【5/2日本市場の確認ポイント】
日経平均 29157.95(+0.12%)[29,083~29,278]
TOPIX 2075.53(▲0.12%)[2,068~2,084]
マザーズ 744.15(+0.33%)[735~745]
値上がりセクターTOP5
1.精密機器(+1.58%)
2.医薬品(+0.75%)
3.電気機器(+0.50%)
4.情報・通信(+0.29%)
5.鉱業(+0.27%)
値下がりセクターTOP5
1.不動産(▲1.45%)
2.証券・商品先物(▲1.38%)
3.海運(▲1.03%)
4.その他金融(▲0.82%)
5.食料品(▲0.80%)
日本市場は大型連休を前に様子見ムードが広がりつつも、日経平均は4日続伸で年初来高値を更新。TOPIXも高く寄付き年初来高値を更新してみせたものの、連休前の売り圧力に押され早々に前日比マイナス圏に沈みました。米半導体株の一角が逆行高した動きを好感して日本の半導体関連株にも躍進が目立ち、決算材料も加味されたイビデン(4062)が東証プライム値上がりトップと急伸。
米FRBの追加利上げ観測から為替は円安が一段と進み、ドル円は137円台をつけましたが自動車株は利益確定売りに押されました。海運株も商船三井(9104)の今期ガイダンスが嫌気されて反落し、円安恩恵銘柄の動きが軟調。他に商社株や不動産株、百貨店株や食品株など足元で買われてきた銘柄に対する利益確定売りが鮮明になりました。
一方で、半導体株に代表されるようにグロース株の一角が強含み内需系の医薬品や情報・通信セクターが堅調、中小型株市場でもマザーズが朝安後からプラス圏に浮上するなど連休明けの決算材料を期待した買い手の存在感もありました。欧米の中銀会合や経済指標など国際マクロ材料への警戒感がある中でも、果敢にリスクをとって押し目買いに動いている投資家の買い気が感じられます。
【米国株概況】
米FOMCは事前観測通りに追加利上げ、金融不安・景気悪化懸念等を燃料に空売り買い戻しが米国株を押し上げる
NYダウ 33674.38(+1.65%)[33,248~33,748]
S&P500 4136.25(+1.84%)[4,084~4,147]
NASDAQ 12235.41(+2.24%)[12,065~12,264]
ダウ輸送株 14123.1(+2.13%)[13,918~14,199]
半導体SOX 3007.7(+2.25%)[2,930~3,019]
日経平均先物(CME) 29,100(▲0.10%)[28,630~29,150]
ドル/円 133.88~135.06(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.415%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.435%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 71.32(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)【安値更新】
金先物 2024.60(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)【高値更新】
銅先物 3.8918(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)17.19(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 134.32(安値110.34:11/3、高値145.51:2022/4/1)
Fear&Greed指数 59(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.76(安値70.30:10/13)
米国市場は米地銀株の連鎖的な破綻への警戒感から5/1~5/4の4日間でNYダウは34,257ドル→32,936ドルと1,300ドル超の下げを演じ、ファースト・リパブリック・バンクに続いてパックウエスト・バンコープやパックウエスト・バンコープなど立て続けに地銀株の経営不安が取り沙汰されました。
ただし米国市場における地銀株不安は極めて局所的であり、米金融当局は米金融大手への影響および金融システム全体は健全であることを強調した上で個別対応するに留めるなど、かなり冷静かつ迅速な対応がみられます。また、地銀株を狙い撃ちする空売りを牽制する動きも明確にしながら事態収拾に努めて、とにかく金融危機につながらないように配慮しながら業界の淘汰・再編を進めていると考えられます。
