【6/1日本市場の確認ポイント】
日経平均 31148.01(+0.84%)[30,853~31,185]
TOPIX   2149.29(+0.88%)[2,127~2,151]
マザーズ 747.48(▲0.08%)[745~750]

値上がりセクターTOP5
1.銀行(+1.71%)
2.卸売(+1.65%)
3.精密機器(+1.43%)
4.情報・通信(+1.36%)
5.空運(+1.29%)

値下がりセクターTOP5
1.ゴム(▲1.15%)
2.紙・パルプ(▲1.07%)
3.繊維(▲0.43%)
4.水産・農林(▲0.26%)
5.金属製品(▲0.15%)

 日本市場は米国株安をうけて寄付は売られて始まりましたが、前場に米債務上限問題をめぐり下院で可決したことや中国の経済指標が予想上回る改善を示したことが発表されたことから徐々に上昇幅を拡大させました。ソフトバンクG(9984)が一時+5%超の大幅高をみせたほか、東京エレクトロン(8035)も持ち直す動きで日経平均の押し上げに寄与しました。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり948/値下がり805と値上がり優勢、前日の月末リバランスで急落した商社株をはじめ、銀行や保険など金融株が積極的に買われました。自動車株は為替円安の一服をうけて売りが目立った中、トヨタ(7203)は米国でのEV投資計画が評価されて上昇、朝方以降は伸び悩んだもののTOPIX上昇に寄与しています。

 もっとも、5月末リバランスで大きく下落した分の反動高といった側面はあるものの、市場が警戒してきた米中景気に対する懸念が幾分緩和したことで、中国関連株はじめ景気敏感株の押し目を拾う動きもみられました。ただ、依然として新興市場のマザーズなどは市場買戻しの動きに追随できておらず、地合いにもう一段の改善が必要かと思われます。日経平均は再び高値圏に舞い戻ってきましたが騰落レシオは100pt割れ、つまり同じ水準でも一時より過熱感は解消しています。

【米国株概況】
米FRBメンバーの利上げ見送り発言から買戻し機運高まる、米債務上限問題は下院通過でデフォルト回避か

NYダウ 33061.57(+0.47%)[32,704~33,167]
S&P500 4221.02(+0.99%)[4,171~4,232]
NASDAQ 13100.98(+1.28%)[12,903~13,141]
ダウ輸送株 13880.2(+1.24%)[13,647~13,907]
半導体SOX 3506.7(+1.55%)[3,437~3,537]
日経平均先物(CME) 31,400(+0.80%)[30,755~31,435]
ドル/円 138.48~139.95(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.417%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.604%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 70.16(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 1995.10(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.712(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)15.65(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 151.98(安値110.34:11/3、高値145.51:2022/4/1)
Fear&Greed指数 68(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.20(安値70.30:10/13)

 米国市場は31日に米FRBで投票権を有するメンバーが6月FOMCでの利上げ見送りを支持するとの発言が相次ぎ、今週末には公の発言が控えられるブラックアウト期間に入ることから米金融政策をめぐり楽観的な見方が広がりました。また、昨日の日本時間で米債務上限問題をめぐり下院での採決を超党派で可決し、上院に持ち込まれたことにより米デフォルトへの警戒感が後退。金利市場が正常化に向かい株式はナスダックを中心に下落前の水準まで戻しました。

 米債務問題をめぐっては、上院はバイデン米政権の基盤である米民主党が主導権を握ることからデフォルト回避の公算が高まりますが、まだ予断を許さない状況です。その一方、市場ではすでに米国債の買戻しが始まり、米金利は短期金利中心に低下、米10年債利回りも3.6%まで低下しています。これには6月の米FOMC利上げ見送り発言が効いているとみられ、米経済指標の中には強い結果もありましたが、そろそろ米FRBメンバーの発言機会も控えられるため、市場での6月利上げ確率は25%まで後退しています。

