【3/8日本市場の確認ポイント】
日経平均 39,688.94(+0.23%)[39,551~39,989]
TOPIX 2,726.80(+0.30%)[2,702~2,742]
マザーズ 754.96(▲1.41%)[752~766]
値上がりセクターTOP5
1.建設(+2.46%)
2.銀行(+2.11%)
3.電気・ガス(+1.44%)
4.鉄鋼(+1.36%)
5.保険(+1.16%)
値下がりセクターTOP5
1.陸運(▲1.50%)
2.空運(▲1.05%)
3.輸送用機器(▲1.04%)
4.海運(▲0.57%)
5.ゴム(▲0.45%)
年初から堅調な推移を続けてきた日本市場ですが、前週末は3月の先物・オプション清算日となるメジャーSQを迎えるにあたり先物主導での売買が積み上がりました。2月上旬の内田日銀副総裁発言以降、日銀の緩和政策修正の道筋における安心感が日本株の先高観を醸成しながら日経平均は4万円台まで上り詰めました。日本株は投資家の高値警戒感と根強い押し目買い意欲が交錯し、市場エネルギーを映す売買代金は2/16以来の6兆円超えを再び記録しました。
日経平均は半導体株、主力値がさ株を中心に、出遅れ株の修正買いも加わり史上最高値を更新。為替円安を背景に日本企業の業績寄与期待も膨らみつつ、海外勢の日本株買いが加速したとみられます。物色の中身もやや変化し半導体以外のセクターにも裾野が広がりをみせ、指数主導での熱狂が薄い株高にも値上がり銘柄が全体にも波及する環境が整ってきました。
大型株主導での株高から出遅れ色の強かった中小型株にも目が向くようになり、見直し買いやテーマ株物色も活況になっていたところですが、足元では利食い売りに押される場面も散見されます。投資家の押し目買い意欲が高水準であることから売買代金も膨らみ株価も高値圏で踏みとどまってきましたが、しだいに買い疲れ感も出始めている可能性もありそうです。買い方がリスク回避に傾いて押し目買いを控えると、売買代金が低減してきたら要注意かもしれません。
【米国株概況】
AIブーム象徴の半導体エヌビディア株が乱高下、
半導体株急落の裏で金価格は2200ドル台、ビットコインも最高値
NYダウ 38,722.69(▲0.18%)[38,705~38,971]
S&P500 5,123.69(▲0.65%)[5,117~5,189] 【高値更新】
NASDAQ 16,085.11(▲1.16%)[16,059~16,449] 【高値更新】
ダウ輸送株 15,718.2(▲0.82%)[15,703~15,917]
半導体SOX 4,957.8(▲4.03%)[4,957~5,217]【高値更新】
日経平均先物(CME) 38,785(▲1.84%)[38,745~39,765]
ドル/円 146.49~148.12(高値151.93:10/21、安値127.46:2023/1/3)
日10年債利回り 0.728%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.077%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 77.85(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 2186.20(高値2,203:3/8、安値1,618:2022/11/3)【高値更新】
銅先物 3.891(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)14.74(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 141.18(安値110.34:2022/11/3、高値170.52:2/13)
Fear&Greed指数 71(EXTREME GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)77.40(安値70.30:2022/10/13)
米国市場は2月米雇用統計が強弱まちまちの結果となったことで3月FOMCにおける今後の金融政策軌道をめぐる見方が曖昧なものとなったほか、超強気のAIブームを象徴してきた半導体大手エヌビディアが急騰から急落へと激しく乱高下した影響もあり、半導体株を中心に利益確定売りが強まりました。
