【4/10日本市場の確認ポイント】
日経平均 39,581.81(▲0.48%)[39,510~39,708] 
TOPIX   2,742.79(▲0.43%)[2,739~2,752]
マザーズ   702.37(+0.12%)[701~709]

値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+2.68%)
2.非鉄金属(+0.95%)
3.海運(+0.59%)
4.ガラス・土石(+0.45%)
5.建設(+0.44%)

値下がりセクターTOP5
1.保険(▲1.74%)
2.医薬品(▲1.23%)
3.その他金融(▲1.14%)
4.卸売(▲1.09%)
5.機械(▲1.02%)

 日本市場は前週末の日経平均39,000円割れから持ち直して4/9には25日移動平均線を回復しましたが、米インフレ指標や日銀の次回利上げ観測による不透明感から様子見ムード。売買代金が久しぶりに4兆円割れとなる中、日経寄与度トップのファーストリテイリング(9983)軟調や医薬品株などの下落が重しとなっています。

 一方、指数寄与度の大きい半導体株は世界中で設備投資増加の好材料が伝えられ、東京エレクトロン(8035)やレーザーテック(6920)などが買い戻されて相場を下支えする展開。関連銘柄の個別株物色も復活の兆しをみせた他、米ビッグテックによる日本でのデータセンター投資増強なども報じられ、電力需要増期待から電力株やその周辺株に思惑買いも活発になりました。

 中小型株も日米の金利上昇警戒が強まりつつある中、グロース250指数が700pt台を回復して下値警戒がやや緩和されました。しかし売買代金は低迷したままで自律反発の域をでません。個別では半導体・AIをはじめ国策にからむ水素や宇宙開発など材料思惑株の物色が一部で活発化している様子もみられ、多くの銘柄が底値反転を模索している状況とも言えそうです。

【米国株概況】
米CPI上振れでインフレ再燃の懸念から米金利急伸・株安、ハイテク株よりダウ輸送株や不動産株が売られ米景気不安も

NYダウ 38,461.51(▲1.09%)[38,304~38,662] 
S&P500 5,160.64(▲0.95%)[5,138~5,178] 
NASDAQ 16,170.36(▲0.84%)[16,092~16,200]  
ダウ輸送株 15,603.9(▲2.29%)[15,555~15,846]
半導体SOX 4,790.3(▲1.65%)[4,761~4,847]
日経平均先物(CME) 39,220(▲0.83%)[39,030~39,740] 
ドル/円 151.66~153.24(高値153.24:4/11、安値127.46:2023/1/3)【高値更新】
日10年債利回り 0.798%(高値0.975%:2023/11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.543%(高値5.000%:2023/10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 86.30(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:2023/5/4)
金先物 2352.70(高値2,354:4/10、安値1,618:2022/11/3)【高値更新】
銅先物 4.271(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)15.80(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 139.94(安値110.34:2022/11/3、高値170.52:2/13)
Fear&Greed指数 54(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)76.48(安値70.30:2022/10/13)

 米国市場は米雇用統計に続き米CPI(消費者物価指数)も市場予想を上回る結果となったことで米FRBによる早期利下げ期待がさらに後退、主要株式指数はそろって反落しました。米株で大きく売られたのは金利上昇警戒から不動産セクターが大幅安、これに商業用不動産に対する懸念も再燃し銀行セクターも連れ安しました。

 米CPIは総合、コアともに市場予想を上回り、米利下げ開始時期をめぐっては6月から9月に後ずれするとの見方が優勢になりました。米金利は米2年債利回りが5.0%に再接近したほか、米10年債利回りも市場警戒水準の4.5%台に再び乗せてきました。米CPI上振れに関しては幅自体は予想を大きく上回ったわけではないものの、これまでとあわせて3回目ともなればディスインフレ基調の中での一時的なノイズとして片づけるのは難しく、インフレ再燃リスクが意識されたものとみられます。
米コアCPI、3カ月連続で上振れ-米利下げ後ずれの可能性(2024/4/10)
米国債利回り急伸、年内の利下げ観測後退-CPIが予想上振れ(2024/4/10)

