【4/14日本市場の確認ポイント】
日経平均 28493.47(+1.20%)[28,282~28,515]
TOPIX 2018.72(+0.54%)[2,012~2,020]
マザーズ 756.57(+0.77%)[754~758]
値上がりセクターTOP5
1.卸売(+2.13%)
2.小売(+1.69%)
3.倉庫・運輸(+1.60%)
4.水産・農林(+1.06%)
5.その他製品(+1.01%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲1.16%)
2.輸送用機器(▲0.48%)
3.保険(▲0.36%)
4.繊維(▲0.17%)
5.ゴム(▲0.16%)
日本市場は米国株高を好感して続伸、前日に決算発表したファーストリテイリング(9983)が値を飛ばし一時+10%近く上昇。日経平均への寄与度も突出して大きいことから、この日の上昇幅+336円に対し1社で+261円の上昇寄与でした。このほかバフェット思惑から商社株が賑わい、足元決算が相次ぐ内需ディフェンシブの小売業を中心にリサイクルやディスカウントショップなど生活防衛をテーマとした物色も活発化しました。
一方で冴えなかったのは景気敏感株で海運や半導体、自動車、素材などが逆行安、ザラ場中に為替がやや円高に振れてきたことも重しとなりました。米経済指標の悪化から米金利の上昇期待が薄まったことで金融株も売られました。決算材料によっても高安まちまちの反応がみられましたが、概ねファーストリテイリング1社の上昇で日経平均が押し上げられており、その他は通常運行と言える相場でした。
新興・中小型株市場では直近上場の宇宙開発企業アイスペース(9348)がストップ高まで買われたほか、大阪のIRカジノ関連や政府の核融合開発戦略決定から関連銘柄が一斉動意するなど材料株の物色が活況。日経平均が大幅高した割に主力株の上値を積極的に買い進む動きはみられない一方で、値動きの軽い小型株が材料動意した際には売買代金が急増する現象が鮮明となっています。
【米国株概況】
米国株に迫る景気悪化とインフレの懸念、米FRBの利上げ強化スタンスに警戒感
NYダウ 33886.47(▲0.42%)[33,730~34,082]
S&P500 4137.64(▲0.21%)[4,113~4,163]
NASDAQ 12123.47(▲0.35%)[12,026~12,205]
ダウ輸送株 14246.6(+0.42%)[14,166~14,340]
半導体SOX 3070.5(▲0.15%)[3,037~3,107]
日経平均先物(CME) 28,490(+0.25%)[28,325~28,585]
ドル/円 132.15~133.86(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.458%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.515%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 82.68(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 2017.70(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.118(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)17.07(高値37.79:2/24)
SKEW指数 134.65(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 67(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.28(安値70.30:10/13)
米国市場では3月米小売売上高が市場予想より大きく下振れし景気悪化懸念が強まった一方、米ミシガン大学が発表した4月の1年先期待インフレ率速報値が予想を上回ったことでインフレ長期化懸念が蒸し返されてきました。また、米FRBのウォラー理事がインフレ退治に重きを置いて金融引き締めを長期化する旨の発言を行ったことから、5月FOMCの0.25%利上げ確率が上昇しています。
他方、米企業の決算がスタートし、先陣を切った金融株ですが決算良好で大幅高したJPモルガンを筆頭に、シティやウェルズ・ファーゴなどが軒並み好調、米金利上昇から利ザヤ拡大で商業銀行の収益力が高まったことを反映しました。一方で、引当金の積み増しなどから収益を圧迫される要因も目立ち始めており、先行きに対してはやや慎重な見方も出ています。商業銀行に対して投資銀行は18日にゴールドマン・サックス、19日にモルガン・スタンレーがそれぞれ発表を予定しており、金融株の中でも業務によっても好不調がはっきり浮かび上がりそうで、世界最大手級の運用会社ブラックロックの決算は減益でした。
米景気をめぐっては金融株よりも米経済指標の悪化が目立っている米製造業の企業群の決算が注目を集めるとみられ、今晩発表の4月ニューヨーク連銀製造業景気指数などと合わせて景気敏感株の動向を注視しておく必要がありそうです。決算シーズンはまだ始まったばかりですので、今週はマクロよりミクロの材料で個別株ごとに動きが大きく異なることも予想されることから全体の方向感は定めづらくなるでしょう。
今週末には米国株オプションSQの算出が控えていることもあり、週後半にかけては警戒感が高まりやすくなることが予想されます。とくにS&P500やナスダックなどの指数はハイテク大手の動き次第で大きく振り回されることも考えられますので、以前○○ショックなどと呼ばれ市場波乱を持ち込んだネットフリックスやテスラ、GAFAMの決算が一巡してくるまでは慎重なスタンスで臨む必要があるでしょう。
【日本株投資戦略】
ファーストリテイリングの動向注視しながら押し目買いを狙う、週後半までの時間軸で下値拾いは慎重に
日本市場は前週末に大幅高したファーストリテイリング(9983)の動向を監視しながら他銘柄にも決算期待で物色に広がりがみられてくるかを確認する局面です。とくに来週以降の決算シーズン本格化の先陣を切ってくるニデック(旧日本電産:6594)をはじめ日経平均にも影響の大きいファナック(6954)やアドバンテスト(6857)などの値動きにも注目しておきたいところです。
セクター別に好調が目立つ商社株の物色がどこまで続くかはさておき、先週冴えなかった外需景気敏感株と反対に好調だった内需ディフェンシブ株とで明暗がくっきり分かれていたことから今後はこれらが逆向きに動く転換点を探っておくことが大事になってきます。
それまでは押し目買いを急いでも良い結果につながりませんし、中にはGWをはさんで決算発表する企業も多いはずですので短期的な上値の期待値は低いとみておいた方が無難です。むしろファーストリテイリングの独歩高影響で日経平均が実勢よりも押し上げられているために、個別の売り圧力に気付きにくいといった副作用もあるはずです。
足元で上値が重そうな景気敏感株はとりあえず週末あたりまで様子見するつもりで、できるだけ下値を引き付けて押し目買いする必要があると思われます。一方で、値動き含めて好調なディフェンシブ株はGW前に利益確定させるタイミングを見極める局面です。来週以降で主力株の決算発表が本格化してくると物色資金がそちらに向かっていきやすくなることが想定されますので、今週半ばくらいまでに半益確定、そしてGW前に再び半益確定などと利益確定するタイミングと価格の分散を図りながらポジションを軽くしておくことが大事と言えるでしょう。
※スタンダード会員へご登録いただくと、1.今後のマーケットについても展望する【先読みの近未来】、2.日々の≪重要ニューストピック≫を厳選して深堀りする【揺れ動く世界情勢の解説】などを加えた内容充実のメールマガジンをお届けします。