【11/22日本市場の確認ポイント】
日経平均 33,451.83(+0.29%)[33,182~33,593]
TOPIX   2,378.19(+0.44%)[2,358~2,386]
マザーズ 713.10(▲1.40%)[710~719]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+1.80%)
2.紙・パルプ(+1.34%)
3.非鉄金属(+1.24%)
4.水産・農林(+1.19%)
5.その他製品(+1.16%)

値下がりセクターTOP5
1.空運(▲0.49%)
2.石油・石炭(▲0.41%)
3.鉱業(▲0.36%)
4.なし
5.なし

 日本市場は米金利動向にらみでハイテク株の強弱感が対立、為替がドル高円安のピークアウトから円高に振れてきたことから利益確定売りが強まりました。その一方、下落すればレンジ意識の押し目買いも入り日経平均は33,500円をはさんで高値圏での攻防となっています。

 為替が一段と円高に進む中では輸出の自動車関連株が売られやすく、一方で輸入において円高恩恵を受けるニトリHD(9843)などが連日で買われる地合いとなりながら、飛び石連休前のポジション調整売りに押される展開。しかし、22日は円高一服を受けて自動車株が下げ止まり感がみられ、全体で持ち直す動きにつながりました。

 米金利低下から為替円高といったテーマに沿って物色傾向に広がりがみられる中、新興グロース市場が躍動。主力株に利益確定売りがかさむ一方で、売り込まれていた新興・小型株の見直し買いが強まっています。グロース250指数は今月に入り+10%超の反発をみせており、出遅れ物色に加えて少資金でも値動きのよい中小型株が人気化する素地も整っています。

【米国株概況】
米利上げ終了期待根強く米金利低下とともに株高、ディスインフレと米景気悪化の現ポジションは再び巻き戻しの可能性も

NYダウ 35,273.03(+0.53%)[35,155~35,315]
S&P500 4,556.62(+0.41%)[4,545~4,568]
NASDAQ 14,265.86(+0.46%)[14,226~14,359]
ダウ輸送株 15,032.3(+0.23%)[15,013~15,142]
半導体SOX 3,745.0(+0.33%)[3,736~3,804]
日経平均先物(CME) 33,730(+0.83%)[33,105~33,770]
ドル/円 148.02~149.75(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.726%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.416%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 76.69(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1991.65(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.764(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)12.85(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 141.55(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 66(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.08(安値70.30:10/13)

 米国市場は23日が感謝祭で24日が短縮取引となるために22日がほぼ週末取引のようなものであった中で、主要株式3指数はそろって反発しました。米経済指標はまだら模様となったものの、引き続き米FRBの利上げ終了期待が追い風となり米金利も4.3%台まで低下してきました。

 リスク指標においてもVIX指数が12pt台、Fear&Greed指数でもGREEDレベルを回復し、投資家のセンチメント回復が米株買い戻しを後押ししています。年末高に向けて期待も高まっていく中、米金利水準は以前節目として意識された4.3%水準に近接してまいりましたので、ここから一段と低下が見込めるかどうかが焦点となります。

 ひとまず半導体エヌビディア決算も市場の高いハードルは越えられず株価は多少下落反応でしたが元々期待値が高すぎたこともあり、業績だけ見れば十分良好な実績と言えるものでした。その後の各証券会社アナリストによるレーティング引き上げにもつながっています。これが決算失望売りや材料出尽くし売りで過剰反応しなかっただけよかったと言えます。

 その一方、米小売各社には厳しい様子が窺え、米景気に対する将来不安を掻き立てるものであったかと思われます。これが米機金利を一段と低下させる支援材料になっているとも言えます。しかし、堅調な米個人消費に徐々に陰りが見え始めた一方で在庫調整一巡や自動車業界ストがなければ回復軌道に回帰しつつある製造業をふまえれば、このまま米景気懸念=米金利低下に結びついていくかは甚だ疑問です。

 インフレ動向にしても足元でOPECプラス会合の延期から原油安となりはしたものの、米経済指標では期待インフレ率が上昇加速を示しており、米FRBも追加利上げの選択肢を排除しきれていません。そんな中で注目されるのは来週に延期されたOPECプラス会合後の原油価格動向や米ISM製造業景況指数が思いのほか強い結果となる可能性で、米金利低下を背景としたリスクオンもその辺で一巡となってくるかもしれません。年末商戦が盛り上がらない方がかえって米株にとって良いというのは皮肉に思えますが、ハイテク株中心に上昇している米国株にとっては米金利水準が最優先の市場テーマとなっています。

【日本株投資戦略】
為替円高の一服から再び上値トライ、半導体株の利食い資金がセクターローテーションの原動力に

 日本市場は米金利低下をリスク資産買いの支援材料としながらも為替円高が重しとなり上値を伸ばしきれていませんでしたが、足元の円高も一服から再びリスクオンとなりそうです。飛び石連休でポジションをとりづらいと思われる中、外部環境が改善していることにより売り方のショートカバーでも日経平均は上値トライしそうな状況となっています。

 先行上昇してきたハイテクグロースの筆頭格である半導体株が金利低下に対する感応度が鈍ってきたことから、非半導体株のグロース系で機械株や医薬品、IT、サービスなどのセクターに循環物色となっていくか注目されます。また、11月後半に入りやはりバリュー株もシクリカルなところを中心に見直されてきましたので、全体に10月下落のリバーサルが強まってきたとみてよいでしょう。

 市場の注目度が高まっている米金利については、上述したように来週にかけてここから先の低下余地があるかどうかを探る期間に入ってくるものと思われます。半導体株はじめシクリカルグロースの出番はこれと前後して主役交代となってくる可能性があることに留意しておいた方がよいかもしれません。これらを利益確定した資金が今度はシクリカルバリュー株へ、そしてリスク選好地合いが続けば新興グロース株の見直し買い加速にもつながっていくでしょう。

 取り組みとしてはセクターを選別しながら循環物色にあわせて売り買いしていくことも有効と思われますが、すでにセクターを分散して投資している場合は順番に利益確定させていくだけでよいでしょう。日本株全体の天井はもう一段上にあるとみて、利食い後の資金を他に回していくことも検討できますが、年末にも差し掛かってきていることからポジション量は徐々に低下させていく必要があるでしょう。

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