【1/30日本市場の確認ポイント】
日経平均 36,065.86(+0.11%)[36,039~36,249]
TOPIX   2,526.93(▲0.10%)[2,526~2,540]
マザーズ   714.72(+0.58%)[707~717]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+1.51%)
2.その他製品(+0.94%)
3.保険(+0.81%)
4.化学(+0.42%)
5.精密機器(+0.37%)

値下がりセクターTOP5
1.石油・石炭(▲1.76%)
2.繊維(▲1.00%)
3.証券・商品先物(▲0.78%)
4.その他金融(▲0.75%)
5.陸運(▲0.64%)

 日本市場は米金利低下を追い風にした米株高をうけて反発、日経平均は36,000円台を回復しましたが上値の重さが意識され、次第に利益確定売りに押される展開となりました。米金利低下で銀行株が軟調となったほか、為替がやや円高に振れる中で自動車株なども上値が重く、TOPIXは大引けにかけてマイナス圏に沈みました。

 欧米はじめ世界の半導体大手の決算材料に加え、国内でも台湾TSMC進出や次世代半導体をめぐる好材料連発の半導体セクターですが、主力どころが決算発表を前にして物色意欲が今ひとつの状況となっており日経平均の推進力に陰りが見えています。それでも信越化学(4063)や日東電工(6988)など先行して決算発表した関連株の動きは悪くなく、レーザーテック(6920)やアドバンテスト(6857)などの主力どころに対する決算期待を繋ぎとめていると言えます。

 日経平均やTOPIXなど指数の上値が重くなる中、材料を手がかりとした物色が活発化しており、中小型株にも資金が回ってきています。半導体やAIなど以前から人気のテーマに加えて宇宙開発や復興関連、ドローンなど国策に絡むテーマ物色の意欲が旺盛とみられ、直近IPOのQPS研究所(5595)は前日ストップ高からさらに買いを集める急騰相場と盛り上がりを見せています。新興市場のグロース250指数も遅ればせながら年初来高値を更新し、全体の地合いを睨みながら決算発表の試練に臨むこととなります。

【米国株概況】
米国株は史上最高値更新で上値追いに拍車、ハイテク大手決算と米FRB利下げ期待が下支え

NYダウ 38,467.31(+0.35%)[38,257~38,497] 【高値更新】
S&P500 4,924.97(▲0.06%)[4,916~4,931] 【高値更新】
NASDAQ 15,509.90(▲0.76%)[15,484~15,619]
ダウ輸送株 15,776.3(▲1.00%)[15,664~15,860]
半導体SOX 4,320.0(▲1.56%)[4,301~4,384]
日経平均先物(CME) 35,930(▲0.19%)[35,725~36,260]
ドル/円 147.10~147.93(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.703%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.035%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 77.79(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 2055.40(高値2,098:12/28、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.912(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.31(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 148.73(安値110.34:2022/11/3、高値162.51:12/14)
Fear&Greed指数 74(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)77.70(安値70.30:10/13)

 米国市場は米経済指標で米経済のソフトランディング期待やインフレ鈍化を確認しつつ、米財務省が米国債の増発規模縮小を発表したことで米金利低下を促し、これ以上ない理想的なゴルディロックス(適温相場)の環境づくりに成功しています。足元では米FOMCが予定されており、そこそこ注目されてはいるものの3月利下げ確率は低下していることからもほぼノーサプライズで通過との見方が強まっています。

 昨秋からの株高ラリーは米FRBの利下げ転換期待とともに育まれており、米金利上昇のピークアウトがそれを裏付ける形で株高の支援材料となってきました。肝心の利下げ開始時期についてはおそらく今回も明言は避けられるものとみられますが、市場は行けるところまで行くのが常ですから米FRBメンバーがけん制発言で諫めても耳を貸さなくなっています。

 あとは米企業決算の中でも今週はハイテク大手がずらりと並んでいますので、むしろこちらの方が足元の注目度が高いと言えます。ただし、個別で調整する銘柄がみられても米国市場の地合い全体まで影響を及ぼすことは考えにくく、3月の米大統領選本選やすでに次回3月米FOMCに向けて利下げを催促するまで相場は他市場と比べて優位な状況を続けるものとみられます。

 とくに日本や中国、欧州、新興国といった株式市場が軟化すれば米国優位はさらに際立つものとなり、米国市場の足腰の強さが強調されやすいと言えます。ただし、米経済との乖離がより鮮明となるために資本家階級と労働者階級との摩擦に拍車がかかり社会情勢の不安定化を招く原因ともなるために、米国をとりまくニュースはネガティブなものが増えてくる可能性があることには留意しておきたいところです。

【日本株投資戦略】
月末の年金リバランス警戒も注目は半導体株決算、大型株調整でも中小型株に活路

 米FOMC待ちに加えて日米ともに注目度の高い企業決算が目白押しとあって、月末にかけてはやや調整ムードが強まってきました。売買代金も先週の連日4兆円超えから失速気味で相場の勢いが鈍ってきたように見受けられます。本日は月末リバランスとも相まって要警戒なのはもちろんですが、この先2月の「節分天井」が意識される中で指数を先導してきたハイテク株動向も気になるところです。

 企業決算で一喜一憂するのは毎度お馴染みのことかと思いますが、今回はとくに相場の重要変化日と重なってくるところからも変動がいつも以上に大きくなりやすい点に注意が必要です。全体の地合いが崩れる程のインパクトとはいかないまでも、それなりに年金売りを警戒しておくほか、市場の需給として個人の信用買い残がまた膨らんでしまっている点が危ういところです。年初からの上昇相場で個人は利益確定していたはずですが、高値圏での推移が続く中で調整を待ちきれない組が押し目買いをしている様子が窺えます。
信用買い残、1カ月ぶり高水準 個人の押し目買い(2024/1/30)

 これは日本企業への決算期待が高いことの表れでもあるかもしれませんが、決算前に必要以上に期待先行してしまうといざ実績を確認する段階において膨れ上がった期待は残酷な現実と直面することになります。決算プレイは直前も直後もあまり飛びつかずに、値動きが落ち着くのを待つか、計画的に価格とタイミングを分散しながら押し目買いを狙っていくのが得策と言えるでしょう。
 
 前回の繰り返しになりますが、この先の2月中旬にかけての取り組みは決算シーズンが一段落するのを待ちつつ、相場調整の下値テストの時間帯となるでしょう。よって、株価が決算材料を織り込む上で全体の動きが鈍ってしまう場合、短期資金は値軽さを求めて中小型の材料株に群がりやすくなります。ただでさえボラティリティが高まりやすい決算時期ですので、あえて鉄火場に飛び込むのか、我関せずで静観して待つのか、いずれにしても活路は中小型株に見出していくことになるかと思われます。

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