【10/30日本市場の確認ポイント】
日経平均 30,696.96(▲0.95%)[30,538~30,762]
TOPIX   2,231.24(▲1.04%)[2,222~2,239]
マザーズ   640.94(▲0.17%)[636~645]

値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+1.92%)
2.電気機器(+0.82%)
3.なし
4.なし
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.輸送用機器(▲2.83%)
2.医薬品(▲2.60%)
3.繊維(▲2.40%)
4.ゴム(▲2.37%)
5.銀行(▲2.08%)

 日本市場は下値波乱を継続中で全面安と全面高を交互に繰り返しながら株価はレンジ下限での推移。日経平均・TOPIXともに買い手控えとなる中で売り物に押されてきましたが、昨日は月末リバランスも重なって東証プライムの売買代金は5兆円超えの水準に膨らみ、出来高水準としてはようやく底入れを示唆。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり206/値下がり1422とこの日もほぼ全面安商状で、半導体株のレーザーテック(6920)や東京エレクトロン(8035)など売買代金上位銘柄が健闘を見せたものの全体地合いの悪化は避けられませんでした。決算銘柄では信越化学(4063)や日立(6501)などが堅調だった一方、コマツ(6301)などが大幅安となったことから業績着地どおりの株価反応とは多少異なっており、業績相場も波乱の様相を呈しています。

 日本の金利が国債入札の不調から再び高値を更新して0.9%に達してきており、グロース株には逆風が意識されるところ。しかし、マザーズ指数は下げるだけ下げて売りも枯れてきているためか相対的に下げ幅は限定的になっています。主力のグロース株の商いが大きく膨らむとともに強弱感の対立が激しさを増していますが、本日の日銀会合イベント後は売り一巡で様子見姿勢の投資家も戻ってきやすくなるでしょう。

【米国株概況】
名実ともに調整相場入りした米国株の綱渡りは続く、悲観が陰の極みに達したところで中間反騰につながる自律反発

NYダウ 32,928.96(+1.58%)[32,537~33,002]
S&P500 4,166.82(+1.20%)[4,132~4,177]
NASDAQ 12,789.48(+1.16%)[12,691~12,842]
ダウ輸送株 13,826.7(+2.00%)[13,587~13,873]
半導体SOX 3,185.2(▲1.30%)[3,152~3,225]
日経平均先物(CME) 30,600(▲0.33%)[30,380~30,855]
ドル/円 148.80~149.85(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.886%(高値0.900%:10/30、安値0.131%:2022/3/6)【高値更新】
米10年債利回り 4.893%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 82.67(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 2005.05(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.651(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)21.27(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 130.13(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 31(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)72.38(安値70.30:10/13)

 米国市場は主要企業の決算発表が相次ぐ中で個別株は決算材料で乱高下となりつつ、指数はいずれも高値調整が▲10%を超えて調整相場入りを示唆する弱気な展開となっています。まもなく米FOMCが控える中で米金利は5%手前の水準で膠着しており、米株の上値を遮っています。

 昨晩は11月FOMC前のポジション調整から買戻し優勢となり、直近の決算材料で売られたアルファベットやアマゾン、メタ(旧フェイスブック)なども見直し買いでビッグテック株がそろって反発しました。ただし、テスラは一段安で200ドルを割り込み、今年5月以来の下値レンジに突入してきました。指数寄与度の大きいテスラ株がS&P500などの重しとなる一方、NYダウを構成する金融株や小売株、シクリカルバリュー株などが反発、小型株で構成されるラッセル2000も反発に転じており、調整にも一巡感が垣間見えてきました。

 米経済指標が市場予想を上回り米FOMCや米金利上昇に対する警戒感は健在ながら11月利上げ確率および年内の金利据え置き観測も強まっており、FOMCイベント後の自律反発もにらんで売り方の買戻しを誘発しています。米金利においては米FRBによる米国債買入の支援材料もあり上昇圧力が緩和に向かいやすくなるとみられ、今週はパウエル米FRB議長のFOMC後会見やアップル決算、さらに米雇用統計など米経済指標の結果次第で買戻し相場につながる可能性がありそうです。

 ひとまず米金利上昇が米長期金利5%にとどまる間は、2年債・10年債の逆イールド状態は続くとみられ、米FRBによる米国債買入は事実上のステルスQEとして金融環境のストレス緩和を支援するものとなります。ただし、今後の米バイデン政権による米国債増発も無視できない規模で米債市場を圧迫することになるとみられ、米国株は夏場以降の中期下落トレンドにおける中間反騰の域を出ないものとなる可能性も念頭に置いておく必要があるでしょう。

【日本株投資戦略】
日銀会合通過後はアク抜けからV字回復期待も、短期のグロース株と中長期のバリュー株それぞれ異なる投資妙味

 日本市場は中銀イベントにらみで日米の金利警戒が株価の下落基調を作り出しましたが、最も注目されているのは米FOMCよりも日銀金融政策決定会合であることから、本日の日銀会合後に明確なアク抜けとなるかが焦点になってきます。これまでの展開においても金利上昇圧力の緩和や日銀の政策修正思惑の後退などからショートカバー(売り方の買い戻し)で反発する場面はみられてきましたが、今回の会合がどちらに転んでも買戻し相場が誘発されることになると思われます。

 かねてより日銀は物価目標2%にこだわりつつ足元ではその実現可能性が高まってきたことから、当然にも政策修正の決断を後押しすることとなるものの、同時に政府との連携で企業の賃上げ動向にも言及してきた経緯をふまえますと、具体的なYCC上限撤廃やマイナス金利解除といった金融引き締めへ転換する時期についてはまだ流動的とみられます。

 すなわち、足元の下落相場は以前解説しましたように9月の植田日銀総裁発言を起点として、日銀の政策修正観測とともに売り方による下値攻めが展開されてきた性質上、今回の日銀会合をもって一旦の材料出尽くしとなる可能性が高いとみられます。つまり、相場の「思惑で買って、事実で売れ」といった点で逆もまた然りで、足元の場合には9月天井以来の「思惑で売って、事実で買い戻せ」という風に置き換えられるものとみてよいかと思われます。

 他方で、日本の場合は海外と異なり金融政策の利上げサイクルはこれから本格化を迎えるところである以上、今後も継続的に金利上昇圧力にさらされ続けることになる点には留意する必要があります。先行した米国株をみれば明らかであるように金利はグロース株や財務面が脆弱な新興株を直撃し、株価上昇の妨げとなる分、市場環境はバリュー株優位の展開になりやすいと言えます。ただし、将来的にはそうであっても現状はまだ日銀が金融緩和スタンスの旗を降ろしていないことから、買戻し相場ではグロース株優位の値幅取りが活況となりやすいとみられます。目先のリバウンドを取りに行くならグロース株、今後の継続的な上昇と値幅を見込むのであればバリュー株と短期・中長期それぞれの目線で仕込む銘柄を選別していくことが大事でしょう。

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