【11/2日本市場の確認ポイント】
日経平均 31,949.89(+1.10%)[31,878~32,087]
TOPIX   2,322.39(+0.51%)[2,314~2,338]
マザーズ   663.86(+3.40%)[647~663]

値上がりセクターTOP5
1.サービス(+1.71%)
2.電気・ガス(+1.65%)
3.空運(+1.43%)
4.電気機器(+1.38%)
5.機械(+1.30%)

値下がりセクターTOP5
1.その他金融(▲2.81%)
2.鉄鋼(▲2.81%)
3.紙・パルプ(▲2.28%)
4.鉱業(▲1.77%)
5.海運(▲0.78%)

 日本市場は3連騰で日経平均は32,000円台を回復、10/30以降では連日の大商いとともに週間での大幅上昇を達成。米長期金利の低下を受けてグロース株の買戻しが優勢となる中、半導体株などのハイテクほかグロース市場の上位銘柄も買いを集め、指数算出最終日となったマザーズ指数は+3.4%の大幅上昇を記録しました。

 日経採用銘柄では主力グロース株を中心に大幅高し、前日に決算売りで急落したアドバンテスト(6857)が+10%高でV字反発、これに東京エレクトロン(8035)も+3.3%高、ルネサスエレクトロニクス(6723)、信越化学(4063)、SCREEN(7735)など半導体関連株の大幅高が日経平均を押し上げました。

 一方、TOPIXはバリュー株が利益確定売りに押されてアンダーパフォーム、自動車や鉄鋼、金融株など時価総額の大きい中心セクターが上昇幅を縮小しており、グロース株の優位性を印象付けました。市場の関心が金利動向に集まっていることからよけいにグロース株への注目が高まりやすいとみられ、債券市場における空売りの買戻しとともに株式市場でも金利上昇で空売りが積み上がったグロース株の方がショートカバーを誘発しやすいと言えるでしょう。日本は3連休前のポジション調整圧力が大きかったとみられ売り方による買戻し中心の相場でしたが、今後は企業決算を手がかりに買い方が個別株物色を強めてくるかが注目されます。

【米国株概況】
米金利低下で弱気のワナから中間反騰に移行した米国株、米経済指標の下振れが強気材料につながる相場のカラクリ

NYダウ 34,061.32(+0.66%)[33,946~34,163]
S&P500 4,358.34(+0.94%)[4,334~4,373]
NASDAQ 13,478.28(+1.38%)[13,344~13,520]
ダウ輸送株 14,512.8(+1.59%)[14,435~14,554]
半導体SOX 3,454.6(+2.55%)[3,398~3,477]
日経平均先物(CME) 32,735(+2.68%)[32,220~32,825]
ドル/円 149.22~150.51(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.915%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.576%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 80.89(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1999.90(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.672(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)14.91(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 140.09(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 42(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.41(安値70.30:10/13)

 米国市場は10月米雇用統計ほか予想下振れの米経済指標を手がかりに米FRBの利上げサイクルの終了を期待する向きが広がるとともに米長期金利が一段と低下、米10年債利回りが4.5%台をつける中で株式を買い戻す動きが加速しました。主要株式3指数はそろって続伸、また金利に敏感なハイテクの半導体SOX指数や中小型のラッセル2000指数などもそれぞれ大幅反発となりました。

 足元では製造業や雇用関連など米経済指標の下振れが続き、米景気に関するバッドニュースが米FRBの利上げ姿勢を緩めるグッドニュースと解釈されており、金融環境の引き締めストレスがやや緩和するだけでも空売りポジションの買戻しを誘発しやすくなっています。これはむしろ米株市場よりも米債市場でその傾向が強くみられており、以前から解説してきましたように史上最大の米債ショートポジション(売り)が積み上げられたその一部が買い戻されただけで米長期金利は急低下、そして米株のショートカバー(売り方の買戻し)が起きています。

 前回解説しましたように米株市場は米金利低下圧力の中で中間反騰を演じているものとみられますが、文字通り下落トレンドの途中で起こる一時的な反騰相場である可能性は否定できません。ただし、米金利動向が落ち着いている限り、すなわち今週以降も新たな米国債入札
スケジュールを迎えますがこれらを無事消化できることによって米株に対する懸念後退にもつながり、買戻し相場を一段と加速させるものとみられます。

 米経済指標の下振れから米金利に影響を及ぼす米FRBによる金融引き締めの必要性にも疑問符が投げかけられるようになっていますが、彼らも市場の期待に働きかけながら米景気への悪影響をできるだけ避けつつ高金利政策の累積効果を長く持続させようとしています。米景気が次第に堅調な勢いを失っていくにしたがって金融引き締め策は封印され、米株の自律的な回復を支援するために市場への流動性供給は続けていくものとみられます。

 おそらく、当面の間は米国債のタームプレミアム調整を優先しながら、実質的には緩和オプション付き高金利政策の継続という形を採るでしょう。最終的にはゴルディロックス相場への移行を目指していくと考えられるため、S&P500も中間反騰では目先の戻りも限定され足元のレンジに押し戻される可能性もありますが、それよりも年末商戦が期待外れとなる方がむしろその後の政策支援期待で米株復活の蓋然性は来年にかけて強まっていくと言えるでしょう。

【日本株投資戦略】
世界的な金利低下を追い風に日本株の見直し買い強まる、半導体株中心の上昇から循環物色への期待も高まる

 日本市場は3連休をはさんで大幅反発をみせたほか、前回10/13の時の戻り高値更新からV字回復にとどまらずN字型チャートの強気相場も期待できそうです。前週末に続き米金利低下を背景に主力グロース株が主導する形で、売り方による買戻しが先行した反発という側面があるものの、決算材料で個別株でも物色が活発になってきています。

 先月末の悲観に染まった相場とは打って変わり、自律反発以上に投資家心理が改善していることは今回マザーズ指数に代わって新たに指数算出されるようになったグロース250指数の大幅高からも見て取ることができます。企業の決算シーズンで一喜一憂する面がありつつ、リスクマネーにとっては金利環境が落ち着いたことのメリットの方が大きく、これまで反応薄だった好材料にも素直に買い材料と受け止められるケースが増えてくるものとみられます。

 足元では金利敏感なグロース株の反発が主導する面が目立つ一方、9月の日銀における政策修正観測から売られたのは高配当株やバリュー株であり、これらの見直し買いが強まるにしたがって上記の10/13につけた戻り高値を更新する日本株上昇がみられています。足元の金利低下を追い風とした買戻し相場は、10月前半の半導体中心の上昇よりも物色の波が広がりをみせることによって上値を伸ばすと考えられます。

 年末高期待が演出される上では「世界の景気敏感株」と揶揄される日本株においては代表的な景気敏感株である自動車やエレクトロニクス、そして素材の鉄鋼や非鉄金属、設備投資の機械などが戻り売りをこなして上昇できるかどうかにかかっているとみられ、おそらく米景気が踊り場を迎える中で中国景気の持ち直しが左右するものと考えられます。中国の経済指標もまだ本格回復には程遠い状況ながら、徐々に底入れ期待が高まってくる中でエネルギー関連やFA、ロボット関連株の上昇が次の主役に躍り出てくる日も近いと思われます。

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