【10/13日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,315.99(▲0.55%)[32,249~32,533]
TOPIX 2,308.75(▲1.44%)[2,303~2,331]
マザーズ 683.24(▲3.58%)[683~702]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+0.60%)
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.繊維(▲2.33%)
2.サービス(▲2.17%)
3.ゴム(▲2.14%)
4.不動産(▲2.12%)
5.証券・商品先物(▲2.09%)
日本市場は朝方の10月SQ算出に際し、日経平均は戻り高値32,533円を形成したもののその後は上値の重さが目立ちました。上昇を牽引した半導体株をはじめ電機、機械などのシクリカルグロース株の上昇が一服するにしたがい、先導株の勢いが失速すると同時にそれ以外のセクターの脆さが露呈。TOPIXが終始一貫して反落する動きに象徴されるように、ほぼ全面安商状へと変化していきました。
9月米CPI、米30年債入札で米長期金利が再び上昇に転じたことをうけたリスク回避で利益確定売りが優勢となる中、ファーストリテイリング(9983)の決算高が日経平均を押し上げましたが、これの影響を除くと実質的には▲370円安であったように総じて弱含みの展開。大型グロース株が比較的値を保ったのに対して小型株はグロース、バリューともに値崩れが目立っており、新興マザーズ指数に置いては▲3.5%と大幅安となりました。
10月第1週における急落後からの急反発をみせたリバウンドも日経先物、大型グロース株主導の買戻しが主因であり、上記SQが近づくにつれてポジション巻き戻しの影響が濃く出ただけという点は否めません。SQ通過により指数主導の買戻し一巡で売り直されたといえ、相対的に下げ渋った大型の半導体株が改めて売られると日経平均もメッキが剥げ落ち、TOPIX並みの下落を想定しておく必要がありそうです。
【米国株概況】
再びの米金利急低下も株高の支援材料とはならずリスクオフ、中東の地政学リスク意識で原油・金・米国債に資金流入
NYダウ 33,670.29(+0.12%)[33,551~33,957]
S&P500 4,327.78(▲0.50%)[4,311~4,377]
NASDAQ 13,407.23(▲1.23%)[13,361~13,619]
ダウ輸送株 14,699.4(▲1.76%)[14,657~15,085]
半導体SOX 3,453.0(▲2.70%)[3,446~3,557]
日経平均先物(CME) 31,885(▲1.13%)[31,850~32,520]
ドル/円 149.45~149.82(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.758%(高値0.816%:10/5、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.616%(高値4.887%:10/6、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 87.72(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1945.90(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.570(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)19.32(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 144.30(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 29(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)72.75(安値70.30:10/13)
米国市場は金融大手の決算発表を皮切りに企業業績への注目度が高まる中、JPモルガンやウェルズ・ファーゴなど商業銀行の決算が好感されてNYダウは反発したものの、中東情勢の緊迫化によってリスク回避が強まりS&P500、ナスダックは続落となりました。
地政学リスクを意識して原油、金などの商品相場が急騰し、週末のイスラエル戦争激化に備えてプットオプションに買い殺到でVIX指数も19.32ptと急騰しました。安全資産需要から金だけでなく米国債も再び買われ米10年債利回りは4.6%台に低下しました。
米金利低下がハイテク株買いの支援材料となる相場神通力は通じず、ハイテク株は半導体セクターを中心として強めに売られており、ナスダックや半導体SOX指数を押し下げました。また、この日発表された10月ミシガン大消費者信頼感指数が予想以上の悪化となり米国の個人消費への懸念材料となったほか、あわせて発表された1年先期待インフレ率が上昇したことをうけてインフレ長期化懸念を蒸し返す結果となったことも投資家がリスク回避を強める一因になったと言えます。
今週以降、米企業の決算発表が本格化してくるにしたがってS&P500の重要レジスタンスとなっている4,400ptをブレイクできるかが焦点となりますが、足元では戻りの上値を遮る米金利動向と中東情勢の地政学リスクが重しとなっています。その中で米金利低下にも反映されたとみられるのが米景気への将来懸念であり、鉄鋼株指数が大幅安となった点も気がかりです。元より中国景気減速を背景に上値の重さが目立っていた素材セクターの弱含みが最近のレンジ下限にまで達しており、今後の地政学リスク動向とあわせて戦後復興・インフラ需要を反転材料とするかも注目しておくべき点かと思われます。
【日本株投資戦略】
SQ通過とともに買戻し一巡でリスク回避の売り再燃、ボラティリティ上昇に警戒強まるも週後半にかけては押し目買い好機に
日本市場は先週末のSQ通過後に全面安商状となった流れに加え、米国市場における大手半導体株が反落したことをうけて、先導役の半導体株にも売り圧力が強まってくることも想定しておきたい場面です。日経平均の急反発を演出してきた大型グロース株が値崩れするようですと、日経平均への寄与度も大きいだけに相場の地合い悪化が鮮明となりかねません。
先週には10月第1週の投資主体別売買状況が公表され、海外勢は現物を大きめに買い越した一方でそれ以上に先物を売り越していたことが明らかになりました。それに続く先週の相場では日経平均の急反発にみられるように、先物主導の買戻しでポジションを巻き戻したと言え、大型株優位の展開でした。
この週末の地政学リスク激化によって大型株優位の展開が崩れるとは考えづらいものの、海外勢の買い姿勢に変化が生じれば大型株主導での下落にも注意を払っておく必要があるものと思われます。場合によっては、10月第1週の手口と同様に現物買い・先物売りが強まる可能性をふまえながらも、過度に弱気ポジションに傾くのもまた厳禁と言えるでしょう。
これまでの解説に続けますが、足元の急騰・急落相場におけるボラティリティの高さは日本株の全面安、全面高の繰り返しにも表れており、日米の恐怖指数が20pt台に達していることから投資家のリスク回避姿勢が鮮明です。ただ、これらの根因にあるのは米FRBの利上げ政策とともにQT(量的引き締め)による市場の過剰流動性を縮小させる動きですが、今後の米国債償還ラッシュに向けては再び米国債を買入を強める算段となっています。
今週は地政学リスクや米金利動向も含めて捉えどころなく相場が乱高下することは避けられず投資家心理の悪化が一段と深まる可能性があるでしょう。しかしその一方で、調整相場の出口も見えてきているところで、セリングクライマックス的な場面にも直面するかもしれません。前回の解説を参考にポジションの一部を利食いした方やポジションを中立で待ち構えている方は狙いどおりに押し目買いを検討したい場面があるでしょう。これまで世界が見て見ぬフリをしてきたリスクがえぐり出されている現状を理解し、投資家として下値で売らされることは極力避けつつ、むしろこの嵐が吹き荒れる局面をチャンスとして生かす姿勢で臨みたいところです。
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