【2/22日本市場の確認ポイント】
日経平均 39,098.68(+2.19%)[38,508~39,156] 【高値更新】
TOPIX   2,660.71(+1.27%)[2,640~2,663]
グロース250 742.11(▲0.43%)[736~753]

値上がりセクターTOP5
1.電気機器(+2.38%)
2.輸送用機器(+2.36%)
3.機械(+2.22%)
4.石油・石炭(+1.77%)
5.鉱業(+1.71%)

値下がりセクターTOP5
1.医薬品(▲0.59%)
2.サービス(▲0.07%)
3.なし
4.なし
5.なし

 日本市場は為替円安進行とともに海外勢の日本株買い継続で日経平均は平成バブル当時の38,915円を突破、初めて39,000円台に乗せ史上最高値更新となりました。日経寄与度の大きい主力値がさ株がそろって大幅高し、上位5社のファーストリテイリング(9983)、東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、ソフトバンクG(9984)、信越化学(4063)がいずれも3~7%の大幅高で日経平均を押し上げたほか、米エヌビディア決算好感で半導体関連のレーザーテック(6920)、SCREEN(7035)、ルネサスエレクトロニクス(6723)なども一気に買い戻されました。

 為替円安で業績期待が膨らみやすいエレクトロニクス、自動車をはじめ商社やエネルギー関連など外需系セクターの物色意欲が高まり、日経平均はTOPIXをアウトパフォームしてNT倍率が上昇。中国春節入りでインバウンド需要から内需活性化も期待される一方、日本の消費関連指標は弱含みが明らかとなり、内需系の小売やサービスは強気物色の蚊帳の外に置かれました。

 個別株では話題がやはり半導体・AI絡みが中心で中小型株においても関連銘柄が軒並み大幅高。ただ、半導体関連株が上値を引っ張る役割を演じきれない時にはバリュー株が下支え役となるなどし、相場全体の堅調につながっています。前週から騰勢を強めていたグロース市場は利益確定売りに押され逆行安。主力株の大幅高に取り残される形となっていますが、半導体やAI、宇宙開発、新型電池や再生可能エネルギーなどテーマ性を帯びた銘柄や出遅れ修正などに対する物色意欲は健在で、上値期待は継続しているとみられます。

【米国株概況】
米早期利下げ期待後退も米半導体業績期待で史上最高値を再更新、3月上旬の経済データと米大統領選情勢が株高持続を左右

NYダウ 39,131.53(+0.16%)[39,094~39,282] 【高値更新】
S&P500 5,088.80(+0.03%)[5,081~5,111] 【高値更新】
NASDAQ 15,996.82(▲0.28%)[15,954~16,134] 
ダウ輸送株 15,921.0(+0.62%)[15,843~15,983]
半導体SOX 4,615.0(▲1.12%)[4,593~4,709]【高値更新】
日経平均先物(CME) 39,410(+0.79%)[38,640~39,530]
ドル/円 150.02~150.70(高値151.93:10/21、安値127.46:2023/1/3)
日10年債利回り 0.711%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.248%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 76.57(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 2045.80(高値2,098:12/28、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.869(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.75(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 144.00(安値110.34:2022/11/3、高値170.52:2/13)
Fear&Greed指数 78(EXTREME GREED:極端な貪欲)
High Yield Bond (HYG)77.35(安値70.30:2022/10/13)

 米国市場はFOMC議事録や半導体大手エヌビディア決算を消化しながら上値を伸ばし、NYダウ・S&P500が史上最高値を更新。米企業決算も一巡したところで将来期待の大きい半導体エヌビディアが市場の話題を独占中ですが、一方でビッグテック内部者やJPモルガンCEOの自社株売却なども注目を集めました。

 米金利市場では直近の物価指標や小売統計が上振れしたことで米FRBによる早期利下げ期待が後退、米金利に上昇圧力がかかり長期金利は再び4.3%を超える場面がみられました。足元の米FRBメンバー発言やFOMC議事録でのタカ派回帰はある程度想定内であるほか、大手金融機関も米利下げ時期に関して後ずれ予想が出され始めましたが、米金利はこれらを冷静に受け止め米株市場の強気ムードを支えました。

 直近のAIブームを背景に米株上昇モメンタムがやや行き過ぎとの見方も強まる中、週末にはハイテク株への利益確定売りが強まりナスダックが2年前につけた史上最高値に迫りながらも反落しました。ビッグテックのアマゾンCEOジェフ・ベゾス氏はじめメタCEOマーク・ザッカーバーグ氏などに加えて、JPモルガンのジェイミー・ダイモン氏、ビル&メリンダ財団のビル・ゲイツ氏などこぞって米産業界の大物たちの株式現金化の動きなどが報じられる中、著名投資家のウォーレン・バフェット氏も株式市場をカジノ的と表現してアップル株を一部売却していることなどが判明しました。