厄介なのはこの地銀株不安に絡んだ債券市場の動きで、リスク警戒から米金利が急低下して景気悪化懸念を助長する材料となったほか、米FOMC後のパウエル米FRB議長発言から利上げ停止を引き出すことができなかったことと相まって売り崩しを狙った売買が活発化しました。とくに年内の利下げ転換を催促するかの如く短期金利が急低下し、長短金利のイールドカーブがスティープ化したことで景気悪化を強く意識させ株売りを誘発、まんまと利益確定売りの口実に結びつけられた感があります。
しかし、これと同時並行して暴落する地銀株へ大量の空売りが仕掛けられていたところ、標的となった地銀株の身売り観測やJPモルガンが対象となっている地銀株の投資判断を売られ過ぎだと評価を大きく見直すなどし、空売り勢がショートカバーに追い込まれるなど激しい攻防戦が繰り広げられました。
渦中の地銀株に比べますと、他の米国株は他人事のように振る舞いつつもそれなりに乱高下し、米債務上限問題という政治プロレス化の懸念や米FOMCでの追加利上げ、景気悪化懸念を映した景気敏感株売りや原油急落、そして米デフォルト懸念に紐づいた金価格高騰など様々にドラマがありました。しかし結局のところ、週末の米雇用統計が市場予想を大幅に上振れて景気悪化懸念が緩和したことや決算発表したアップルが大幅高となり投資家心理は急改善することとなりました。
NYダウは冒頭の下げ幅の6割を一気に回復したほか、ナスダックにいたっては戻り高値を更新して2/2の年初来高値にも肉薄。先月後半以降、米国を代表するハイテク大手の決算材料が主要な株式指数の押し上げに寄与しており、主力株依存が際立っています。中小型株指数のラッセル2000が年初来安値圏に沈んでいることを鑑ればあまりに偏向的と言わざるを得ません。良くも悪くも主力のハイテク大手の株価動向に運命が委ねられている状況ですので、とにもかくにも売り方のショートカバーがどこまで続くのかを注視しておくべきでしょう。
【日本株投資戦略】
大型連休明けの日本株は外部環境の波乱を織り込みながら上昇へ、休み明けの買い一巡後には自律的な調整あるものとして警戒も
日本市場が大型連休に伴い休場となる中、海外市場では米国の金融不安や米FOMC、欧州ECBの中銀イベントを消化しました。時間外の日経平均先物は一時28,500円台まで下落する波乱の展開もありましたが、休み明けは29,000円台を回復してのスタートとなりそうです。
日本株においては、この間に生じた銀行セクターへの波及懸念や景気悪化懸念を織り込みにいく必要があるものと考えられますが、休場入りする前の相場を引き継ぐものであるならば、投資家の押し目買い意欲が相当に高いことを窺わせたことから上値を試す動きが期待されます。
大型連休前で手控える向きもあったことを加味しますと、休み明けで改めて新規買いに動いてくる投資家も多いかもしれません。また、ありきたりですが重要な変化の一つとして注目されるのは、新型コロナ対応をめぐる感染症分類の2類→5類への変更により脱コロナを明確にしたことで、経済再開への期待が本格的に高まりやすいことでしょう。
◆「アフターコロナ」高まる期待 経済押し上げ4.2兆円(2023/5/8)
ここで改めて経済再開期待の内需株、インバウンド関連や化粧品関連などを物色する連想が働くかもしれませんが、これらはすでに年初および3月以降で段階的に物色資金を惹き付けてきました。ここではいわば上昇相場の仕上げに取り掛かってくるところでしょう。他方で注目度がこれから高まってくるところでは、今月開催されるG7広島サミットおよび日本を取り巻く諸外国との対外関係の変化であり、国際マクロでは多くの問題が横たわっています。これらを外交努力をもって一つ一つ懸案をクリアしていくことで国際情勢の安定化が図られ、日韓関係の改善にみられますように日本企業のビジネス環境も明るくなる材料が提供されてくるはずです。
そうなりますと、内需株へのアフターコロナ期待に加えて外需株にとっても見通しが明るくなり、日本株が総花的に買われやすくなるとみておいてよいかと思われます。相場としては短期的にみれば需給要因が優先されますので、休み明けの買いが一巡した後というのは一旦膠着あるいは調整しやすくなってくるかと思います。
したがいまして、投資家は休み前にどう立ち回ったかで対応が変わってくるのだと思われますが、リスクを取ってポジションをとったのであれば今週前半のところで利益確定売り、反対にリスク回避でポジションを落としたのであれば休み明けに慌てて上値を追いかけるよりも一呼吸置いて来週以降、もっと言えば日本企業の決算発表が一巡してそれをアナリストが評価レポートを出し始める再来週くらいからじっくり手がけていくくらいがちょうど良いのではと考えています。
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