【10/3日本市場の確認ポイント】
日経平均 31,237.94(▲1.64%)[31,157~31,607]
TOPIX   2,275.47(▲1.68%)[2,271~2,305]
マザーズ   697.97(▲2.66%)[697~715]

値上がりセクターTOP5
1.なし
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲6.26%)
2.石油・石炭(▲5.47%)
3.非鉄金属(▲3.62%)
4.鉄鋼(▲3.50%)
5.輸送用機器(▲3.15%)

 日本市場は世界的な金利上昇警戒を背景とした同時株安の流れをうけて大幅続落、日経平均/TOPIX、大型/小型問わず全面安商状となりました。とくに金利上昇が逆風となるグロース株というよりも、むしろバリュー株の利益確定売り要因が強く、値下がりセクター上位には軒並み低PBR業種が並びました。

 バリュー系セクターでは2日の段階では金利上昇を背景に銀行株が逆行高し、海運株も買い戻される動きもみられましたが、昨日はほぼ壊滅状態で総崩れとなり、かえって半導体株の一角に強含む場面があったように調整一巡となったグロース株の方が値保ちの良さを窺わせました。

 とはいえ、日米の金利上昇が連日で高値更新している状況で新興マザーズ指数を見れば厳しい下落を強いられています。先日の安値形成時に700pt割れを回避しましたが、とうとう節目を割り込んできたことで見切り売りも誘発しやすい状況となっています。中小型株では銘柄よりけりで乱高下激しいですが半導体関連やAI関連、サイバーセキュリティなどテーマ性に着目した資金集中がみられたりもしますので、今年のIPO株などで需給整理が済んで出直ってきているものを物色するのも妙味ありと言えそうです。

【米国株概況】
米政府機関閉鎖回避後も続く米国債売り、債券ボラティリティが株式に飛び火して大惨事

NYダウ 33,002.38(▲1.29%)[32,916~33,398]
S&P500 4,229.45(▲1.37%)[4,216~4,281]
NASDAQ 13,059.47(▲1.87%)[13,008~13,280]
ダウ輸送株 14,681.9(▲0.78%)[14,620~14,867]
半導体SOX 3,376.6(▲2.10%)[3,355~3,464]
日経平均先物(CME) 30,750(▲1.44%)[30,660~31,660]
ドル/円 148.43~150.18(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.750%(高値0.786%:10/3、安値0.131%:2022/3/6)【高値更新】
米10年債利回り 4.801%(高値4.821%:10/3、安値1.668%:2022/3/7)【高値更新】
WTI原油 89.50(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1839.35(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.616(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)19.78(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 129.78(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 17(EXTREME FEAR:極度の恐怖)
High Yield Bond (HYG)72.15(安値70.30:10/13)

 米国市場では連日のように米金利上昇で高値更新が続き、米国株にはストレスフルな投資環境となっています。それでもなお米FRBメンバーは追加利上げの見通しを崩しておらず、債券市場ではこれまであまり聞く耳を持っていなかったのが、ここにきてようやく米FRBに屈した形で金利上昇に拍車がかかっています。

 といいますのも、米政府が財政規律を度外視して米国債を大量増発しているため、債券市場では日を追うごとに米国債がダブついていき需給が緩みやすいと言えます。米10年債利回りはあっという間に4.8%台に乗せ、米30年債利回りにいたっては5.0%目前となっており、米2年債利回りなどとの逆イールドは急速に縮小してきています。

 これら米金利上昇の背景には、米国経済が思いのほか堅調であることも関係しており、やがて逆イールド解消からソフトランディング成功を演出したい米政権側の思惑と、それとは裏腹に市場ではQT(量的引き締め)進展していく中で当局が過剰流動性を吸い上げられてしまうジレンマに直面することとなっています。

 米長期金利の水準が5.0%も視野に入ってきた中で、米国債市場の需給が均衡してくるのは潜在的な買い手が5%を前に触手が伸びてくるかどうかで大きく変わってきます。債券市場のボラティリティが今年3月以来の急上昇を見せており、これと株式市場のボラティリティ、リスク指標のVIXやFear&Greed指数の警戒モードは密接に連動しています。足元では米国債ショート(売り)ポジションが極端に積み上がっている状態から、米経済指標や米国債入札をきっかけにこれが逆流してくる可能性もあり、どのタイミングで米金利が低下に転じてくるかだけが最大の焦点と言えそうです。

【日本株投資戦略】
暴落商状で始まった10月相場、カギを握るのは金利上昇耐性をみせ始めた半導体株

 日本市場は相場格言にある「2日新甫は荒れる」といったように、週明け2日の急騰場面から一気に崩落へと向かい日経平均は32,400円から30,600円台へとわずか3日間のうちに▲2,000円近い急落となっています。この間に日本の債券市場でも金利が0.8%にまで迫り、金利スワップ市場では日銀のYCC(イールドカーブ・コントロール)上限金利の1.0%に到達と、日本でも金利高が株式市場を圧迫する要因として強くのしかかってきています。

 日本の場合、米国とは異なり金融政策は緩和継続でマネタリーべースも拡大と過剰流動性は十分に担保された環境はあるわけですが、問題はこれが日本市場に流入するというよりも金融機関を通じて米国債購入に充てられている部分などもあり、日本円の先安観などから為替も米ドル高円安の方へ一段と進んでいます。

 足元での株安は先週の配当落ちや月末リバランスなどと比べても売り圧力の次元が違っており、形振り構わぬ暴落に近い商状にも見えますが、一方でこの急落3日間ではそれなりの秩序を保ってバリュー株<グロース株で優位性の転換も感じられます。たいていの場合、金利上昇に弱いのはバリュー株よりもグロース株の方であり、高PER銘柄がバリュエーションからよく売られます。

 しかし、足元では低PBR銘柄、あるいは高配当株がよく売られており、株式市場内でのバリュエーション調整というよりも、株式と債券とを比較した場合での、株式配当利回り・益回りと債券利回りでリスクリターンを比較検討したときにリスクの大きい株式よりも米国債で金利5%を安定的に受け取れる方が魅力的と考え、株売り債券買いにつながったりします。歴史的インフレの終着点が見えていない以上、株式よりも債券がリスクが低いとは一概に言えないのですが、足元の株安はそうした市場ロジックの下に株式市場の暴落演出がなされています。

 とはいえ、先週から注目している半導体株などは上値を試していく途中で今回の市場崩落に遭いましたが、中心銘柄で売買代金上位のレーザーテック(6920)や東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)などは本日の下落分こそ大きいですが、この3日間における金利上昇耐性もみられます。日経先物売りの圧力がこれだけ強いとわかりにくいですが、金利上昇一服後の展開も見据えてグロース株優位のシナリオも描いておくとよいかと思われます。

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