【8/22本市場の確認ポイント】
日経平均 31,856.71(+0.92%)[31,693~31,906]
TOPIX 2,265.71(+1.08%)[2,251~2,265]
マザーズ 735.15(+0.08%)[732~743]
値上がりセクターTOP5
1.銀行(+2.92%)
2.輸送用機器(+2.05%)
3.証券・商品先物(+1.86%)
4.卸売(+1.68%)
5.石油・石炭(+1.44%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲0.32%)
2.陸運(▲0.08%)
3.医薬品(▲0.00%)
4.なし
5.なし
日本市場は米金利が再上昇する兆しもみせる中、米半導体大手エヌビディアが投資銀行の目標株価引き上げを刺激材料としながら急騰。高値調整3割に達する米テスラも自律反発を見せるなど、局所的ながらも売り込まれてきたグロース株を見直す動きが強まりました。米ナスダックの反発を好感して日経平均は半導体株を中心に戻りを試す展開となり、同時に米金利上昇をうけた銀行株も軒並み買われました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1329/値下がり443となり、半導体、自動車、金融、エネルギーなど分かりやすいセクターに資金が向かいました。一方で、半導体株以外のグロース株は不発で医薬品株の軟調はじめエムスリー(2413)なども戻り売りに押されました。また、海運株や鉄道株などが冴えず値下がりセクターとなりました。
日米ともに金利再上昇で高値を更新したことを跳ねのけて上昇できたグロース株はまだ一部にとどまり、大半の新興株にとっては逆風と捉えられました。マザーズ指数は米金利低下を好感した21日は目を見張るような大幅高を見せましたが、22日は戻り売りに押されて小幅続伸。しかし、足元では自律反発の動きが見られたことだけでも安心材料で、金利に対する警戒感が緩和するに伴う見直し余地が大きい面から新興株にも投資妙味が感じられるようになりました。
【米国株概況】
米金利の上昇再開とグロース株の動向、実質金利上昇の警戒感でもなお強気相場に舞い戻る可能性を秘めた米国株
NYダウ 34,288.83(▲0.51%)[34,256~34,514]
S&P500 4,387.55(▲0.28%)[4,382~4,418]
NASDAQ 13,505.87(+0.06%)[13,484~13,598]
ダウ輸送株 15,591.9(▲0.72%)[15,542~15,797]
半導体SOX 3,527.7(▲0.93%)[3,516~3,610]
日経平均先物(CME) 31,760(▲0.50%)[31,675~32,020]
ドル/円 145.49~146.38(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.655%(高値0.674%:8/22、安値0.131%:2022/3/6)【高値更新】
米10年債利回り 4.329%(高値4.358%:8/21、安値1.668%:2022/3/7)【高値更新】
WTI原油 79.69(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1926.85(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.758(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)16.97(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 134.06(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 47(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)74.11(安値70.30:10/13)
米国市場は米住宅指標の悪化や米FRBメンバー発言を受けながら利上げ警戒からNYダウは続落、債券市場では米2年債利回りが5.05%まで上昇するなど短期債中心に売られ、長期債は買い直されて米30年債利回りは低下。利上げに関しては明日からのジャクソンホール会合でパウエル米FRB議長発言に注目が集まり、直接的な言及は避けると思われますが、やはり株式市場は実質金利2%到達という状況の中で様子見姿勢を強めました。
