【4/13日本市場の確認ポイント】
日経平均 28156.97(+0.26%)[27,952~28,163]
TOPIX 2007.93(+0.05%)[1,998~2,008]
マザーズ 750.77(+0.73%)[740~751]
値上がりセクターTOP5
1.医薬品(+1.05%)
2.小売(+1.00%)
3.倉庫・運輸(+0.89%)
4.その他金融(+0.63%)
5.サービス(+0.45%)
値下がりセクターTOP5
1.鉄鋼(▲1.13%)
2.空運(▲0.78%)
3.証券・商品先物(▲0.76%)
4.その他製品(▲0.75%)
5.石油・石炭(▲0.61%)
日本市場は米国株安を横目に押し目買いが入り、朝方に割り込んだ節目の28,000円を回復して5日続伸となりました。決算発表前のファーストリテイリング(9983)が事前の月次動向で好調が確認されていることから強気に買われて年初来高値を更新、その他内需系の小売やサービスなどの決算発表が相次ぐ中で個別株物色が盛り上がりを見せています。
一方、外需系は米国株安に買いの手が止まり上昇一服感から利益確定売りが出ており、東京エレクトロン(8035)をはじめ半導体関連株がそろって下落しています。また、景気敏感株の一角も買戻し一巡から戻り待ちの売りに押され、鉄鋼株や自動車株など上値の重さが目立つものも散見されます。ただし、全体では東証プライムの騰落銘柄数は値上がり943/値下がり786と値上がり優勢で、バリュー株の戻り一服に対してグロース株が指数を押し上げており、好地合い環境が続いています。
新興および中小型株市場では材料物色が賑わっており、足元では東証の主体別売買動向から3月下旬以降の海外勢による売り越しが確認されたところで、凡そ売り一巡となってきた印象を受けます。ただし、材料株以外のところでは物色にバラつきがある点は否めず、来月の決算シーズンを前に買い手掛かりが薄い株は放置されやすいと言えるでしょう。直近IPO株のセカンダリー物色が賑わっていることも既存の新興株との間で資金が分散されやすいといった側面もあるものと思われます。
【米国株概況】
米インフレ鈍化で米利上げ強化の警戒感が後退、売り方のショートカバー誘発した米国株は企業決算で景気後退懸念と向き合う
NYダウ 34029.69(+1.14%)[33,605~34,054]
S&P500 4146.22(+1.33%)[4,099~4,150]
NASDAQ 12166.27(+1.99%)[11,995~12,178]
ダウ輸送株 14186.5(▲0.24%)[14,035~14,272]
半導体SOX 3074.9(+0.73%)[3,036~3,092]
日経平均先物(CME) 28,395(+0.73%)[27,860~28,435]
ドル/円 132.02~133.37(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.456%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.449%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 82.29(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 2054.55(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.125(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)17.80(高値37.79:2/24)
SKEW指数 132.36(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 65(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.42(安値70.30:10/13)
米国市場では12日の3月米CPI(消費者物価指数)発表をうけて買われる場面がありつつ、同日の午後に前回のFOMC議事録が公表されて景気悪化懸念が重しとなって売り直されました。しかし、昨晩の3月米PPI(生産者物価指数)がインフレ鈍化を示す内容となったことから米FRBの早期利上げ停止期待が再び高まり、主要株式3指数はそろって反発しました。
市場の焦点は次回5月の米FOMCに集まっており、12日のFOMC議事録が警戒売りを誘ったのは3月0.25%利上げを決定した経緯です。米FRBメンバーの中では利上げ見送り組と利上げ強化組に意見が割れており、例の金融不安がなければ0.50%利上げも選択肢に含まれておりました。結局は妥協点を探って0.25%利上げに落ち着いたわけですが、金融当局のインフレ退治姿勢が米景気を冷やすと警戒感を強める結果となりました。
その後、足元の米CPIと米PPIのインフレ指標が概ね鈍化を示したことから、上記の米景気後退の警戒感から売りポジションがかさんでいたフローが逆流し、ショートカバー(売り方の買戻し)が発生。昨晩のような反騰につながったということになります。こうしたペイントレードでは売り標的になりやすいハイテク大手の株価が大きく買い戻される傾向にありますので、結果的に指数全体を押し上げる形となります。
ただし、景気後退懸念であったり、インフレ実態などについては5月米FOMCまでまだ時間がある中で見方がコロコロ変わりがちです。米景気に関しては今晩の金融株決算を皮切りに月末にかけてハイテク大手の決算動向が注目され、昨年後半以降の大量レイオフが業績を下支えするとみられる一方で、銀行などは引当金の積み増しなどで収益が圧迫されることを避けられません。
米企業の業績を市場が織り込む中で景気悪化懸念が強まっていくようであれば、米FRBは5月米FOMCでの利上げを最後として年内利下げ転換に方針を変更する期待が高まるかもしれませんが、その場合においては株式市場はある程度値幅を伴った調整がこの4月中に起こる必要があるでしょう。しかしながら、米企業の決算も無難に消化していけるようであれば結果的に利上げ早期停止観測は打ち消される一方、景気後退懸念が払拭されますので5月以降の米国株パフォーマンスはかえって底堅く推移することが見込めるようになるかと思います。
【日本株投資戦略】
日経オプションSQ値は28,519円と高めの決着、上値抵抗を意識しつつ決算シーズン本格化後の上昇に期待
米国におけるインフレ基調が緩和してきたことをうけて日米の金融政策コントラストが際立ってきており、日本株ではとりわけ植田日銀総裁の初手に注目が集まります。直近の植田日銀総裁の見解では金融緩和策の現状維持を表明しており、ハト派アピールで市場の混乱を避けたい心理が透けて見えます。
日本株も日経平均が4/4高値の28,287円を上回ってきたところですので、このまま上値を伸ばして4/27・28の日銀金融政策決定会合までの貯金を作っておきたい場面になります。日本の場合は3月決算企業の決算発表が4/24~本格化を迎えますので、そこからがむしろ本番になってくると思われます。
昨日のファーストリテイリング(9983)決算が好感されて日経平均は大きく押し上げられていますので、4月限のオプションSQ清算値は28,519.43円(推計値)は実勢よりもやや高めに算出された可能性があります。これを上回るにはファーストリテイリング(9983)頼みではなく全体で底上げしてくる必要があり、裏を返せばファーストリテイリングの決算材料買いが一巡してくると上値の重さが意識されやすくなります。
目先はSQ値を目安に踊り場を形成しつつ、決算期待が徐々に高まっていくような動きが想定されます。世界の景気懸念が燻る中でニデック(旧日本電産:6594)の決算発表を皮切りに決算シーズン全体を占う形となりますので、再来週から景気敏感株が息を吹き返してくるかが重要なポイントになります。それまでの間は幕間つなぎで材料株、テーマ株といった分かりやすい買い手がかりのある銘柄に資金が集中しやすいと言えるでしょう。よって、来週のところはまず28,000円台の定着というのが妥当な見方で、29,000円トライは月末にかけてのお楽しみと言えるかと思います。
これは現状の28,500円付近はSQ通過後の先物・オプショントレーダーの売買が混みあってくると思われ、上昇一服感が意識されれば利益確定売りも降ってきやすいと言えます。したがって、企業決算に不安点が残る銘柄に関しては材料物色で噴き上げたところはしっかり売っておき、業績期待が持てる銘柄は今のうちに先回り買いで銘柄の選別にメリハリをつけて取り組むことが大切です。
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