【7/27日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,891.16(+0.68%)[32,503~32,938]
TOPIX   2,295.14(+0.53%)[2,274~2,297]
マザーズ 771.96(+0.25%)[767~774]

値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+2.12%)
2.保険(+1.59%)
3.その他製品(+1.18%)
4.鉄鋼(+1.16%)
5.海運(+1.16%)

値下がりセクターTOP5
1.輸送用機器(▲0.27%)
2.建設(▲0.19%)
3.ガラス・土石(▲0.05%)
4.なし
5.なし

 日本市場は日銀会合警戒による上値の重い展開が続いて商いも低調から様子見ムードも漂う中、TOPIXは揉み合いのレンジを上抜けました。一方、日経平均は33,000円を前に上値を伸ばしきれていませんが、日銀警戒を先物でヘッジしていた投資主体が買い戻しに動いたとみられ、朝方の安寄り後はほぼ一貫して戻りを試す動きでした。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1126/値下がり621となり値上がり銘柄が優勢、減益決算を嫌気されたアドバンテスト(6857)は売られながらも東京エレクトロン(8035)やディスコ(6146)など半導体株が大幅高。前回のグロース株復調の兆しがみられた場面から指数を引っ張る主役セクターの貫禄をみせました。その他、日経寄与度上位銘柄にはファーストリテイリング(9983)、テルモ(4543)、エムスリー(2413)、リクルート(6098)などグロース株の代表どころが並び、日経平均を押し上げました。

 他方、日本株の戻りを後押しする影の主役はTOPIX、バリュー株指数などの優位性にも表れており、引き続き全体を底上げする動きとなっています。ただ、全体とは言っても堅調なのは主力株に偏りも感じられ、中小型株や新興グロース株などには物色の範囲外といったものも多いとみられます。全体の商いも低調である以上、指数および個別株にしてもショートカバー(売り方の買い戻し)による部分が大きいと言えるでしょう。

【米国株概況】
米国株の記録的な長期連騰に水を差した日銀砲、米企業の決算プレイは継続で今後の米金利水準に関心

NYダウ 35,282.72(▲0.66%)[35,216~35,645]
S&P500 4,537.41(▲0.64%)[4,528~4,607]
NASDAQ 14,050.11(▲0.54%)[14,006~14,360]
ダウ輸送株 16,408.0(▲1.28%)[16,372~16,624]
半導体SOX 3,768.3(+1.86%)[3,746~3,845]
日経平均先物(CME) 32,505(▲1.26%)[32,420~33,220]
ドル/円 138.76~141.30(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.438%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.004%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 79.80(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1,945.75(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.847(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)14.41(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 147.93(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 78(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.89(安値70.30:10/13)

 米国市場は前日までのNYダウ13連騰と1987年以来の記録に並んでおりましたが、昨晩も順調に上値を伸ばしていたところに日銀がYCC(イールドカーブ・コントロール)政策の修正について議論とのヘッドラインが流れて急反落。米金利が急上昇して10年債利回りも4%を突破するなど、株売り・債券売り・米ドル売りのトリプル安となる形で史上初のNYダウ14連騰記録とはなりませんでした。

 しかし米企業の良好な決算をはやす流れは変わらず、メタ(旧フェイスブック)や半導体のラムリサーチ、クルーズのロイヤル・カリビアンなどが大幅上昇を見せました。半導体大手のインテルなどもかなり強気の業績見通し発表に急伸する様子もみられましたが、売り物に押されて上げ幅を縮小。主要株式3指数は前日の高値を更新していましたが、引けにかけてはそろってマイナス圏に沈んで取引を終えました。指数系では半導体SOX指数が前日安からの切り返しで大幅高する場面もあり、上げ幅縮小ながらも戻り継続。

