【6/2日本市場の確認ポイント】
日経平均 31524.22(+1.21%)[31,257~31,555]
TOPIX   2182.70(+1.55%)[2,158~2,183]
マザーズ 757.85(+1.39%)[745~757]

値上がりセクターTOP5
1.紙・パルプ(+3.27%)
2.輸送用機器(+2.66%)
3.不動産(+2.54%)
4.保険(+2.52%)
5.非鉄金属(+2.26%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲0.03%)
2.空運(▲0.00%)
3.なし
4.なし
5.なし

 日本市場は米国デフォルト懸念の後退から米株高となった流れをうけて続伸、平成バブル後高値を終値ベースで更新。やはり半導体株の上昇一服で独歩安となった一方、シクリカルバリュー株が積極的に買われ、半導体株の下落をこなした上で上昇した意味合いは大きいと言えます。東証1部の騰落銘柄数は値上がり1662/値下がり140と値上がり銘柄の多さも目立ち、米雇用統計の重要指標が控えた週末という日にもかかわらず東証プライムの売買代金は3兆5200億円と大商いとなりました。

 日経平均採用ではソフトバンクG(9984)が連日の大幅高で上昇をけん引、TOPIXはトヨタ(7203)はじめ保険株や不動産株などが値上がりセクター上位に食い込み指数押し上げに寄与しました。短期的に過熱感もみられていた半導体株が小休止モードに入った一方、出遅れのその他株が強く買われており、普段あまり目立たない製紙株が軒並み大幅高となったことも印象的でした。

 TOPIXが日経平均をアウトパフォームしたことで全体の地合い改善が鮮明となり、マザーズ指数もこれに追随。東証プライムへの昇格が決定したANYCOLOR(5032)が急伸する動きに加えて、同じくVTuber運営を手がけるカバー(5253)も証券会社の新規カバレッジ開始で大幅高、ともにグロース市場で売買代金ワンツーフィニッシュを飾りました。それ以外でも新興市場でAI関連やビッグデータ関連など情報・通信株がテーマ物色されて軒並み買われるようになり、個人投資家心理も大きく改善しているものとみられます。

【米国株概況】
米デフォルト懸念の後退で景気敏感バリュー株に出遅れ修正の動き、米雇用統計は強弱まちまちで6月利上げは見送りとの見方も株高支援

NYダウ 33762.76(+2.12%)[33,187~33,805]
S&P500 4282.37(+1.45%)[4,241~4,290]
NASDAQ 13240.77(+1.07%)[13,125~13,256]
ダウ輸送株 14150.5(+1.95%)[13,949~14,236]
半導体SOX 3501.4(▲0.15%)[3,478~3,546]
日経平均先物(CME) 31,965(+1.32%)[31,275~32,010]
ドル/円 138.59~140.06(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.410%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.698%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 71.87(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 1964.30(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.731(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)15.65(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 142.61(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 65(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.58(安値70.30:10/13)

 米国市場は米債務上限問題の解決に加えて、注目された5月米雇用統計が強弱入り交じる内容となったことをうけて6月米FOMCの利上げ見送り期待が継続して大幅高。とくに出遅れが目立っていたNYダウが+2%超の大幅高となり、同じく年初来安値に沈んでいた中国株の大幅反発をうけて景気敏感株が見直されることとなりました。

 米債務上限問題をめぐっては財政責任法が上院でも速やかに可決され、米国デフォルトは6/5期限ギリギリのところで回避。米雇用統計は事前予想を大きく上回る雇用者の伸びが示された一方、賃金の伸びは予想通り、失業率はやや悪化となり、米FRBとしては平均時給の軟化でインフレ抑制、金融引き締め効果を受け止めつつ、失業率上昇で6月FOMC利上げ見送りを正当化するような内容となっています。

 足元で米国デフォルト回避や景気悪化懸念の後退で追加利上げの選択肢も無いわけではないが、ここで無理する必要はなく7月に再利上げする可能性を残しておくといった見方が強まっています。ただし、サマーズ元米財務長官は6月見送りするなら7月にその分0.5%の利上げ幅上昇も覚悟しておく必要があると釘をさしました。
サマーズ氏、FOMCは7月の50bp利上げに留意を-6月見送りなら(2023/6/3)

