【9/22日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,402.41(▲0.52%)[32,154~32,535]
TOPIX   2,376.27(▲0.30%)[2,355~2,387]
マザーズ   726.61(+1.98%)[706~729]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+1.70%)
2.空運(+1.37%)
3.銀行(+1.02%)
4.石油・石炭(+0.79%)
5.精密機器(+0.33%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲2.54%)
2.電気・ガス(▲1.94%)
3.非鉄金属(▲1.23%)
4.卸売(▲1.11%)
5.建設(▲1.00%)

 日本市場は日銀金融政策決定会合への警戒感も燻る中、米国株続落をうけて売りが先行しましたが、後場には日銀金融緩和維持が伝わり買い戻しが優勢となりました。TOPIXは一時プラス圏へと浮上する場面もみられたほか、東証プライムの売買代金は概算でおよそ4兆円に迫る大商いともなりました。

 日銀会合を通過したことで買い安心感を誘ったほか、日米金利差の高水準から為替も円安に振れたことで自動車やエレクトロニクス、メガバンクなども買いが優勢となっていきました。一方、海運株や商社、鉄鋼などは利益確定売りにさらされ、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり839/値下がり924とやや値下がり優位のまま取引終了となりました。

 日銀イベント通過とは別に、寄付の直後からプラス圏に浮上したマザーズ指数は前日大幅安の多くを取り戻す+2%近い反発。金利上昇警戒の緩和とともにグロース株買戻しでリターン・リバーサルも期待される場面であるほか、グロース市場には配当落ち影響が軽微である分、今週後半に向けては相場の立ち上がりが早いことも押し目買いに食指が伸びやすいとみられます。

【米国株概況】
米金利上昇の一服から米株買戻しも内政要因が戻り抑制、リバーサル期待も上値は限定的か

NYダウ 33,963.84(▲0.31%)[33,947~34,156]
S&P500 4,320.06(▲0.22%)[4,316~4,357]
NASDAQ 13,211.81(▲0.09%)[13,200~13,353]
ダウ輸送株 14,987.9(▲0.47%)[14,958~15,167]
半導体SOX 3,365.3(+0.79%)[3,354~3,398]
日経平均先物(CME) 32,265(▲0.02%)[31,940~32,420]
ドル/円 147.50~148.45(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.724%(高値0.765%:9/21、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.438%(高値4.508%:9/22、安値1.668%:2022/3/7)【高値更新】
WTI原油 90.33(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1944.90(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.694(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)17.20(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 137.74(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 36(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.00(安値70.30:10/13)

 米国市場は日銀会合を無事通過して米金利上昇への警戒も一服したことから、直近売られたハイテク株から順当に買い戻す動きにつながったものの、米FRB高官らの発言から引き続き高金利政策の長期化が意識されたことや9月末にも政府機関閉鎖に陥る可能性への懸念などから上値が重い展開となりました。

 先週は米FOMCでの追加利上げ見送りのほか、日銀会合でも金融緩和政策維持が決定され、とくに日銀が政策変更せずに米国債売りを刺激しなかったことは米国株にとっても幸いと言える結果でした。ただし、米経済指標における製造業の不振が鮮明化する中、為替は一段とドル高が進みやすくなる展開で米産業界にとっては厳しい状況となります。

 米自動車界でのスト拡大が来年の米大統領選にも影響を及びかねない状況からバイデン米大統領やトランプ氏も現地入りするなど混乱が続いているほか、米政府内でも10月1日の新会計年度開始が迫る中で国防支出法案の審議が否決となり政府機関の閉鎖に追い込まれかねない事態となってしまっています。マッカーシー米下院議長はこれを回避するためにつなぎ予算の措置を急ぐ構えですが、場合によっては来週の米経済指標発表が困難となる可能性もあります。
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 ひとまず中銀ウィークを通過して米長期金利も一時の4.5%台から低下したことで株安への警戒感は和らぐものとみられます。ただし、高金利政策とインフレ率鈍化によって実質金利の高止まりが米国株の上値を抑える要因として意識される以上、上昇期待値が次第に低下せざるを得なくなります。生成AIブームでビッグテックが主導する相場も期待できないわけではありませんが、米国債売りが警戒される状況では上値も限定的とならざるを得ないと言えるでしょう。

【日本株投資戦略】
日米金利の上昇一服から反発期待、インフレ圧力継続がむしろ株高期待へとつながる

 日銀金融政策決定会合への警戒が続いた先週とは打って変わり、今週の日本市場は米国とは正反対に内政要因によって株高が期待される状況と言えます。日銀はあれこれ理由をつけながらも金融緩和政策の維持を貫き、さらに植田日銀総裁の発言では物価目標から企業の賃上げ動向によって期待インフレ率が上昇するか次第が政策修正の判断ポイントと焦点を動かされました。
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 日銀が年内に政策修正に踏み切るのではないかという観測は依然として残りますが、いずれやるとしても期待インフレ率が上昇して実質金利の低下が一段と見込まれる段階においての話ということであれば、それはつまり日本株高を見届けた後ということになります。よって、しばらくは金利というより企業や家計に働きかける為替円安による輸入物価上昇圧力が焦点になるということかと思われます。

 日本株においても金利上昇懸念の一服からこれまでのリターン・リバーサル期待をしたいところで、下げ幅の大きかったグロース株ほど戻り余地も大きくなると言えます。ただし、日本だけでなく米国の金利にしても低下余地は限定的なことから、やはりバリュー株優位の展開は今後も変わりにくいと考えられ、完全にバリュー株⇒グロース株へ優位性が転換してくるとは考えない方がよいでしょう。

 したがって、今週は配当権利付最終売買日と前後してバリュー株・高配当株の利益確定および配当落ち後の押し目買いを検討、そしてグロース株は金利動向を勘案しながら新規買い、あるいは追加買いを検討していく場面と思われます。今週はまだ不安定な相場が続くことを前提にしつつ、10月は米国企業決算そして日本企業決算を前に業績思惑が高まりやすくなってくることも念頭に置いて取り組む必要があるでしょう。

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