【8/24本市場の確認ポイント】
日経平均 32,287.21(+0.87%)[32,063~32,297]
TOPIX   2,286.59(+0.42%)[2,277~2,289]
マザーズ   743.00(▲0.38%)[741~751]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+1.20%)
2.建設(+1.01%)
3.石油・石炭(+0.95%)
4.情報・通信(+0.90%)
5.証券・商品先物(+0.85%)

値下がりセクターTOP5
1.ゴム(▲0.44%)
2.輸送用機器(▲0.36%)
3.その他製品(▲0.33%)
4.空運(▲0.21%)
5.陸運(▲0.13%)

 日本市場は米半導体大手エヌビディアの好決算で時間外急騰する動きを好感し、日本の半導体株も大幅反発。東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)などが売り方の買戻しも加わって急伸、ソフトバンクG(9984)なども強い動きを見せて日経平均は25日移動平均線付近まで戻りを試しました。

 ただし朝方に大きく買いを集めた半導体株はアドバンテスト(6857)が上昇幅を縮めると同時に、同じく半導体関連人気株の一角ソシオネクスト(6526)が証券会社の投資判断引き下げで売りに押されマイナス転換、高寄り陰線を形成しました。米金利低下で為替がドル安円高に振れたことで自動車株も軟調に推移しましたが、内需株が堅調でTOPIXは25日移動平均線を突破してきています。

 米エヌビディア決算を機に材料物色が意識されましたが、全体の商いは多少増加に転じてきたもののまだまだボリューム不足。しかし半導体株の上げ幅縮小後も日経・TOPIXともにじりじりと上昇を続けたことでバリュー株などの物色意欲が高いことを確認。金利低下は日米共通でマザーズ指数など新興株も続伸期待があったものの、戻り売り圧力が強いことからまだ需給面での苦戦が浮き彫りになっています。

【米国株概況】
エヌビディア好決算後のハイテク株売りに市場が震撼、週末のジャクソンホール会合に注目も波乱材料とはならずアク抜け期待

NYダウ 34,099.42(▲1.08%)[34,093~34,694]
S&P500 4,376.31(▲1.34%)[4,375~4,458]
NASDAQ 13,463.97(▲1.87%)[13,462~13,834]
ダウ輸送株 15,648.0(▲0.76%)[15,643~15,814]
半導体SOX 3,481.3(▲3.35%)[3,474~3,663]
日経平均先物(CME) 31,690(▲1.65%)[31,665~32,285]
ドル/円 144.57~145.94(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.641%(高値0.683%:8/23、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.245%(高値4.358%:8/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 78.88(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1944.70(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.769(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)17.20(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 132.48(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 44(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.30(安値70.30:10/13)

 米国市場は前日の半導体大手エヌビディアの超絶決算を好感してハイテク株が強く買われて始まりましたが大きく失速、ナスダックは25日移動平均線で打ち返されて朝方の高値からは▲2%超の大幅反落。その他、アップルやマイクロソフトなどビッグテックの下落幅が軒並み▲2%超のほか、半導体のインテルやアドバンスト・マイクロ・デバイセズなどの大幅安が響きました。

 時間外の急騰から注目を集めていたエヌビディアも高値更新した後に大陰線を形成、激しい値動きに前回決算後と同じく大きな出来高を記録しました。半導体業界でのエヌビディアによる生成AIビジネス独り勝ちを印象づけた決算反応はエヌビディア以外の半導体株にこそ大きな影響をもたらす結果となりました。ただ、決算材料の消化に個別株オプションの影響なども色濃く反映されやすかったとみられ、一概にその他半導体株の全敗というわけではないものと思われます。

 一方でボーイング小型機の不具合発覚で▲5%近く売られたボーイングをはじめ、ウォルト・ディズニーや小売のナイキなど米個人消費に関連する銘柄群の下落がいよいよ年初来安値接近で警戒感が強まっています。米経済指標とのコントラストが鮮明で米個人消費の先行き懸念を反映している可能性もありつつ、ハイテク株の動向が激しく米国株相場ではそちらに目を奪われてしまいがちです。

 ただ米国株も今の時期はまだ夏枯れで商いも低空飛行を続けているため限られた材料に過敏反応してしまいがちな面は否めません。まして足元では8/24~26の日程で今後の相場に重大な影響を及ぼすジャクソンホール会合が開催されているため、市場は手控えムードが蔓延しています。実際、ジャクソンホール会議の結果それ自体が相場の波乱要因になるとは考えておりませんが、イベントドリブンとしての売買はそれなりにあるかと思います。しかし、イベント通過後は不透明感解消から足元の自律反発を後押しするものとみており、8/18の安値で底入れ確認が済めば米国ハイテク株は押し目買い好機ということになるでしょう。
ジャクソンホール会議開幕へ 市場動かす日米欧中銀集結(2023/8/25)

【日本株投資戦略】
8月波乱相場を演出した海外勢のドカ売りを確認、夏休み明けの相場復調期待で強気の押し目買い

 日本市場も米エヌビディア決算を好感して半導体株や新興AI関連株などにテーマ買いが広く波及、半導体株の上げ幅縮小やグロース市場全体での需給的な重しは否めませんでしたが、日本株にとっても刺激材料となったことは間違いありません。日経平均は「需給線」とも呼ばれる25日移動平均線にトライしており、これを上抜けてきますと上昇トレンドへの回帰が期待できるようになってまいります。

 8月に入って以降の調整相場から弱気な見方も浸透してきたところですが、相場展開はむしろここから強気転換していく局面とみられ、今週はイベント警戒をふまえつつ逆張りでの買いが有効打となる、あるいは今後の上昇がそれを証明してくれるようになるものと思われます。

 くしくも昨日の投資部門別売買状況が発表されたところによると、8月第3週(8/14~8/18)における海外勢の現物株ドカ売りが今年3月以来の7,415億円売り越しだったと判明しました。しかし、米国の米国債増発懸念や米銀行不安再燃、中国の不動産不況など一歩間違えれば金融危機にもつながりかねないような神経質なニュースが出ても、米中当局の流動性供給などを通じてショックはだいぶ緩和されたものとなり、言い換えればこの程度で済んでこれ幸いといったところでしょう。
海外勢、8週ぶり現物株売り越し 個人は買い越し(2023/8/24)

 当塾では8月初めの上昇ピークから下落リスクに警鐘を鳴らしながら、直近では強気転換して半導体株の押し目買いチャンスとみた相場観は今のところ有効にワークしているものと考えています。しかし昨日の日本株動向を鑑みて、半導体株だけでなく日本国内のインフレ環境も社会に広く浸透して内需も堅調に推移していることをふまえれば、外部環境を無視して買っていける銘柄は数多くあると思いました。

 生成AIテーマ株にしても米エヌビディア独り勝ちではなく、むしろ生成AI活用は欧米で一斉に規制を警告する動きが広がる中、日本国内では積極的に活用していくべきとの機運が広がり、AI社会実装の優位性は予想以上に大きいものがあると思われます。市場はまだ夏休みモードからの立ち上がり段階で不安定なことは承知の上として、徐々に投資家が戻って商いが再び増加基調に転じてきた時、日本株が改めて今年のベストパフォーマンスを記録する可能性に注目が集まる展開可能性も大いにあると思っています。

スタンダード会員へご登録いただくと、1.今後のマーケットについても展望する【先読みの近未来】、2.日々の≪重要ニューストピック≫を厳選して深堀りする【揺れ動く世界情勢の解説】などを加えた内容充実のメールマガジンをお届けします。