高、銀行はじめ金融株が総じて強くTOPIXも同様に9/27以来の高値圏に浮上しました。9月末の「石破ショック」以降、為替ドル円は141円台から149円台に短期間で急反転の動きとなっていることをうけて金融当局が急速な円安にけん制発言、円安一服とともに株価の上値も抑えられた面がありました。
為替水準では9/27時点の「高市トレード」天井をすでに突破したものの、半導体ほか外需株の出直り反応に鈍さが目立ち日経平均は引き続きファーストリテイリング(9983)主導の展開。全体相場では為替円安に回帰とはいえやはりまだ内需株の方に上値の軽い銘柄が多く、製造業よりもサービス業の優位が際立っています。
選挙相場の幕間つなぎとして中小型株の躍進を期待したいところですが、市場関心の高い為替や米中景気動向に注目すべきポイントが多く大型・主力株が引き続き物色の中心となっています。人気テーマ株の物色意欲は健在ながら日米金利上昇のターンに戻ってきたことで利益確定売りが出やすい一方、積極的に上値を買う動きは控えられやすいと言えそうです。
【米国株概況】
強い米雇用統計でも金利急上昇で米株の上値抑制的、米利下げ観測の低下と再び注目度高まるインフレ指標
NYダウ 41,954.24(▲0.94%)[41,831~42,293]
S&P500 5,695.94(▲0.96%)[5,686~5,739]
NASDAQ 17,923.90(▲1.18%)[17,900~18,096]
ダウ輸送株 15,782.7(▲0.20%)[15,649~15,801]
半導体SOX 5,197.5(▲0.18%)[5,162~5,243]
日経平均先物(CME) 38,915(▲1.16%)[38,755~39,855]
ドル/円 147.85~149.12(高値161.99:7/3、安値127.46:2023/1/3)
日10年債利回り 0.929%(高値1.104%:7/3、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.028%(高値5.000%:2023/10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 77..58(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:2023/5/4)
金先物 2662.60(高値2,718:9/27、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 4.557(高値5.199:5/20、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)22.64(高値65.73:2024/8/5)
SKEW指数 155.57(安値110.34:2022/11/3、高値170.52:2/13)
Fear&Greed指数 70(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)79.26(安値70.30:2022/10/13)
米国市場は前週末の9月米雇用統計をうけて債券金利が急上昇、米10年債利回りが再び4%台を回復して米景気懸念を一掃するとともに追加の米利下げ観測が後退しました。米金利上昇をうけて為替は米ドル高となりドルインデックスはおよそ2か月ぶりの水準に上昇、米国株もNYダウが再び最高値更新の動きとなりました。
9月米FOMCにて大幅利下げを決行した米FRBの次の一手を探ろうと注目された米雇用統計では市場予想14万人増に対し25万人増と大幅に上振れしたほか、米景気懸念の拠り所となったサーム・ルールにおけるシグナル点灯が警戒されていた失業率が予想に反して4.1%へと低下したことを受けて米景気のソフトランディングがほぼ確実視されるとの見方につながりました。さらに米債市場では11月FOMCでの大幅利下げ確率がほぼ消失し、まだ通常どおり0.25%利下げは行われるとの見方を残しつつも一部では利下げスキップの可能性も取り沙汰され始めました。
◆◆米雇用者数の伸び、9月は全予想上回る-失業率は4.1%に低下(2024/10/4)
◆11月の米利下げ、50bpの織り込みゼロに-雇用統計受け米利回り急伸(2024/10/4)
◆「ノーランディング」シナリオ復活、堅調な米雇用統計で景気過熱懸念(2024/10/7)
米景気指標においてインフレ抑制および米労働市場の悪化が利下げ転換を正当化する根拠としてきただけに米景気が底堅いのであれば米利下げ不要論が台頭してくるのも無理はありません。ましてや米国経済がソフトランディングどころかノーランディングという話まで持ち出されてしまうくらい今回の米雇用統計は強すぎという印象を与えたのかもしれませんが、ただ昨今の米雇用統計は事後修正が高頻度で相次ぎ信頼が薄らいでいるほか、とくに今回にいたっては選挙にからむ政府部門のスポット雇用が急増して民間部門の縮小を補って余りあるなど季節性以上のイレギュラーが含まれているとの指摘もなされています。
