【8/10日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,473.65(+0.84%)[32,015~32,504]
TOPIX   2,303.51(+0.92%)[2,273~2,304]
マザーズ 759.51(▲0.40%)[752~759]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+14.93%)
2.石油・石炭(+5.07%)
3.紙・パルプ(+2.18%)
4.不動産(+2.07%)
5.輸送用機器(+1.89%)

値下がりセクターTOP5
1.精密機器(▲2.58%)
2.電気機器(▲0.24%)
3.鉄鋼(▲0.03%)
4.なし
5.なし

 日本市場は朝方のSQ算出にあたり日経平均32,000円レベルの下値をテストした上で反発、決算材料で売られるソニー(6758)やオリンパス(7733)などもありながら、エネルギー株や百貨店などのインバウンド関連内需株が一斉に蜂起し、全体相場にも刺激になりました。

 原油価格上昇とも相まって上方修正、増配、自己株取得を発表のINPEX(1605)が大商いを伴って+16.6%超の大幅上昇、石油元売りのENEOS(5020)、出光興産(5019)なども+5.5%、+4.3%と大幅高し、鉱業および石油・石炭セクターが値上がり上昇トップ。続いて紙・パ、不動産、輸送用機器などバリュー系セクターがずらりと上位に並びました。

 一方、米金利上昇から米国ハイテク株の足取りの重さによる影響もあり半導体株はじめ精密、電気セクターが下落し、主力グロース株が相場の足を引っ張る展開も継続。市場の明暗がくっきり浮かび上がる中、中小型市場ではゲーム株なども軟調さが際立ちます。マザーズ指数は朝安後に切り返す動きもみられていますが反発は鈍く、下値模索の状況に苦戦しています。

【米国株概況】
米国債入札を通過で米金利上昇とともにハイテク株売り、米経済指標では一部インフレ再燃を警戒する見方も

NYダウ 35,281.40(+0.29%)[35,059~35,354]
S&P500 4,464.05(▲0.10%)[4,443~4,476]
NASDAQ 13,644.85(▲0.67%)[13,609~13,720]
ダウ輸送株 16,209.8(▲0.21%)[16,150~16,285]
半導体SOX 3,514.5(▲2.29%)[3,504~3,554]
日経平均先物(CME) 32,450(▲0.33%)[32,425~32,705]
ドル/円 144.41~145.05(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.580%(高値0.661%:8/3、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.166%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 83.04(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1945.85(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.719(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)14.84(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 135.16(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 66(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.83(安値70.30:10/13)

 米国市場は米経済指標を巡りコアCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)の一部で市場予想を上回る強さがみられ米FRBによる利上げ長期化への懸念が再燃する一方、ミシガン大消費者信頼感指数は期待インフレ率の低下を示すなどインフレ指標のバラつきが意識される状況。

 NYダウは朝安後の持ち直しで2日続伸となりましたが、注目度の高い米30年債入札をふまえた米金利上昇がハイテク株の売りを後押しし、ナスダックは下落。半導体SOX指数も▲2%超の大幅安をみせており、主力ハイテク株の下値警戒が強まりました。米国ハイテク株の象徴的存在でもあるアップルが75日移動平均線を割り込んだ後も続落の動き、生成AIブームで大きく買われたエヌビディアも一段安となっており主力ハイテク株の軟調が相場の重しとして注目されます。

 直近で米10年債、米30年債の入札が続き、米金利は米10年債で4.2%、米30年債で4.3%付近までの上昇で米債市場のムードは悪化しています。今年の米国市場はこれら米金利の低下と主力ハイテク株の上昇が相場を押し上げてきた経緯があるだけに、直近の動向は米国に流入してきた投資マネーを委縮させるものと言えるでしょう。

 しかし、堅調な相場にも調整は付き物で、この夏場の調整はアノマリーベースでもある程度予見されたものであることから、米FRBはあらかじめリバースレポなど緊急時の資金供給対応策として市場の流動性に配慮を見せています。市場には足元の米国株、米国債ともに利益確定売りから捻出した膨大な資金が待機マネーとして存在しており、上記の米国債増発スケジュールの入札をこなしながらも現金および現金同等物はなお高水準まで積み上がっている状況で、再び米金利水準の上昇ストップ、米国ハイテク株の下げ止まりのタイミングを狙っているとみられます。米金融政策は月末のジャクソンホール会議を意識してくる頃合いにもなってくるでしょうから、ここを一つの節目として調整一巡から切り返しも期待できるようになる日も近いでしょう。

【日本株投資戦略】
日本企業の決算一巡で相場の手がかりが薄れてくる場面、グロース株への逆風に耐えつつ次の相場を見据える時

 日本市場は本日で決算シーズンが一巡となるところで、夏場の閑散期真っ只中ということもあり決算プレイが中心の相場となっています。とくに新興株はまだ業績の裏付けに乏しく、期待先行で買われてきたAI系などテーマ株は強めに売られる傾向がありますので、個人投資家にとってはグロース市場の地合いが悪化していることと相まってそれぞれの握力が試されるところでしょう。

 一方、大型の主力どころでは半導体株の軟調が際立ってグロース株敬遠の雰囲気はあるものの、下振れ場面では押し目買いが入っている様子も窺え、市場参加者が少ない中でも相場を張っている投資家の一部は積極的に下値を拾う動きを見せているのだと思われます。

 足元のバリュー株優位、さらに為替は円安基調でも外需株より内需株の物色が特徴的な相場ではありますが、なにより全体としての底堅さが目を引きます。通常であれば半導体株が軟化し始めると他も引っ張られて売られてしまうようになるのですが、今回は逆にそれをカバーする動きで指数の下押しも限定的なものにとどまっています。

 米国株も不調ですからグロース株の上値が重いのは我慢しなければなりませんが、米国市場にしても金利水準との兼ね合いから見ますと、案外底堅いと言えるものかと思います。米国株概況の箇所で解説しましたように米国株の調整が今週あたりで一巡してくれば、日本株の方もバリュー株が下支えした土台の上にグロース株が復調して再び指数を押し上げる相場が期待できるようになるかと思います。よって、市場参加者がお盆明けで戻り始める今週後半、もしくは来週以降では地合いの回復とともに市場の商いも復活が望めるようになってまいるかと思いますので、ちょうど今が踏ん張りどころと言えるでしょう。

 バリュー株や内需株などを中心に手掛けている投資家はむしろ絶好調かと思いますし、このまま強気を維持したまま9月の配当狙いの買いが入ってくる時期まで引っ張るかどうかがカギになってくるでしょう。この辺はポジションの中で利食いやグロース株との入れ替えなども含めて9月前半をメドに検討する必要が出てくるかと思いますので、各銘柄の売買代金の推移などに目を向けておくとよいでしょう。

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