【7/7日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,388.42(▲1.17%)[32,327~32,730]
TOPIX 2,254.90(▲0.97%)[2,247~2,274]
マザーズ 787.27(+0.18%)[775~791]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+0.49%)
2.空運(+0.17%)
3.なし
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.機械(▲1.54%)
2.不動産(▲1.40%)
3.輸送用機器(▲1.37%)
4.電気・ガス(▲1.36%)
5.電気機器(▲1.36%)
日本市場はETF分配金捻出売りの警戒感から続落、毎年恒例の需給イベントであることを認識しつつ先物を使った先回り売りが入る一方、押し目買いで反発する場面もありました。大引けにかけて再び押し戻されることとなりましたが、比較的影響の少ないマザーズ指数はじめ中小型株が底堅さを見せて反発しました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり456/値下がり1312と全体に反発後の上値の重い展開が意識された中、海運株が逆行高。その他に空運や鉄道、百貨店などの旅行・インバウンド関連、地銀や保険などに逆行高する銘柄が散見され、為替円高と相まって内需株の底堅さが浮かび上がりました。
一方で軟調だったのは為替の円安一服感が嫌気されやすい自動車株はじめ外需株、そして直近の日本金利も上昇してきましたので金利に敏感な不動産株が売られる展開となっています。足元の地合い悪化でグロース株が厳しいのもこの金利と株価の関係においては無視できない話です。ただ、新興市場もかなり荒れ模様ではあるものの、直近IPO株の人気などからして個人投資家の物色意欲は依然として強いという印象を受けています。3月末の配当金などで投資余力が増えている面もあると思われ、売り方はそこを食い物にしようとしてくるところもありますが、需給イベント通過で地合いが改善するのも間もなくでしょう。
【米国株概況】
米雇用統計で米金利は乱高下した後に上昇、米国株は実質金利との闘いに移行しながらも景気後退は回避
NYダウ 33,734.88(▲0.55%)[33,716~34,036]
S&P500 4,398.95(▲0.29%)[4,397~4,440]
NASDAQ 13,660.72(▲0.13%)[13,656~13,804]
ダウ輸送株 15,559.5(+1.04%)[15,393~15,715]
半導体SOX 3,577.7(+0.01%)[3,573~3,633]
日経平均先物(CME) 32,465(+0.11%)[32,200~32,710]
ドル/円 142.06~144.19(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.444%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.066%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 73.71(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1,930.50(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.781(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)15.44(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 148.13(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 78(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)73.85(安値70.30:10/13)
米国市場は市場が注目する6月米雇用統計が発表され、市場予想を下振れたことはともかくとして+20万人超の増加はレベル感として依然強く、賃金の上昇がインフレ長期化を想起させるものとなりました。直近のADP民間データの強い結果が出てきた時点であらかじめハードルは高くなっていましたので、むしろ指標イベント的に短期の利食い材料に使われた形です。株式は主要3指数が下落した一方で、ダウ輸送株平均は上昇、前日売られた半導体SOXはほぼ横ばいとなりました。