 米経済指標では4月JOLTS求人件数が予想を上回る強い結果となり、追加利上げを警戒して31日の株式市場では相応に売られる場面もみられました。昨晩の民間ADP雇用統計でも賃金上昇と労働市場の堅調さが確認されましたが、雇用指標は今晩の米雇用統計が本筋であるため市場はひとまず静観の構え。他方、5月ISM製造業景気指数は市場予想を下回り、とくに新規受注の減少と企業支払い価格の低下が著しく、インフレ懸念の緩和につながっています。問題は今年1月以来の低水準に沈んだことで、米景気への見方ですが元々市場ではある程度の景気減速は織り込み済みで、焦点は米経済および世界経済への影響としてどの程度に及ぶのかというのが焦点と言え、今後のリセッション度合いがマイルドかハードなものになるかでの強気派・弱気派が分かれるところかと思われます。

 ただし、今晩の米雇用統計の結果と来週のISM非製造業指数までを総括する必要があるものの、米債務上限問題が解決へと向かい金利市場が安定しているのであれば、米FRBは6月追加利上げを見送る理由が薄れます。金融当局は3月の米銀行不安や多少の景気悪化がインフレ退治の支援材料となり、ピーク金利の抑制につながることを期待しています。そこに米債務上限問題が加わっても市場はなお今年の高値圏に位置していますように、仮に追加利上げを行ってもある程度のクッションがあるとみている可能性がありそうです。

 とくに株式市場ではS&P500とナスダックが昨年8月以来の戻り高値まで押し上げられており、米景気をめぐる足元の数値が悪化しているとしても今年後半の利上げ停止が見込まれる前にできるだけ将来の景気後退に備えて金利バッファーを設けておきたいとの考えが働くものと思われます。米株においては米国デフォルト回避や6月利上げ見送りを前提としながら、売り方の買戻しが誘発されて上昇したと言え、来週以降のところでは買戻し一巡から逆に上昇期待がしぼんでいく可能性もあるでしょう。

【日本株投資戦略】
米債務問題解決よりも中国景気の不安後退が買い材料、為替円安の一服でも上昇の日本株は先物主導から個別株選別へ

 日本市場は米国株高をうけて時間外の日経先物が31,400円台を回復しており、下落前の水準までほぼ全戻しの域に達してきました。昨日はザラ場中に米債務上限引き上げの下院可決が伝わり、発表までの間に期待で上げて事実で売るという動きがみられましたが、その後の中国経済指標により押し目買いが徐々に強まっていく流れでした。

 ひとまず昨日で日経下落分の半値戻し達成、本日で全値戻しを達成できれば日本株の上昇トレンドは堅固であることが明らかとなります。足元では為替の円安が一服していますが、それでもなお高水準を維持できるかどうかが焦点になってくるでしょう。

 来週は米債務上限問題の下院採決の結果を織り込む上で、昨日のような思惑で買って事実で売るということがあることも警戒しておかなくてはなりませんが、単に売り方の買戻しに依拠した相場ではなく、しっかりと押し目を拾う動きが継続していくことが息の長い相場を作る上ではとても重要です。

 前回お伝えしましたように、為替円安とともに先物主導での日本株高というのはおそらく一巡してくると思われる反面、為替円高や米金利の散発的な上昇がみられても昨日のように金融株やバリュー株の見直し買いが入るのであれば、全体としての底堅さは期待が持てるでしょう。

 上述しましたように米国株は来週から米FRBメンバーがブラックアウト期間入りで金融政策見通しをめぐってはいわば部外者が代わりにスピーカーとなってメディアに登場してくるようになります。その際、6月FOMCでの利上げを勧奨したり、米景気への不安を煽るような発言などもみられるかもしれませんが、日本株に関しては予定どおりに前回の5月末リバランスと、来週の売り方が買戻し一巡した後の下落、さらには来週末のメジャーSQに絡んだ取引が混みあうことが想定される週中頃が押し目買いの好機となるものと考えられます。

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