【8/31本市場の確認ポイント】
日経平均 32,619.34(+0.88%)[32,359~32,692]
TOPIX   2,332.00(+0.80%)[2,314~2,336]
マザーズ   760.17(▲0.18%)[759~766]

値上がりセクターTOP5
1.輸送用機器(+1.89%)
2.サービス(+1.66%)
3.陸運(+1.60%)
4.空運(+1.53%)
5.卸売(+1.36%)

値下がりセクターTOP5
1.証券・商品先物(▲0.35%)
2.銀行(▲0.19%)
3.鉱業(▲0.10%)
4.なし
5.なし

 日本市場はようやく東証プライムの売買代金がまともに3兆円超えになるとともに日経平均も25日移動平均線を上放れる動き、TOPIXはバブル後最高値に肉薄してきました。トヨタ(7203)は全工場稼働停止の逆風を乗り切りつつ一段高で8/2の最高値接近しており、TOPIXのアウトパフォームに寄与しました。

 米金利低下を背景に主力グロース株も上昇し、リクルートHD(6098)や半導体のディスコ(6146)なども新高値更新、8月半ばの下押しが浅かった銘柄の躍動がみられます。中国にらみで神経質な動きをみせた景気敏感業種、とくに外需株ではコマツ(6301)なども高値更新してきており、8月の米国債格下げ騒動や中国リスクなど悪影響が懸念された銀行株、機械株も出直りが鮮明となっています。

 内需系でも不動産や電力・ガス、陸運、食料品など広範に買われており、これがTOPIXの押し上げに寄与しているとみられる一方、情報・通信やサービスなどの中小型株も上昇。新興市場はマザーズ指数が25日線突破後にまだ不安定さを覗かせるものの、戻り売りをこなせれば一段高も見えてくると思われます。

【米国株概況】
米経済指標の下振れで米FRB利上げ観測後退、米金利低下でハイテク株主導の株高が再燃

NYダウ 34,721.91(▲0.48%)[34,719~35,070]
S&P500 4,507.66(▲0.15%)[4,507~4,532]
NASDAQ 14,034.97(+0.11%)[14,010~14,114]
ダウ輸送株 15,725.2(▲1.27%)[15,839~15,961]
半導体SOX 3,670.9(+0.74%)[3,636~3,690]
日経平均先物(CME) 32,500(▲0.34%)[32,350~32,695]
ドル/円 145.35~146.22(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.631%(高値0.683%:8/23、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.110%(高値4.358%:8/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 83.56(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1966.60(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.831(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.57(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 144.70(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 53(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)75.28(安値70.30:10/13)

 米国市場はジャクソンホール会合後のセンチメント改善が続いており、足元の米経済指標では雇用指標の下振れにより追加利上げ観測の後退および米金利低下を促して、ハイテク株買いを後押ししています。今晩の米雇用統計を控えて様子見相場と言えますが、それでも半導体SOXの5日続伸やVIX指数低下に象徴されますように先高観が醸成されています。

 市場に大きなサプライズをもたらした7月JOLTS求人件数をはじめ、労働市場ならびに米個人消費にまつわる経済データの下振れが米FRBの9月利上げ見送りに期待を抱かせるとともに、米景気減速というより過熱の抑制という当局の目論見が効果を現し始めたことを受けて米国債買い⇒米金利低下につながっています。今晩の米雇用統計次第では観測が確信に変わり、一段の米金利低下に拍車をかける可能性もあり、ハイテク株の見直し買いを刺激しそうです。

 他方、米景気の抑制といった観点から今後の米個人消費が減速へ向かうとの見方も出来つつ、昨晩のPCE(個人消費支出)では市場予想を上回る伸びが確認され、水準的に個人消費は旺盛とみられます。また、同時にユーロ圏ではドイツ経済の減速により景況感が悪化しつつフランスなどではCPI(消費者物価指数)が予想上振れとなるなどインフレ退治のプロセスが容易ではなく、欧州ECBの利上げサイクルにも見方が分かれるようになってきています。

 米国株は良くも悪くも米経済指標の悪化が株高材料として好意的に受け止められることによって強気相場が期待されます。日本と同様にまだまだ薄商いの中で買戻し中心の相場とみられますが、8月初めからの下落を半値戻し達成で全戻しも見込めますので、引き続き強気継続でよいものと思われます。

【日本株投資戦略】
9月上昇相場の期待は前半戦、政府の成長戦略に沿った国策テーマ株に注目するのも面白い

 日本市場も個別株の明暗は分かれるものの、大型・小型問わず全体では戻り基調に転換しています。セクターのローテーションなども交えつつ、引き続き堅調な好業績内需株、そして中国リスクの織り込み後で景気敏感外需株の戻りにも期待が持てる状況です。

 足元では各省庁が来年度予算の概算要求を提出し、経産省では過去最大となる2兆円超の要求額に膨らみ、目玉の半導体産業支援のほか、政府の成長戦略重点4分野「バイオ・量子・AI・次世代医療」への投資方針も固まってきています。これらは株式市場の重要なテーマに位置づけられるとともに、相場の復調を待っているところです。

経産省概算要求、過去最大の2兆円超-半導体関連に1230億円を計上(2023/8/31)
研究開発の重点分野

 とくに8月の下落相場で大きく値崩れしたグロース市場では、業績にはまだ反映されないものの将来材料を内包したテーマ株が売られたまま再起を待っているところであり、材料が出たところから順番に噴き上げるような動きもみられています。まだ短期筋中心で上昇持続性には欠けるものの、こうした値動きが夏休み明けの個人投資家の参戦を呼び込み、今秋に向けての相場が立ち上がる狼煙のようなものとみることもできるでしょう。

 先週から今週の段階である程度、大型・主力株の仕込みは完了しているものとみられますので、余力がある方などはテーマ株の選定に注力してみるのもよいでしょう。9月相場で盛り上がりが期待できる前半戦のうちに利益確定をできるような立ち回りを心がけて、遅くとも9月3連休後の中央銀行ウィーク(9/19:米FOMC,9/21:日銀金融政策決定会合)までに9月分の利益を稼ぎ切ってしまえるように取り組むのが理想かと思います。

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