労働市場の雇用者数は増加幅が鈍化したとはいえ30ケ月連続での増加であることには変わりなく、これを景気後退の合図と解釈する向きもありますが、7月FOMCでの追加利上げを正当化する材料になると考えればそうでしょう。しかし、追加利上げは米経済が堅調でインフレが鎮静化できないからするものであり、これを受けて債券市場では金利のイールドカーブがスティープ化して逆イールド幅が縮小しました。ADPサプライズを否定して景気後退と捉えるならば金利は低下するはずですが、むしろ長期債を中心に上昇を強めてきています。
米金利は上昇しながらも為替市場では米ドルが売られてドル円は142円台まで下落、米金利が上昇したのと合わせて日本の金利も上昇してきているのもありますが、半期入れ替わりで為替ヘッジの実需が中心かと思われます。それに加えて日米株の上昇時はドル高円安が進んできていましたので、直近で日本株の利食いリバランスをふまえますと、為替ヘッジしながら日本株買いをしてきた海外勢が一旦株売りと同時にヘッジ需要減少から日本円を買い戻して米ドルが下落したという構図でしょうか。
ここのところ米経済指標が軒並み強いため7月FOMCでの利上げはもはや当然視されるものとして、日本国債も一緒に売られているあたり海外勢は再び日本国債の空売りを再開しつつ、円キャリートレードを巻き戻している可能性が考えられます。案外、日銀もこの7月にYCC(イールドカーブコントロール)修正があるのではという観測も高まってくる、あるいはそれを見越した売買が始まってきたということかもしれません。それはまだしばらく時間的な猶予をみておくべき話ですが、それより問題は期待インフレ率が低下している中で米金利が上昇してきており、実質金利の上昇が株価の重しになっているということです。
とはいえ、今後も米経済指標は次々に出てきますので現段階ではそうした兆しが垣間見える程度の話ですが、今週は6月CPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)などがあります。むしろ米経済が堅調でインフレが高止まりしているのであれば、それはそれとして現実を受け止めることが必要で、景気はなお強くインフレも高止まりするとの認識に改めれば目先はインフレトレードに回帰する流れが想定されます。米ドル安に加えて需給懸念から原油価格が急伸してもいますから、市況関連株の動向を注意深く追いかけていく場面かと思われます。
【日本株投資戦略】
日本株はレンジ下抜け回避で反発期待、需給イベント通過後はバリュー株を中心に出直り相場でTOPIXを押し上げ
日本市場はETF分配金捻出のための換金売り需給イベントが本日で一巡してくるため、足元で6月中旬以来となる安値を叩いてきている日経平均の終値に注目したいところです。前週末はやはり換金売りが出て引けにかけて売られましたので、後場まで気が抜けないところですが、しかし取引前提は日経平均もTOPIXもレンジ継続とみています。
とくに海外勢の動向としても先週は上値付近では売るものの、下値付近では買い戻しているとみられ、為替が円高に振れてきている中でも積極的に下値を叩いて攻めてくる様子はみられません。下値目安の日経32,500円を切れたために6/27安値の32,300円付近が意識されるところですが、そこから多少の下抜け警戒よりも明日以降の展開に期待を寄せるべきと言えるでしょう。
前回の市場需給悪化の槍玉に挙がったソシオネクスト(6526)にしましても、ストップ安翌日はさすがに売られ過ぎといった15,000円割れから寄付直後でこそ投げ売りが出ましたが、追証回避の売り物を吸収しながら大幅高となり今年最高の出来高も記録しました。半導体株にはこの先の決算発表シーズンにおいて、今年前半の市況悪化が業績にどのように影響してくるかがポイントで、生成AIブームはさすがにまだ期待先行の部分ですから株価は現実と照らし合わせて今後の戻りを試していくことになろうかと思われます。
しかし、前回も解説しましたとおり市場全体でみれば半導体中心の相場からそれ以外のセクターへと資金シフトが進み、またそれと同時に市場の過熱感も薄れて、かつ足元では信用買い残の多い銘柄でも需給の整理が行われました。これによって売らされる投資家はある程度振るい落とされているとみられ、下値警戒が残っている間は押し目買いを待っていた投資家にとっては好機となります。
上述しましたように米国市場で米金利上昇が一段と進んできましたので、やはりグロース株にとっては試練と言えそうですが、海外勢の手口ではすでに先物で買いを仕込んでいるようにも推測できますので、とくにTOPIX優位での反発が期待できると思います。つまり、バリュー株や内需セクター寄りの物色が強まってくるという流れが想定されますので、これは6月末から指摘してきた通りの展開です。とくに明日以降はしつこく上値を押さえ込んできた換金売り需給が無くなりますから、いきなりフタが取れたように上昇を強めてくる銘柄も続出してくることと思います。
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