追加利上げに関する話題よりもインフレ環境継続による金利高止まりの方に関心が寄せられ、これと同時に米FRBがインフレ目標変更でゴールポストをずらす可能性もあり得るとの憶測も飛び交っています。昨晩のリッチモンド連銀総裁発言はこうした見方を牽制したものでしたが、実際に米FRBとインフレとの闘いでは勝利宣言が遠のくどころか米景気のソフトランディング期待、さらにはノーランディングから経済再加速とさらなるインフレ高進の可能性について議論が巻き起こっています。
◆米リッチモンド連銀総裁、インフレ目標変更ならFRBは信頼失う恐れ(2023/8/22)
◆米経済「再加速シナリオ」の可能性も、最近の指標受け=リッチモンド連銀総裁(2023/8/23)
住宅市場では中古住宅販売が下振れとなりましたが、これも住宅ローン金利の上昇に起因して持ち家を売却する動きが鈍り、中古住宅の在庫不足に陥っていることにつながっています。その代わり、新築住宅需要がやや持ち直している傾向にあり、新築住宅販売件数は今晩発表予定です。住宅ローン金利見通しに影響を与える米長期金利の動向とともに注目されます。
また、今晩の注目材料はやはり以前から注目してきた半導体大手エヌビディアの決算発表で、21日の大幅高に続いて昨晩も大きく上昇して始まったエヌビディア株は決算警戒から寄り天井の陰線を形成。証券会社の目標株価引き上げからも決算期待はかなり高いものと思われますが、大きな出来高を伴いつつ大陰線でカブセてきたためにかなりドラマチックな展開となっています。決算材料でカブセを上抜けてくれば大幅高が期待できそうですし、反対に市場期待に届かなかった場合には派手めな急落もあり得るパターンです。
◆半導体株に資金、米金利上昇もエヌビディア期待が波及(2023/8/22)
そうは言っても足元で反発を強めてきた半導体株が強気転換したとの期待は変わらないですが、もう一つ昨晩は銀行株の下落が話題となりました。格付会社S&Pが米銀行の経営が不安定になってきていることを指摘し、改めて金融市場における債券金利の上昇に注目が集まりやすくなったと言えます。米FRBが資金供給を行って金融の目詰まりにならないように環境整備し、足元で米2年債利回りが再上昇してきたということは追加の金融引き締めで金利先高観を生んでいることを意味します。金利高環境は新たなステージに突入していく可能性もありますが、ジャクソンホール会合を通過してしばらくの間は米株市場も現実と向き合いながら戻り・上値の余地を探る展開となるでしょう。
◆S&P、米地銀5行を格下げ 収益力や財務の悪化で(2023/8/22)
◆米2年債利回り5%、銀行に「ペイントレード」意味する-TD(2023/8/22)
【日本株投資戦略】
調整続きの中国株に国家隊介入の憶測、急動意の先がけはやはり半導体株、そして銀行株にも大きな上値期待か
昨日は半導体株の大幅反発に加えて中国株の反発もあり、全体で戻りを試す相場となりました。株価の上昇幅としてはそれなりでしたが売買代金は低調で、米エヌビディア決算やジャクソンホール会合など重要な市場イベント前ということもあって積極的に買う向きはまだ少なかったのかもしれません。全体薄商いでもそれなりの反発がみられたというのは、売り方の買戻しによる割合が大きかったものと推測されますが、半導体株が先がけとなって相場を引っ張ったことはかなり好印象です。
◆中国・香港株、午後に大きく上昇-急反発巡り臆測飛び交う(2023/8/22)
時間外の先物では日経平均の32,000円台回復をみた後に米国株の軟化と合わせて再調整しています。良くも悪くも値動きの激しい半導体株の動向が注目されますが、イベント前後に警戒感が高まることは十分想定できることですからオプション市場では指数と米国では個別株オプションでエヌビディア株などがそれなりに売買されています。
市場の商いがボリューム不足であることから余計にこのオプション取引による価格支配力が強まってしまうわけですが、これはまだ投資家の多くが夏休みから戻ってきていない状況ではやむなしという状況と言えるでしょう。ひとまず目先のイベントドリブンは横に置いて、本日はポジション調整で半導体株の一部を利食いして余力確保も選択肢かと思いますが、この先々の展開でより重要なのは昨日の半導体株、銀行株の象徴的な大幅反発が何を意味するものだったのかということだと思います。
半導体株は単にエヌビディア決算期待でというわけでなく、銀行株にしても足元の金利動向だけで上下しているわけではなさそうです。これらを読み解くカギが足元の半導体関連の統計だったり、ジャクソンホール会合での新たな議論などにヒントがあると考えられます。紙幅が限られるため、この辺の詳しい解説は有料版の【先読みの近未来】で取り上げたいと思いますが、難しい話は抜きにこれら急動意株の押し目を拾っていけば9月、10月にかけて波乱の相場展開でも十分な収益機会に変えていくことができそうです。
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