序盤はS&P500をはじめ半導体SOXも史上最高値更新まで買われた後、半導体株が一斉に売り浴びせられる展開。ハイテク株主体のナスダックもビッグテックの売りで下落に転じました。半導体株においてはこれまでの急ピッチな上昇に加え、市場でのポジションも過度に偏重していた分の反動安が生じたと言え、一部ではバブルとまで囁かれていた中での一斉利食いは過熱し過ぎた相場にとって必要なガス抜きだったかと思われます。
◆エヌビディア株の上昇一服、昨年5月以来の大幅な下げ-利食い売りで(2024/3/9)
半導体株がスピード調整に入る中、市場が改めて目を向けるのはマクロ経済データということになり、米FOMCの手がかりを探りたかった雇用データは強弱感入り交じりで、切望する早期利下げの確信を得ることが出来ずじまいでした。また、3月FOMCでは政策金利に加えてQTペースの調整についても議論される可能性が注目される中、昨年開始した米地銀救済のための緊急措置BTFPを通じた資金供給策も3月11日をもって打ち切られることから、市場の流動性について警戒感が広がるのも無理はない局面と言えるでしょう。
今週もまた米経済データで重要な米CPIや米小売売上高、米PPI、NY連銀景気指数など米物価と消費、景気動向を探る指標発表が相次ぐほか、米国債入札の日程も詰まっています。米債市場での流動性に問題が生じなければよいのですが、何かをきっかけに流動性が逼迫してしまうと投資家が一斉にリスク回避志向を強める可能性もあります。不気味なのは株価と本来逆相関のことが多い金価格や仮想通貨のビットコインなどが最高値更新している点なども見逃せません。目先は半導体株の一斉利食いが強気相場のトレンド転換の入り口になるとは思いませんが、セクター内での局所的な売りで留まってくれれば御の字で、市場が冷静にポジションの過度な偏重を修正するだけで無難に収まるかどうかが焦点となりそうです。
【日本株投資戦略】
米株とともに半導体株利食いで日経平均下押しか、為替・日銀の動向注視しながら押し目買い狙いで待ちの姿勢
日本市場は米半導体株の乱調に伴い、同様に日経平均寄与度の大きい国内半導体株へも影響は避けられないとみられ、日経平均は先物主導での下落が予想されます。日本では3月メジャーSQで先物・オプションの清算を迎えたばかりのところで、当面は下値を探る展開を強いられそうです。
とりわけ半導体株の影響が大きい日経平均が下値テストするにあたり、ひとまず25日移動平均線との乖離を埋めながら38,000円付近でサポートされるかが焦点となりそうです。主力値がさ株の東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)、信越化学(4063)など半導体関連株の動向に注意しつつ、半導体以外のファーストリテイリング(9983)やKDDI(9433)などグロース株全体にまで売りが広がることがないかをチェックしておいた方がよさそうです。
日経平均主導での下落となった場合でも、出遅れのバリュー株などが底堅く推移すれば全体での値崩れ回避になります。その点でむしろ最重要なのは半導体株の動向よりも為替水準であり、これまで為替の米ドル高円安が日本株の追い風となってきた経緯からすると為替円高こそが最も日本株売りのポイントになってくるものとみられます。
直近まで日本株を高値誘導してきた海外勢の動向を鑑みるに、世界の中央銀行が利上げサイクルから方向転換を模索する段階を迎えていることに際し、積極的に日本株を買ってきた海外勢は欧米系よりもむしろ中東やアジア系とみられています。彼らが米ドル高ヘッジのために日本株を買い込んできたことを前提とするならば、米ドル安環境では一転して日本株を利益確定売りすることになっても不思議ではありません。
前回述べましたように3月上旬の相場は需給面での売り方の一部降参によるショートスクイーズで上昇し、日経平均は4万円到達を成し遂げましたが、これがホンモノであるかどうかはこれから問われてくるところです。とくに為替の円高環境でも日本株が底堅く推移できるかが今後の金融政策正常化を控えた課題でもなるところで、この3月中旬は日銀の金融政策決定会合を迎える3/19まで気の抜けない展開となりそうです。同時に、「押し目待ちに押し目なし」の格言を体現したような相場でしたから、むしろこのガス抜き局面は押し目待ちの投資家にとっては良い機会をもたらすものであるかとも思います。
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