 本国の米FOMCは事前観測どおりに0.25%利上げで決定し、次回9月以降の米FOMCでは追加利上げに対する積極性はトーンダウンするのではないかとの見方を市場が強めていた矢先、日銀ヘッドラインから米金利が急上昇する結果となりました。ただ、この日発表の米4-6月期GDPも市場予想の1.8%増に対して2.4%増と予想外の加速となり、米個人消費、企業設備投資が堅調であることを示しました。これなら日銀砲が仮に無かったとしても米金利上昇は妥当とみられるわけですが、実際上昇に拍車がかかったというのは間違いなく、米国株市場にも動揺が走ったと言えます。

 当初より中央銀行ウィークで米FOMC<欧州ECB<日銀と注目度の優先順位は最も日銀が高いことは有料会員向けの【先読みの近未来(スタンダード会員以上の方対象)】では詳しく解説していた点ですが、昨晩の日銀ヘッドラインに関しては政策修正の議論があることを伝える内容で、市場反応はサプライズというよりも性急にポジションの巻き戻しが起こっただけの話かと思われます。

 主流はやはり米企業の決算プレイが中心となる形で、来週以降の米経済指標や前回指摘した米国債および米財務省短期証券の入札状況などによって米金利の水準、米国株上昇が腰折れするかどうかが問われてくるものと考えます。いずれにしても夏場の閑散期は市場の流動性が細る時期でもありますので、日銀砲が一過性のものですぐさま上昇再開となっていくとしても8月相場はやはり警戒も必要になってくるのだと思われます。

【日本株投資戦略】
日銀会合をめぐる市場観測と実際の決定にらみで神経質な展開か、引き続き業績相場で反発の日本株は利食い好機に

 本日は日銀金融政策決定会合が行われる予定でこれまでも様々な憶測が飛び交ってきましたが、いずれにせよ植田日銀総裁の決定次第、そして今後のインフレ見通しに対する発言なども注目されます。先週時点では金融緩和策の現状維持および日本のインフレに関する持続性・安定性にまだ目標途上といった見解でしたが、足元ではにわかにYCC政策の修正観測が取り沙汰されるなど市場もやや疑心暗鬼の動きを見せています。

 前回も解説したとおり日銀会合への根強い警戒感は、米国株が記録的な長期連騰となる中でも日本株の上値を抑えるとともに為替も円高方向へと振れています。上記の米国株の箇所でも触れましたが、昨晩はこの日銀ヘッドラインによって米国市場が大きく動揺して株式、債券、為替それぞれの市場でそれまでのポジションを巻き戻す動きが急加速しました。これとともに時間外の日経先物も急反落を見せ、昨日のザラ場で届かなかった33,000円台回復から33,220円まで上値を伸ばしていたのですが▲800円幅での下落となっています。

 現物市場では日経32,500円台での推移とみられ、昨日の上昇分を吐き出してスタートになると考えればよい話ですが、日銀が実際に政策修正に踏み切るかどうかは不透明であるがゆえに前場は神経質な展開になることでしょう。ただ、投資家サイドとしては元より中銀ウィークに対する警戒でポジションを整理する動きで、むしろ日銀会合の通過後に上昇再開というシナリオを描くのが妥当と言える展開だっただけに米国市場ほどの動揺はみられないかと思います。

 注目は後場からの日銀会合リアルタイムから漏れ伝わる日銀政策をめぐる市場観測で、昨日同様に警戒売りを巻き戻すショートカバーが発生してくるかどうかになると思います。極めて短期的な目線でみた場合、このショートカバーは株式市場や為替市場でのオプション取引による影響で予想以上に大きくなる可能性があり、来週にかけての相場では短期的な急騰局面がみられるかもしれません。

 ただ、前回も解説していることではありますが市場の反発でも足元の売買代金は低調で上昇エネルギーが不足している現状、夏場の閑散期が近いことをふまえますとショートカバー頼みの反発は一過性材料となる可能性もあります。基本スタンスとしては引き続きこの上昇局面を利用しながら淡々と売り上がりで利益確定をしていき、新規買いは控えるのが無難な局面です。本日などは極めて短期トレードを中心とした投資スタンスのトレーダーを除けば日銀通過後の反発局面を利食い好機として活かしていくのがよいでしょう。

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