【6/29本市場の確認ポイント】
日経平均 33,234.14(+0.12%)[33,185~33,527]
TOPIX 2,296.25(▲0.10%)[2,289~2,312]
マザーズ 810.65(+0.54%)[807~820]
値上がりセクターTOP5
1.銀行(+1.20%)
2.精密機器(+1.08%)
3.電気機器(+0.37%)
4.非鉄金属(+0.34%)
5.輸送用機器(+0.20%)
値下がりセクターTOP5
1.紙・パルプ(▲2.68%)
2.食料品(▲1.80%)
3.海運(▲1.61%)
4.ゴム(▲1.56%)
5.水産・農林(▲1.25%)
日本市場は月末にかけての調整一巡感から28日に大幅反発、29日も続伸となり日経平均は33,500円水準までの戻りを試しましたが後場に失速して前日比横ばいの動きとなりました。しかし、28日の大幅高をふまえれば5月末同様に月末への警戒感も強く戻り売りが出やすいのも致し方ないところで、TOPIXはマイナス圏に沈んで2300ptを維持できませんでした。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり762/値下がり990で全体まちまちと言える中、日経平均が戻りを試す原動力となったのは半導体株でした。引き続き産業革新機構のJSR(4185)買収材料など国策期待を背景とした関連素材株などの物色意欲も高い模様です。また、国策絡みではNTT(9432)が25分割の投資単位引き下げを控えて前日に大幅高となり、この日は寄付天井となる形で反動売りから大幅安になっています。
市場調整の懸念後退から新興市場ではテーマ株物色の復活の兆し。ただし、目先はまだ大型株の買戻しが主導的になるとみられ、セクターとして注目されたのが米国の金融機関ストレステスト通過が安心材料となったメガバンク株、また、ECBフォーラムでの植田日銀総裁発言から地銀株にも触手が伸びてきています。加えて、各国中銀総裁のタカ派スタンスを確認しつつ、日本と欧米との金利差拡大観測から為替円安が一段と加速、そこで自動車やエレクトロニクス、外需株が素直に上昇、為替感応度に復活の兆しも感じられます。
【米国株概況】
堅調な米経済指標確認からリセッショントレードの巻き戻し、米景気後退懸念の緩和で米金利が急上昇、利上げ政策の行方は?
NYダウ 34,122.42(+0.79%)[33,828~34,147]
S&P500 4,396.44(+0.44%)[4,371~4,398]
NASDAQ 13,591.33(▲0.00%)[13,540~13,618]
ダウ輸送株 15,518.8(+0.70%)[15,410~15,521]
半導体SOX 3,614.2(+0.13%)[3,583~3,627]
日経平均先物(CME) 33,180(+0.00%)[33,080~33,515]
ドル/円 144.11~144.89(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.383%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.844%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 69.78(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1,916.20(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.698(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.54 (高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 143.05(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 80(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.71(安値70.30:10/13)
米国市場は前回の強い米経済指標が相次いだことに追加して、米1-3月GDP確報値が大幅に上方修正されたことにより、景気後退懸念の緩和が一段と進むこととなりました。また、米金融機関のストレステストを通過した金融株が軒並み大幅上昇、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースがNYダウの上昇をけん引したほか、景気敏感株とされる工業株もそれぞれ上昇しました。
足元の強い米経済指標が相次いだことをうけて米債市場では金利が軒並み急騰、米FRBによる追加利上げ観測が高まったことで米2年債利回りは今年3月の米銀行不安が発生する前の5%水準に接近。米10年債利回りも直近の高値を更新してきており、同じく今年3月の4%台を窺う動きとなっていくかが注目されます。
◆米国債利回り急伸、2年債と5年債は3月来の高水準-GDPに反応(2023/6/29)
米金利上昇につきハイテク株にはやや重しとなりましたが、代わりにシクリカル(景気敏感)バリュー株を物色する動きが強まり、NYダウがナスダックをアウトパフォームするのは久しぶりに見た気がします。米景気指標は製造業の底入れ感から個人消費、住宅関連、労働市場と至るところで景気の底堅さが確認され、あとは米FRBが景気を抑制してまでも食い止めたいインフレ動向が焦点になるとみられます。今晩のPCE価格指数でインフレデータを確認して、市場予想を大きく逸脱することなくインフレ警戒がそこそこで抑えられている結果が示されれば米株にとってはポジティブ材料になるでしょう。
前回も指摘しましたように足元の米経済指標を手がかりとしたリセッショントレードの巻き戻しが加速する可能性は十分に期待できます。ここでインフレ警戒が強まるようなら金融引き締め警戒から上値は限定的、しかし現段階ではまだインフレ再燃の芽は薄いとなれば米景気の堅調さが大きく注目され、売りポジションの買戻しを誘ってショートスクイーズが発生する可能性もありそうです。そうした意味では来週も重要な米経済指標が相次ぎますし、7月中旬の米CPI発表までに米FRBの姿勢に変化や焦りが見えてくるかがポイントになるでしょう。
【日本株投資戦略】
月末波乱を無難通過できれば来週は地合い好転、景気敏感バリュー株の底堅さが全体を下支え
日本市場は足元の反発で下値不安が緩和し、日経平均は33,000円台回復から一段と戻りを試す動きもみられており、月末リバランスに伴う売り圧力もしっかり吸収しての底堅い動きと言えるでしょう。本日も6月最終取引日となりますが、受渡ベースではすでに7月取引に入っています。5月末も最終取引日はかなり荒れましたが、いちおう月末・上期末売りを警戒しておきつつ不当に売られる場面は押し目買い好機として狙っておくのがよいでしょう。
上述のとおり昨晩の米国市場でも米景気懸念の後退につながる経済データが確認され、リセッショントレードの巻き戻しから景気敏感株の見直し買いを後押しするものとなっています。さらに、前回も注目した中国で開催されている夏季ダボス会議を経て改めて中国景気や最新AI開発の重要性などが注目され、いずれも株価にとってはポジティブな方向に動いてくるとみられます。
本日はリバランス売りで直近強い上昇がみられた銘柄には依然として利益確定売りが降ってくると推察されますが、この機械的な売り需要を吸収できればその後はまた上昇再開する期待が持てます。とくにグロース株は昨晩の米金利上昇と米FRBの追加利上げ観測の再燃もあって小休止をはさむことになりそうですが、その分、海運株や素材株、エネルギー株といったシクリカルバリュー株が全体を下支えして縁の下の力持ち的な役割を果たすことになるでしょう。
この6月末最終をある程度波乱なくやり過ごすことができれば、7月相場の立ち上がりも早くなり上旬のうちにも再び年初来高値を更新する動きも期待できるかもしれません。物色の広がりから逆に目移りしてしまって、銘柄選別に迷いが出てくるような贅沢な悩みも抱えることになりそうですが、来週からは需給面による重しがとれて大型・小型問わず値動きが良くなってくるものと思われますので強気スタンスが望ましいでしょう。
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