 米CPI結果をうけた米株反応としては米金利上昇警戒からハイテク株売りが強まりやすいものの、ビッグテック株は比較的落ち着いた動きで材料を消化しており、ナスダックや半導体SOX指数などをみても通常モードの上げ下げと言えます。ただし、米CPIに続いて米PPI(生産者物価指数)も今晩発表の予定で、こちらも米FRBが重要視するインフレ指標の米PCE価格指数に関係してくるため油断ならない状況と言えるでしょう。

 米株市場においてはこれまでも解説してきたとおり4/15まで納税シーズンに伴う換金売り需要が続くとみられ、それまでの間は悪材料反応も大きくなりやすいと思われます。これを通過して来週からは米企業決算シーズンに突入することになりますので、そこからようやく下値不安が解消されてくるものと考えられます。一方、前回取り上げた地政学リスクもやや緩和されはしたものの、中東情勢などは未だ緊迫している状況には変わりなく、インフレ再燃リスクとも関係しているためにまだまだ目が離せない状況が続くものとみられます。
イスラエル軍のラファ侵攻、「日程決まっている」=ネタニヤフ首相(2024/4/9)

【日本株投資戦略】
米CPIをうけて為替の米ドル高円安が加速し日本当局の為替介入が焦点に、複雑な政治事情がからむ為替介入は日米株デカップリングの契機にも

 日本市場は米CPI上振れとともに米金利急伸をうけた為替ドル高円安がついに152円を突破、高値更新の動きから円安加速局面となってきたことから財務省・日銀による為替介入をめぐる読み合いに翻弄されることになります。日本株は円安=株高の構図からすると下げ幅はやや緩和されるものとみられますが、それでも米株安や米金利上昇を嫌気した売りで直近の下値をテストしてくる可能性があると思われます。

 また、この為替円安で輸入物価上昇の副作用が生じることにより、日本企業が大幅賃上げを実現してもインフレが今以上に加速していくようだと実質賃金のマイナス基調はいっこうに改善されなくなってしまいます。そこで日銀・財務省は為替介入をほのめかしているわけですが、同時に日銀はインフレ対応による金融緩和の縮小を示唆しています。
物価の基調上昇なら、緩和度縮小「考えないといけない」=日銀総裁(2024/4/9)
円安による輸入物価上昇、基調物価に反映なら政策変更-日銀総裁(2024/4/10)

 日銀における次の利上げ時期をめぐってはまだしばらく先の話と思われますが、世界的にインフレ再燃リスクが騒がれだすと利上げ開始時期は想定よりも前倒しになる可能性も出てきます。金融政策正常化に向けて歩み出した日銀にとってまずは企業の賃上げが実体経済に及ぼす影響を見極める必要があり、インフレ対応は為替市場における実弾介入でしのぎつつ粘り腰をみせるものと思われます。

 為替介入のタイミングにおいては米ドル円でいくら位の水準を目安にするというよりも、その上昇スピードが焦点になっているとみられます。ただ、米CPIを確認した以上は今後いつ実施してきても不思議ではなく、実際のところでは米CPI後というよりも日米首脳会談後という政治的に複雑な事情も絡んでいるものと推察されます。
日本の介入、レッドラインは約153円の公算も-米CPI後まで温存か(2024/4/9)
日本が円買い介入の場合、米国債売却が必要になる可能性も-シティ(2024/4/9)

 日本株にとっては前回や上記でも述べてきたように為替の米ドル高円安が日本株買いの原動力ともなってきた経緯があります。これが通貨当局によって人為的に円高誘導された場合、当然ながら円高株安となることが想定されます。しかし、その一方で長期的には日本経済のファンダメンタルの改善に寄与してくるほか、日米株の連動性が薄れるきっかけともなり得るでしょう。

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