 米早期利下げ期待で堅調を続けてきた米株市場にとってこれらの内部者売りは気になるところですが、肝心なのは米金利動向に主眼が置かれることに変わりはなく、最も注目されるのは今週の米PCEや3月に入ってからのISM製造業や米雇用統計などマクロデータになるものと思われます。直近の米CPIや米PPI結果から米PCEはある程度市場予想も固まっているとみられる一方、米景気の強さや一部でインフレ再燃の芽が意識され始めたことなどが米金利の上昇および実質金利の上振れ懸念につながるリスクがあるかどうかを見極めていく局面となりそうです。

 他方、今年最大の関心事である米大統領選においては、足元でトランプ前大統領が共和党候補者で唯一の対抗馬となっているニッキー・ヘイリー氏を彼女の地元サウスカロライナ州で破ったことで共和党代表にまた一歩前進。バイデン米政権がトランプ陣営を強烈に意識し、トランプ前大統領との対決色が濃くなればなるほどバイデン政権による米株高政策は強まることは以前述べたとおりで、とくに共和党候補者選びで重要となる3月5日のスーパーチューズデーに向けては何がなんでも米株を高止まりさせておきたい政治的力学も働きそうです。

【日本株投資戦略】
日経先物主導で日経採用の主力値がさ株が上昇牽引し平成バブル高値を更新、一極集中相場から物色広がりを期待する月末リバランス

 日本市場はどのメディアもこぞって日経平均が34年ぶりに史上最高値を更新したことを報じるとともに、新NISA元年で華々しいスタートを切ることができた日本株を囃し立てています。長らく「失われた30年」と揶揄されてきた日本経済にとってまさに世界の資本主義から隔絶された不毛な状況から脱出することが期待される象徴的な出来事と捉えられたと言っても過言ではないかもしれません。

 海外勢による日本株買いは欧州経由での中東マネー流入観測も手伝い、欧米株の史上最高値更新に追随していくとともに年初来のトップパフォーマンスに踊り出ました。所々で利益確定売りに押される場面も散見されていますが、好地合い継続で押し目買い意欲も強く、日経平均連動の銘柄以外の個別株においても断続的に資金流入している銘柄に広がりがみられるようにもなっています。

 それらを示すのが東証の売買エネルギーを表す売買代金です。2/16に6.7兆円と記録的な売買代金を積み上げた後、米エヌビディア決算を控えて警戒交じりの様子見場面もはさみながら、2/22には再び5.5兆円を積み上げました。売り物をこなしながら資金がうまく回転しているほか、日経平均の史上最高値更新の立役者はあくまでも主力値がさ株には違いないですが、それ以外においても7割強にのぼる銘柄群が置いてけぼり状態ですので、日本株は過熱感なき株高で平成バブル超えを果たしたことになります。

 言い換えれば、未だ多くの銘柄が単にAIブームの株高恩恵を受けきれていない分、物色の広がりが期待できることになります。短期筋は上値追いの半導体株で資金を回転させる一方、中長期資金もしっかりと腰の入った買いで日本の「失われた30年」に対する変化を見越しながらバリュー株にも触手を伸ばしてきているとみられます。東証から日本企業改革の大号令が発せられて以降、世界的にみて極端に割安な日本株の水準訂正は着実に進展しています。今後もこうした流れが加速し、バリュー株が収益性を向上させて単に割安だから買われるというよりも将来の成長性を評価されて一段高となるポテンシャルを秘めていると言えるでしょう。

 その一方で、日本の政治的低迷と混乱は収まるどころか、ますます自民党の支持率低下に拍車がかかる状態で、言わば政治混乱を日本株好調で覆い隠しているかのようです。この機に日本企業の改革と並行して日本の政治も改革されれば日本株の上昇期待もますます高まることと思われますが、その過程では痛みを伴うものとなる覚悟は必要で、政治も市場も外圧によるところの変化を柔軟に受け入れていかなくてはならないでしょう。岸田政権にとってみれば内政の失点で致命傷を避けつつ、外交で挽回を図るために奔走しているところで、まもなく3月を迎えるにあたっては市場内で企業決算のミクロから国際的なマクロに視点が移っていく中で岸田外交が加点ポイントにつながるか注目されます。

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