【4/25日本市場の確認ポイント】
日経平均 28620.07(+0.09%)[28,609~28,806]
TOPIX 2042.15(+0.24%)[2,040~2,054]
マザーズ 750.83(▲0.40%)[749~756]
値上がりセクターTOP5
1.証券・商品先物(+1.35%)
2.銀行(+0.82%)
3.建設(+0.69%)
4.倉庫・運輸(+0.65%)
5.不動産(+0.61%)
値下がりセクターTOP5
1.鉄鋼(▲3.10%)
2.海運(▲0.84%)
3.非鉄金属(▲0.74%)
4.空運(▲0.69%)
5.電気・ガス(▲0.50%)
日本市場は日経平均が年初来高値を更新して28,800円台をマーク、一方TOPIXは3/9の高値がアイランドリバーサルで更新ならずもそれに次ぐ戻り高値をつけました。騰落レシオが146ptと今年最高を記録して過熱感が意識されやすい水準ですが、内需株主導での上昇で景気悪化懸念が重しとなりやすい外需株は調整ムードが続いているために全体での買われすぎ感はさほどないと言えます。
日銀金融政策決定会合を目前に控えて様子見ムードが強まりやすい中、個別銘柄の材料物色が活発でインバウンド関連や化粧品、食料品のほか医薬品、建設などの内需株が堅調に推移。景気悪化を警戒されている景気敏感株の軟調をカバーしています。景気敏感株では鉄鋼株が値下がりセクタートップで強く売られ、海運や非鉄金属がそれに続きました。
自動車や半導体など外需株の主力どころが調整している間に値軽さを求めて資金が流入した新興市場は利益確定売りで急落する銘柄が続出。仕手株の急騰急落劇も悲喜こもごもとなりながら、個人投資家の射幸心を煽る鉄火場となっています。主力株の決算シーズンが本格化してきましたので中小型株市場からは資金流出しやすいと言えますが、日本電産(6594)のガイダンスが刺激材料となり日本株の火付け役となった点も注目されるでしょう。
【米国株概況】
金融不安の余震で米地銀株に大規模な売り発生、米国債需要の再燃で米金利低下とともに景気敏感株が売られ景気悪化懸念の織り込み進む
NYダウ 33530.83(▲1.02%)[33,525~33,875]
S&P500 4071.63(▲1.58%)[4,071~4,126]
NASDAQ 11799.16(▲1.98%)[11,798~11,990]
ダウ輸送株 13940.0(▲3.62%)[13,919~14,375]
半導体SOX 2906.3(▲3.37%)[2,906~2,987]
日経平均先物(CME) 28,370(▲0.87%)[28,360~28,800]
ドル/円 133.36~134.44(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.473%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.400%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 7.29(高値123.68:6/14、安値64.12:3/20)
金先物 2009.35(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.870(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)18.76(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 130.29(安値110.34:11/3、高値137.12:4/18)
Fear&Greed指数 57(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.08(安値70.30:10/13)
米国市場は金融不安を巻き起こした米地銀株の一角であるファースト・リパブリック・バンクの大規模資産売却のニュースによって、金融不安騒動が蒸し返されるとともに米地銀株が軒並み急落。ファースト・リパブリック・バンクは▲50%近い大幅安に叩き売られる惨状となったことに加えて、物流大手のUPSが決算ミスで▲10%の大幅安となったことも市場の景気悪化懸念に拍車をかける展開となりました。
米国の景気悪化懸念を象徴する物流業界の株価が軒並み下落したことによりダウ輸送株平均は▲3.6%と急反落し、米国株の先行指標と位置付けられる同指数の大幅安で投資家センチメントが悪化しました。また、引け後に決算発表を控えるアルファベットとマイクロソフトも▲2%超下落し、同じく決算発表を控えるエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズなどもそれぞれ▲3%、▲4%超の大幅安となったことで半導体SOX指数も▲3.3%の大幅反落となりました。
米企業の決算シーズンが佳境に入ってくる中、景気悪化懸念を織り込むマーケットは個別銘柄ごとに下値をテストしています。ただし、引け後に決算発表したマイクロソフトは市場予想を上回り時間外で8%超の大幅高、アルファベットも同様に時間外で一時4%高とハイテク大手の一角は決算ミスを免れました。
米国株は足元の企業決算とともに来週の米FOMCに注目が集まっていますが、景気敏感株が弱含む一方で指数影響度の大きいハイテク株が底堅く推移することによってNYダウやナスダック、S&P500などの指数は全体でならされ、米景気悪化も反映されづらいと言えます。ただ、3月以降の金融不安を発端とした景気悪化懸念も市場にとってはいわばガス抜きといった展開で進み、決算シーズン及び米FOMC明けには再び戻りを試すこととなりそうです。
【日本株投資戦略】
景気敏感株に押し目買い好機到来、日本株を押し上げる主力株の復調はもう目前
日本市場は世界景気の悪化懸念が燻る中で外需株の不振も目立っていますが、国内のコロナ解放政策で内需が刺激されていることを背景に個人消費関連が堅調な展開で、日経平均も年初来高値を更新してきました。とはいえ、日経平均は外需かつ景気敏感株の影響度が大きい指数でもありますのでそれなりに下押し圧力がかかっているはずなのですが、それを押し退けて上昇してきた点に注目する価値があります。
足元で鉄鋼株や海運株といった代表的な景気敏感株への売り圧力が強まっているのは、いわば一連の景気悪化懸念トレードの総仕上げといったところで、米金利低下を反映しながら株式市場のガス抜き程度と捉えるべきものになります。この米金利低下にちなんだ米債市場の需給要因がこの景気悪化懸念を想起させるものではありますが、米FRBも言ってしまえばこの景気抑制効果を狙ってというか、根強いインフレを退治する上で歓迎しつつ金融政策の舵取りを行いますので、昨晩の米国株下落も想定内の範疇と言えるでしょう。
日本株も景気敏感株が不振なので内需ディフェンシブ株が堅調でもジリ高程度の動きになっていますが、この景気悪化懸念の重しが外れてきますと日経平均やTOPIXといった指数の動きも俄然良くなってくるかと思われます。つまり、足元では景気悪化の懸念にちなんだトレードでボトムを探っている局面でありながら、日経平均などは押しが非常に浅いために強気相場のトレンドが大きく変わることはないということです。
それどころか、直近の日本電産(6594)の決算ガイダンスに象徴されるように、日本の主要産業である自動車やエレクトロニクスといった製造業が半導体不足などサプライチェーン混乱の緩和で生産活動が復活し、気候変動への取り組み推進から新たな需要も創出されてきている現状から、業績向上につながるものと考えられます。
すなわち景気敏感株の底入れを確認することによって日本株には上値が伸びる余地があり、足元の決算発表のスケジュールが進んでいくにしたがってファンダメンタルの裏付けを見出しやすくなると言えます。このような観点では前回も述べたとおり景気敏感株は見直されて、いわば押し目買い好機を演出しているのが足元の動きであり、同時に目前に迫っている日銀金融政策決定会合に対する警戒感が晴れたタイミングが次の起点となってくることを想定しておくべきでしょう。
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