【12/29日本市場の確認ポイント】
日経平均 33,464.17(▲0.22%)[33,305~33,652]
TOPIX 2,366.39(+0.19%)[2,352~2,375]
マザーズ 706.41(▲0.15%)[701~710]
値上がりセクターTOP5
1.その他製品(+1.83%)
2.輸送用機器(+0.96%)
3.その他金融(+0.94%)
4.電気・ガス(+0.89%)
5.建設(+0.75%)
値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲1.05%)
2.石油・石炭(▲0.90%)
3.海運(▲0.50%)
4.小売(▲0.38%)
5.不動産(▲0.76%)
日本市場の大納会は2023年の高値圏で日経平均が揉み合い、33,500円をはさんで年末ポジションの調整に終始しました。前ばの買い一巡後は失速、最後の大引け間際に急速な買い戻しがみられましたが日経平均は小反落、TOPIXはわずかにプラス圏に浮上して2023年の取引を終えました。
日経平均の上昇を牽引してきたハイテクグロース株など中心銘柄に利益確定の動きがみられた一方、足元で売られた自動車や内需セクターが資金が向かいました。任天堂(7974)が商いを伴って大幅反発となり2007年以来となる上場来高値を更新など明るいニュースもあった一方、年初来高値更新は実現ならずご祝儀相場期待も物足りないものに終わりました。
新興市場はグロース250が約1ヶ月ぶりに700pt台を回復し、商いも高水準となりました。年後半は日本の金利上昇とともに調整地合いが続きましたが10月末に底入れの兆しを確認、主力株中心の反騰相場では出遅れ色が鮮明になりながらも年末になってようやく見直される動きが強まってきました。
【米国株概況】
早期利下げ観測の巻き戻しでハイテク株安、地政学リスク激化とともに高金利政策と流動性支援策の両立が継続する見込み
NYダウ 37,430.19(▲0.76%)[37,401~37,790]【高値更新】
S&P500 4,704.81(▲0.80%)[4,699~4,754]
NASDAQ 14,592.21(▲1.18%)[14,577~14,887]
ダウ輸送株 15,504.6(▲1.71%)[15,493~15,944]
半導体SOX 3941.2(▲2.03%)[3,926~4,105]
日経平均先物(CME) 33,065(▲1.06%)[33,030~33,615]
ドル/円 141.50~143.73(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.625%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.911%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 73.03(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 2049.30(高値2,098:12/28、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.875(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)14.04(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 134.23(安値110.34:2022/11/3、高値162.51:12/14)
Fear&Greed指数 72(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)76.92(安値70.30:10/13)
米国市場は米FRBの早期利下げ期待が盛り上がった年末ラリーの余韻に包まれながら、迎えた年明け相場はビッグテック銘柄がそろって大幅反落となり利益確定売りが先行する調整相場で幕を開けました。2日の新年最初の取引ではNYダウが史上最高値更新で華々しいスタートを飾るもハイテク株主体のナスダックは軟調、半導体SOX指数は年末ラリーの反動安もあり▲3%超の大幅安となりました。
新年早々の薄商いの中で波乱含みとなった3日の取引では米FOMC議事要旨に注目が集まり、市場が先走りで期待する早期利下げ観測に見直しを迫られるとともに米長期金利が一時4.0%超に急上昇する場面がみられました。米FRBの利下げ開始時期をめぐり3月実施と織り込む向きは後退しつつ、株価も期待先行で早とちりしすぎたストレッチ分を修正する動きが広がりました。
年末ラリーで天井が高くなった分その反動も大きくなりがちですが、とくに売り圧力が強まったのは半導体株の面々でエヌビディア、インテル、AMDなど軒並み安から昨晩も続落となりました。また、前回注目したボーイングやキャタピラー、金融株などNYダウ構成の中心銘柄も高値圏から利益確定売りに押されました。
米国市場は前のめりになり過ぎた早期利下げ期待が剥落、過度な楽観ムードは後退しつつもF&G指数などのリスク指標は依然としてリスクオン姿勢が窺えます。米雇用統計や米CPIなど金融政策を占う重要経済データを確認した上で、米FRBの利下げ開始時期をめぐる金利水準が落ち着くのはまだまだ先の話とみられます。
しかし株式市場では高金利政策が続けられる代わりに市場流動性支援も継続的に行われ、バブルさながらに実体経済と金融市場の乖離が深まっていきます。まもなく企業決算を控え、目線が上がっている市場予想対比との下振れなども多少織り込む必要があるでしょうし、この1月〜2月にかけての期間は年末ラリーからみればガス抜き調整の相場となるのもやむを得ないことでしょう。
【日本株投資戦略】
波乱で幕開けの2024年相場はこれまで以上に悲観が友であり、楽観が敵となる
日本は2024年を迎えて早々に石川県能登地震やJAL機衝突事故などに見舞われ、世界の騒擾騒乱と相まって不穏なムードが漂う中で新年相場も始まります。多少不謹慎な部分も否めませんが誤解を恐れずに相場の本質を突くと、このようなリスク事象や混乱こそが世の中の資金需要を生み出し、日銀などの金融緩和を続ける裏付けともなります。
2021年ウクライナ侵攻開始から続くインフレ基調が長引く中、次々と世の中で巻き起こるリスクや課題を克服する上で中央銀行は結局のところ金融引き締め転換における過剰流動性を解消するには至らず、今もなお新たにお金を刷り続けています。このインフレの根因が収拾つかない状況を抜け出さない限り、現金の価値が毀損し続けるとともに物価も株価も押し上げることにつながっていきます。
昨年末は平成バブル後の最高値更新まであと一歩届きませんでしたが依然として射程圏内に捉えながら、上記の日銀金融政策修正が遠のき、少なくとも3月会合までは早期の政策転換に踏み切ることは困難とみられることから巻き戻し相場が期待されるところです。
米国では早期利下げ観測、日本では早期利上げ観測と歪な両者の金融政策をとらえた市場の先走り観測は今後も後退しては再浮上してを繰り返すことになると思われますが、どちらも年前半は結局思惑だけだったという話に終わる可能性もあります。日本はいわばデフレ経済からの脱却、金利正常化プロセスの中における時間稼ぎをしているような状態と言えますが、基調的なインフレの浸透により日経平均が平成バブル高値を超えるのはもはや必然と言える流れになってきました。
そんな中、新NISA制度開始で今まで眠っていた日本人の半分以上を占める現・預金が叩き起こされ、望むと望まざるとに関わらず金融市場に放り込まれてきますので、否が応でも日本市場の厚みは増してくることになります。株価の見通しにおいては市場の流動性資金の絶対量が増えるか減るかでほぼ決まってくると言っても過言ではありません。何を買うかも大事ですが、それよりなにより買うタイミングだけ選べばよいということで、とにかく高値掴みだけは避けながら様々起こるリスクイベントの度に買い増していくだけでも十分な投資リターンを獲得できるでしょう。
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