米景気をめぐる議論はひとまず過度なリセッション懸念が払拭されるとともに再びインフレ動向にも関心が向けられることになりそうで、今週は10日に米CPI(消費者物価指数)が翌11日に米PPI(生産者物価指数)が控えます。歴史的インフレが収束に向かっていることが確認されれば米金利が一定以上に上昇することは無いと思われますが、つい先日までは米長期金利3.5%付近まで低下していましたから足元の4.0%台突入で債券プレーヤーはヒヤヒヤしているかもしれません。何らかの拍子に米金利が急伸してしまった場合には株式市場も無傷ではいられず、米景気が実際にソフトランディングを実現しても金融市場では動揺する場面が出てくるかもしれません。
◆米物価指標、労働市場重視のFRBに安心材料か-10日にCPI発表(2024/10/6)
そもそも米株市場は最高値圏を推移しており何らかのリスク要因を理由にいつ利益確定売りが出てもおかしくない状況です。また、米大統領選も来月に迫ってきた中で米企業は決算発表が相次ぎますから発表前後での調整売り圧力は避けられなくなります。市場ではミクロ材料よりも金利動向が落ち着きを取り戻すことの方が先決かもしれませんが、先陣を切る金融株は今後の利下げ環境に対する見通しのほかアップル、テスラやアドバンスト・マイクロ・デバイセズなど製造業の動向も今後は重要になってきそうで、決算の内容以上に思惑交錯による株価反応が大きくなりやすいことも覚悟しておくべきでしょう。
◆試されるS&P500種の8兆ドルラリー、企業決算発表が今週本格化へ(2024/10/7)
【日本株投資戦略】
為替円安を追い風に再び日経平均4万円接近、当局の為替円安けん制と金利上昇が日本株の上値抑制
日本市場は為替の円安基調を株高支援材料としながら外需株の持ち直しにつなげた一方、足元では反転後の急速な円安に対して通貨当局がすかさず牽制する姿勢をみせたことで日本株も上値抑制となっています。中東情勢への警戒感もくすぶる中、できるだけ貯金を作っておきたい日本株にとって政府・日銀の対応が不透明要因として加わることは逆風と言わざるをえませんが、かといって為替市場が企業業績に及ぼす影響も定まりきらない中で株価だけ日経平均が4万円を突破してぐいぐい上値を追う姿も想像できないでしょう。
◆円は対ドルで148円台前半、三村財務官の発言受けて円買い戻し(2024/10/7)
米中景気への懸念が後退するにしたがい世界の景気敏感株たる日本株が見直される要素は十分あるわけですが、米中ともに製造業の回復においては不十分であるのもまた事実。日本の産業の中心に位置づけられてきた製造業は自動車にしろ半導体にしろ未だ下値圏で右往左往するだけにとどまり、日本株の回復もサービス業や小売業などが中心となっているように見受けられます。
市場がこれから気にするのは景気悪化・利下げ・金利低下よりも金利上昇の中身ということになるものとみられ、景気動向を気にしつつインフレ再燃や各国財政の信頼性低下によるといった悪い金利上昇も懸念の選択肢に入れておかなくてはならなくなります。もちろん単調かつ連続的な利下げサイクルから外れる可能性が出てくることで先行きの不確実性が高まり、中立金利への到達時期見通しにも狂いが生じることにもつながるでしょう。その時、日銀はすでに周回遅れの利上げサイクルにある中で各国中銀とは足並みがズレている現状、世界がややタカ派にユリ戻されることは追加利上げを模索する日銀にとっては追い風となるかもしれません。
昨日は世界の米雇用統計後の金利上昇を受けて日本の金利市場でも軒並み急騰となり、日本10年債利回りは0.93%まで舞い戻りました。日本株においては金利上昇が追い風となる金融株が買われ、反対に逆風となる不動産株やグロース株が売られやすくなっています。世界的な金利上昇の波はしばらく続くものとみられ、ここから1週間から10日程は各マクロ経済指標の発表や欧州ECBなど中銀政策のタカ派トーンなどの市場織り込みが必要になるかと思われます。
これらに加えて日本市場は世界の中でも断トツで地政学リスクへの感応度が高い市場でもあることは実証済みであり、引き続きイラン・イスラエルの中東情勢やそこから派生する原油や金などの商品市況の動向、そして為替の円高揺り戻しなどを警戒しておかなくてはならないでしょう。前回取り上げたように国内政治では衆議院解散で選挙スケジュール期間に突入するほか、海外勢による日本株投資スタンスの変化など期待材料もありますので言わば強弱材料の交錯といったところでもみ合う展開が想定されます。
よって、日経平均は引き続き高いボラティリティの中で乱高下を強いられやすいことを前提に、個別株では直近レンジ内を往来する銘柄がほとんどになるかと思われます。その反面、明確にトレンドが確認できるような銘柄は稀有で存在感が増すことと思われます。金融株のほかに長らく低迷してきた出遅れ内需株、さらに好業績期待株などで直近のレンジ内上下にとどまる銘柄は度外視し、明らかにもみ合い上放れとなった銘柄を物色してみるのが有効かと思います。