【10/5日本市場の確認ポイント】
日経平均 31,075.36(+1.80%)[30,565~31,083]
TOPIX 2,263.76(+2.02%)[2,225~2,265]
マザーズ 700.42(+3.34%)[685~701]
値上がりセクターTOP5
1.証券・商品先物(+4.64%)
2.その他金融(+4.21%)
3.不動産(+3.74%)
4.銀行(+3.65%)
5.輸送用機器(+3.64%)
値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲1.75%)
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし
日本市場は月初からの世界的金利上昇をうけた急落後の自律反発で大幅高、先物買戻しが原動力となり日経平均は31,000円を回復しました。TOPIXの上昇率は+2%を超え、銀行はじめ金融株や自動車株の戻りが指数を押し上げました。700pt割れで年初来安値を更新したマザーズ指数も+3.3%高となり、前日の急落分以上の反発をみせ700ptを回復。
東証プライムは9/28から5日続落で値下がり銘柄が1,000超えの日が続き騰落レシオやRSIは極端な売られ過ぎゾーンに突入。騰落レシオ(6日)は30pt台まで低下して地合い悪化が鮮明となりましたが、昨日は一転して全面高商状。原油価格の急落に伴い石油関連株は軟調となりましたが、それ以外のセクターが大きく買い戻されました。
為替円安の150円突破と日経平均急落によりドル建て日経平均は今年3月以来の水準にまで下落しましたが、株・為替の持ち直しで大幅反発し、海外勢の先物買戻しを促しました。日本の長期金利は日銀の政策修正観測から高止まりしているものの、マザーズ指数の大幅反発により地合いは改善しました。
【米国株概況】
米金利警戒が燻る中で重要性が増す米経済指標と米国債入札、来週も下値波乱継続が予想される米国株
NYダウ 33,119.57(▲0.03%)[32,941~33,174]
S&P500 4,258.19(▲0.13%)[4,225~4,267]
NASDAQ 13,219.83(▲0.12%)[13,087~13,251]
ダウ輸送株 14,678.2(▲0.32%)[14,585~14,759]
半導体SOX 3,407.0(▲0.52%)[3,376~3,433]
日経平均先物(CME) 31,030(+0.03%)[30,555~31,195]
ドル/円 148.25~149.11(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.804%(高値0.816%:10/5、安値0.131%:2022/3/6)【高値更新】
米10年債利回り 4.719%(高値4.887%:10/4、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 82.76(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1836.25(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.567(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)18.49(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 129.75(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 24(EXTREME FEAR:極度の恐怖)
High Yield Bond (HYG)72.59(安値70.30:10/13)
米国市場では政府機関閉鎖リスクに伴う混乱が続く中、米雇用関連指標の下振れや原油相場の調整売りなどから米FRBの高金利政策に対する警戒感がやや緩和、米金利上昇にも一服感が出て米株買戻しにつながりました。
米雇用関連指標では3日の8月JOLTS求人件数が961万件と予想を大きく上振れて米FRBの金融引き締めスタンスを後押しするものとなったものの、翌4日のADP雇用統計は反対に前月実績や予想を大きく下回ったことで利上げ警戒が緩和して米長期金利の低下を促しました。明日に米9月雇用統計を控えて米労働市場に対する見方は強弱感が対立し、株式市場では様子見姿勢が強まりました。
米長期金利はなお高水準で推移しており、週末の米雇用統計に対する警戒感が燻っていますが、WTI原油先物市場の下落によってインフレ再燃に対する警戒感は緩和しています。米FRBメンバーによる高金利政策には維持・強化する見方が強いものの、次回FOMCで追加利上げに踏み切るかは流動的と言えます。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は債券金利の上昇をうけて利上げ1回分に相当するものとして、次回のFOMCでは政策金利据え置きも可能との見方を示しました。
また、リッチモンド連銀のバーキン総裁も直近の米金利上昇に対して米経済指標の堅調さと大量の国債供給によるものであることを言及し、米経済のファンダメンタルと需給の緩みを認識しての発言から米FRBも足元の米国債市場に対して今後の金融政策決定においてかなり注目しているとみられます。
米国株は売り優勢のところから買い戻され、終盤にかけては一進一退でしたが、週末の米雇用統計および来週の米国債入札スケジュールを前に神経質にならざるを得ない様子がみてとれます。とくに来週は米経済指標で物価関連のCPI・PPIでインフレ動向を確認するほか、米10年債ならびに米30年債の入札を控えていますので、これらをうまく消化できるかが焦点となってきます。
米金利水準が再度高値更新してくるようだと米株市場でも警戒感が一段と強まりかねないですが、反対に入札を無難に通過できれば現在の5%近い利回りの米国債は魅力に映り、米金利低下を促すでしょう。来週末には米金融株の決算発表を皮切りに、米株市場は業績相場へと移っていくとみられますので、金融セクターはやや波乱含みとなる可能性があるもののそれ以降、つまり再来週以降の米企業が米国経済の堅調さを反映した決算が出てくるようであれば米国株の反転材料となってくる期待は持てるかもしれません。
【日本株投資戦略】
世界同時株安も日本株は年金リバランスの一過性要因であった可能性、下値波乱続くも10月後半の反転に期待
日本市場は急落後の自律反発から戻りを試す相場ですが、日米の金利水準が高止まりしている間はまだ警戒感が残りますので来週も下値波乱が続くとみておく必要があるでしょう。直近の急落相場でバリュー株、グロース株問わず全面安商状となったことにより値ごろ感からの押し目買いは入りやすいとみられる一方、需給悪化による戻り待ちの売りも控えているために上値は限定的とならざるを得ません。
目先はまず急落のきっかけとなった金利警戒が和らぐことと、戻り売りを消化するための日柄調整が必要となります。また、9月の植田日銀総裁インタビュー発言以降、日銀政策修正観測が世界に取り残された日本の金融引き締め転換が早まるのではないかという売り手の思惑を支援するものとなっていますので、空売り筋もけっこうしぶとく粘ってくるとみられます。
昨日東証から公表された投資部門別売買状況によると、9月第4週(9/25~9/29)も海外勢は売り越しとなり、現物・先物合算では1.6兆円の売り越しとなっています。ただ、現物株は▲776億円と急減して大半が先物売りであったことから、記録的な売り越し水準も9月の配当課税回避や期末リバランスに対する一過性の需給要因と言えるかと思われます。
これに10月初めのドカ売りも含めて、国内では年金勢による日本株売り需要が3.8兆円にのぼると大和証券レポートでは伝えられておりましたので、この9月末~10月前半の急落相場は海外勢の先物売りが主因というよりも年金勢のリバランス需要もかなりの大きさであることを考えれば辻褄が合うかと思います。
すなわち年金勢のリバランス売りが一巡してくるにしたがい下値をわざわざ売り込む勢力がいなくなるため、海外勢も先物を買い戻してくるようになるでしょうし、当然ながら現物株は下値を積極的に拾っているとみてよいかと思います。とくに10/4の急落時には売買代金が4.5兆円と大きく膨らんでおりましたので、それだけ押し目買いした投資主体が個人の他にも存在していたことを物語っています。上述の米国株概況から米国市場は少なくとも来週いっぱい波乱の展開が続く可能性がありますので、日本市場もそれを無視できず本格的な反転は再来週になってからかもしれません。しかし、足元はバーゲンハンティングの好機でもありますので、10月後半の相場反転を見越して押し目買いを狙っていくとよいでしょう。
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