 米債市場では金利が再上昇して株高、とくに景気敏感株の代表格であるキャタピラーはじめスリーエムやダウなど機械・化学といった面々が大幅高、セクター別にも素材・資本財・エネルギーがそろって大幅高し、S&P500は昨夏以来の高値圏に舞い戻っています。半導体セクターの一極集中が巻き戻され、半導体SOX指数は小幅ながら逆行安となり、ダウ輸送株指数は+2%弱の上昇と明暗がくっきり分かれました。

 政治面では米中対立が繰り広げられているものの、民間ではテスラのイーロン・マスク氏はじめJPモルガンのジェイミー・ダイモン氏も訪中を実現し、外交官以上の役割を果たす中で中国は次なる景気対策として不動産市場へのテコ入れを発表したことも株高の支援材料になったとみられます。NYダウ、ナスダックで強弱感が分かれていた分、その巻き戻しで出遅れ修正の動きが鮮明になっているとみてよいでしょう。
中国が不動産市場支援パッケージ検討、景気押し上げ狙う-関係者(2023/6/2)

【日本株投資戦略】
日経32,000円の大台突破がみられるか、週末メジャーSQに向けて売り方に買戻し迫る買い仕掛けと一巡後の動き

 日本市場は米中株式市場の大幅反発をうけて続伸期待、時間外の先物市場では日経32,000円台をつけて前週末比で+500円近く上値を伸ばしています。前週末の取引では株価上昇とともに売買代金3兆円超えの大商いとなり、リスクオンが強まる流れである一方、日経Wインバースに代表されるインバース型ETFの信用買い残が記録的水準にまで積み上がり、下げにくい状況も形成されています。

 この売り方による踏み上げも加わった上昇局面では、売り方が降参して買い戻す動きが一巡したところで天井をつけるパターンが多く、日経平均が32,000円を突破したところで投げが出るかが焦点となりそうです。今週は先物・オプション市場で6月限の清算が行われるメジャーSQを週末に控えており、週央にかけてはとくに32,000円コール・オプションめがけて個人投資家の売りポジションを踏ませるような先物買い仕掛けも想定しておく必要があるでしょう。

 ただ、そこから先はオプション市場でも32,000円以上の価格帯を積極的にポジション構築している目印はまだ希薄なことから上値を追いかける動きは限定的とみられ、前回指摘したように売り方の買戻し一巡後の下落はある程度想定しておく必要があると思われます。そのような観点でとくに週央あたりはやや注意が必要なところと言えるでしょう。

 しかし、日経などの指数上昇が鈍くなったとしても、これまで集中的に買われてきた半導体株や大型値がさ株の物色が一服するだけのことで、それら以外の景気敏感株やバリュー株、中小型の個別株などといった出遅れ組には修正の動きが強まることが期待されます。とくにメジャーSQに絡んだ指数売買が一巡した後は尚更その傾向が強まるものとみられ、しばらくは様々なジャンルで個別株が強く買われる場面が出てくるものと思われます。

 国内では6月下旬の国会会期末に向けて様々な法案が続々と可決される中、日本政府からも新たな成長戦略として策定する経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)が発表されるほか、岸田政権の新しい資本主義計画案も6月中に決定される見込みです。中には日本経済や株式市場にとってマイナスでは?と思われる部分も含まれる一方、成長と分配のコンセプトを全面に押し出すものである以上は好悪入り交じりでバランスを取ることが前提との割り切りも必要です。政府も積極的に投資に乗り出して脱炭素社会の実現やグローバルヘルス戦略の推進を図っているとみられ、日本の投資家も奮起して買い目線を堅持していかなくてはなりません。
生成AIの産業活用を後押し 政府、新しい資本主義会議(2023/4/25)
水素供給増へ装置・素材支援 政府、官民で15兆円投資(2023/6/3)
全ゲノムデータ、一元管理へ新組織 創薬・治療に貢献(2023/6/4)

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