【5/26日本市場の確認ポイント】
日経平均 30916.31(+0.37%)[30,864~31,101]
TOPIX   2145.84(▲0.01%)[2,145~2,158]
マザーズ 725.69(▲1.53%)[725~736]

値上がりセクターTOP5
1.空運(+2.32%)
2.陸運(+1.73%)
3.精密機器(+1.17%)
4.電気機器(+0.76%)
5.卸売(+0.71%)

値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲3.06%)
2.石油・石炭(▲2.06%)
3.証券・商品先物(▲1.65%)
4.鉄鋼(▲1.40%)
5.電気・ガス(▲1.29%)

 日本市場は半導体関連株を中心に日経平均を押し上げ、31,000円台を一時回復。中国のコロナ感染再拡大ニュースでやや調整気味だった旅行・インバウンド関連なども買い戻されましたがTOPIXは反落、マザーズは3月以来の安値圏に沈むなど全体としては売り圧力に押されました。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり419/値下がり1371と、5/23以降4営業日連続で値下がり銘柄数が圧倒。日経平均は高値圏を維持しながらも騰落レシオは104ptまで低下し、過熱感が薄れる中で半導体株などへの偏重が鮮明となっています。投資部門別売買状況における海外勢の大幅買い越しが続く中、国内勢は個人・年金などが売りに回り、市場でも強弱銘柄の二極化が進んでいます。

 日経平均の高値警戒感が個人投資家の委縮につながり、上昇についていけない銘柄への見切り売りも目立っているものと思われます。もっとも、これは日本市場の傾向だけでなく、海外市場においても米債務上限問題や中国の景気減速懸念などから新興国株などにも弱さが目立つことから、高リスク資産を敬遠するリスク回避志向がみてとれます。

【米国株概況】
半導体株の躍進続きSOX指数が連日の6%超急騰、米債務協議進展と相まって3連休前でショートスクイーズが加速

NYダウ 33093.34(+1.00%)[32,795~33,162]
S&P500 4205.45(+1.30%)[4,156~4,212]
NASDAQ 12975.69(+2.19%)[12,729~13,001]
ダウ輸送株 13903.4(+0.10%)[13,865~13,976]
半導体SOX 3545.7(+6.26%)[3,386~3,563]
日経平均先物(CME) 31,500(+1.74%)[30,880~31,560]
ドル/円 139.47~140.71(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.415%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.795%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 72.87(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 1946.10(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.672(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)17.95(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 146.46(安値110.34:11/3、高値145.51:2022/4/1)
Fear&Greed指数 68(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.02(安値70.30:10/13)

 米国市場は3連休を前にして、半導体関連株をはやす動きが継続し半導体SOX指数は連日での+6%超急騰、ナスダックは再び高値更新し昨年8月以来の13,000ptを回復。市場の重しとなっている米債務上限問題をめぐる与野党協議の進展期待からNYダウ、S&P500も持ち直す動きがみられました。

 米債務をめぐる政治動向とは別に、市場が注目する米FRBの金融政策をめぐっては米経済指標で4月PCE価格指数が発表され、インフレ伸び率が再び拡大したことで利上げ継続観測が強まりました。6月FOMCでの0.25%利上げを見込む確率が上昇し、債券市場では短期債中心に金利上昇がみられましたが、それでもなお株式市場ではハイテク株買いが強まりました。週末の時間外で米債務上限問題をめぐる与野党指導部の協議が続けられるとの見込みから、3連休前に弱気派の売り方が買戻しを急いだことも株高を支援したものとみられます。

 引け後にはイエレン米財務長官が米国のデフォルト可能性の期限をそれまでの6/1から6/5になる見込みだとデッドラインを変更、短期国債の入札を実施して資金繰りの窮状を打開することを目指しています。一時しのぎ策ではあるものの、この週末の協議では米債務上限引き上げで協議担当者間での合意と相成り、ようやく米議会の採決にまでこぎつけました。
◆米債務上限引き上げ基本合意、31日に議会で採決へ(2023/5/28)

 ただし、与野党のトップ同士が双方で譲歩し合った妥協案は、米共和党・米民主党ともに早い段階から交渉を打ち切れと促していた強硬派が存在し、せっかくまとまったトップ合意も米議会で紛糾する事態も懸念されています。うまくいけば今週中に下院で採決した後に上院に持ち込まれてOKとなれば晴れて米債務上限問題は期限内クリアということになりますが、期限が6/5に後ずれしたことと、米議会で政治プロレスごっこが少しでも長引いてしまうと期限に間に合わないという神経質な状況は続いています。

 米債務をめぐる協議が期限ギリギリまで引っ張られ、最終的には合意に達して米国デフォルトは回避されるとの見方がまさにその通りに展開し、来週前半の決着をみるまでは予断を許さない状況に置かれています。ただ、市場では期限の6/5をクリアできた後も中旬に米FOMCを控え、これらを通過するまでは米金利上昇リスクが燻る中で積極的には動きづらい環境が続くものとみられます。米金利上昇圧力を押し退けて上昇を見せているハイテク株の動向がやはり今後も米国株の命運を握っていると言えるでしょう。

【日本株投資戦略】
米債務上限問題も米利上げ継続方針も円安株高で日経下支え材料に、月末リバランスで来る資金循環の押し目買いに勝機

 日本市場も半導体相場が上昇けん引役となって指数押し上げに寄与していますが、中国株の軟調に引っ張られる形で景気敏感株などはまだ警戒売りに押される状況が続いています。為替円安が輸出関連株にとっての下支えとなっており、米債務上限問題や米FRBでの利上げ継続見通しが日米金利差拡大を促す側面から、引き続き日経平均は円安株高で底堅く推移するとの見方が優勢です。

 上述しましたとおり、米債務上限問題は来週の6/5期限を迎えて米財務省の資金枯渇を回避できるかが焦点となっています。万が一ここまでに米議会の採決が間に合わずとなった場合には、現在の株式・債券・為替それぞれの市場におけるポジションが巻き戻されて円高・株安といった状況も想定されます。

 ただ、その場合でも瞬間的に株式市場は下振れする可能性がある一方、米国売りからその逃避資金が日本市場に一段と流れ込んでくることとなり、一時的な為替円高が生じたとしても日本株にとってのマイナス要因とはならないでしょう。足元の日本株買いはむしろこうした国際マクロの混乱によって強さが際立つ格好となっており、物色資金は半導体などの一部銘柄に集中していますが、やがてこれが上昇一服となってくれば市場循環で割安な他銘柄・他セクターにも資金が回ってくることになります。

 とくに米債務上限問題や米利上げ方針継続をうけて米金利上昇となる場面や、その後の日銀金融政策決定会合を迎える中で日銀YCC政策修正の思惑が働き日本金利が上昇する場面では、上述したようなハイテク・グロース株利益確定売りからバリュー株買いへの資金シフトがみられるものと思われます。結果的にこれが日本市場の全体を通じた底堅さにつながり、足元の日経30,000円台の景色が定着していくことでしょう。

 前回は足元の相場で調整している銘柄はあと1~2週間の下値模索も覚悟しておく必要があると述べましたが、米債務をめぐる協議もおそらく来週前半には混乱が一旦収束に向かい、6月中旬には米国の税収が米財務省の資金繰りを改善させますので、市場は警戒緩和から名実ともにリスクオンへの転回が期待できるようになるとみられます。したがいまして、今週では5月末のファンドリバランスにからんで不当に売られやすくなる場面や、来週前半の米国デフォルト騒動決着前にすったもんだして売られやすい場面の押し目を狙って買い向かう準備を整えておくのがよいかと思います。

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