【3/28日本市場の確認ポイント】
日経平均 27518.25(+0.15%)[27,432~27,603]
TOPIX   1966.67(+0.25%)[1,960~1,975]
マザーズ 740.62(▲1.42%)[739~751]

値上がりセクターTOP5
1.銀行(+1.96%)
2.鉱業(+1.75%)
3.石油・石炭(+1.21%)
4.非鉄金属(+1.18%)
5.保険(+1.01%)

値下がりセクターTOP5
1.紙・パルプ(▲0.52%)
2.サービス(▲0.43%)
3.陸運(▲0.43%)
4.不動産(▲0.36%)
5.情報・通信(▲0.26%)

 日本株は金融不安の後退を背景に米国株高の流れを受けて日経平均は節目の27,500円を上回ってスタート、先週から質への逃避で上昇していたグロース株に売りが出る一方で大きく下落していた金融株やエネルギー、素材、商社などといったバリュー株に資金が向かいました。セクターローテーションと相まって直近の巻き戻しの動きが加速しています。

 日経平均構成銘柄では寄与度の大きい東京エレクトロン(8035)が軟化傾向を辿りつつファーストリテイリング(9983)がこれに入れ替わる形で上昇。半導体関連として戻り相場を主導してきた信越化学(4063)やソニー(6758)、アドバンテスト(6857)などが弱含みのほか、グロース株の代名詞でもあるソフトバンクG(9984)が一時▲2%超下落する場面もみられました。他方、上昇が目立ったのは銀行株のりそなHD(8308)やみずほFG(8411)で、その他にも非鉄金属や化学、自動車、エネルギー、商社などが強含みました。

 日経平均などもレンジ上限付近に位置するもブレイクする勢いはまだなく、為替円高が重しとなって値を消す銘柄も見られました。ただ、地政学リスクで原油価格が急伸したことや今年度の銅電線の出荷が伸びる見通しなどから素材系が幅広く買われており、上放れを期待する上ではこのままバリュー株が反騰態勢に入っていくのか注目。一方で、金利上昇からグロース株売りという中では新興市場が下落しており、直近IPO株がそろって大幅安に転じる動きが見られたことに加えてマザーズ指数は▲1.4%の下落となりました。

【米国株概況】
金融不安の緩和で米金利が上昇、ハイテク株の利益確定売りとバリュー株持ち直しの資金巻き戻しの中で中国企業が大幅高

NYダウ 32394.25(▲0.12%)[32,295~32,551]
S&P500 3971.27(▲0.16%)[3,951~3,979]
NASDAQ 11716.08(▲0.45%)[11,635~11,752]
ダウ輸送株 13967.2(+0.58%)[13,851~14,016]
半導体SOX 3057.3(▲0.85%)[3,015~3,077]
日経平均先物(CME) 27,230(▲0.22%)[27,140~27,365]
ドル/円 130.43~131.56(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.324%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.572%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 73.72(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1992.00(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.0743(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)19.97(高値37.79:2/24)
SKEW指数 122.90(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 38(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.38(安値70.30:10/13)

 米国市場は金融不安払拭に向けた支援材料が相次ぎ、最も売り圧力が強かった金融株が買い戻されました。大型ハイテク株の上昇一服によりエネルギー、資本財、素材等の景気敏感株が上昇して資金の巻き戻しが見られます。石油株のシェブロンはじめ航空・宇宙・防衛関連のボーイングなどが上昇したほか、建機大手のキャタピラーや化学のダウなど典型的なシクリカルバリュー株が買い直されています。

 昨晩は中国企業で大きく買われるものが目立ち、アリババが事業6分割でそれぞれがスピンオフ上場を目指す可能性が報じられて+14%と急伸、この他バイドゥやJDドットコムなども+5%弱の上昇を見せました。金融不安で大きく低下した米金利環境を支援材料にハイテク株は堅調に推移してきましたが、市場が徐々に落ち着きを取り戻す中で安全資産需要としての米国債が売られて金利が上昇、これに伴いハイテク株が利益確定売りという流れがある中で、米中緊張の高まりが演出されつつも中国企業が米国のナスダックを下支えしたというのは皮肉です。

 一連の金融不安騒動が市場のリスク回避を促した結果、先週末の米10年債利回りは3.3%台を一時割り込む水準まで低下しました。これが昨晩は3.5%台まで戻してきています。金融不安から波及した景気後退懸念も織り込みつつ、リスク指標もVIX指数が20pt割れとなって投資家のリスク回避姿勢が正常化してきていることが分かります。

 その一方で今度は対中ロおよび中東などの地政学リスクが再燃してきているのが厄介な点ですが、米国株はひとまずナスダックが貯金を確保したと言える状況ですから、今度はバリュー株構成比率の高いNYダウがどこまで戻せるかが焦点になってくると思われます。これが不調のまま4月に入りますと、やはり市場は景気後退懸念をネタにして米FRBの年内利下げを催促する相場を再開させかねません。

 その際、4月は米企業の決算シーズンに突入してまいります。今度は金融不安からの思惑としてでなく、企業のファンダメンタルをベースに本格的に織り込みにいく必要が生じるものと思われます。足元で米金利が上昇してきていることから為替も一旦米ドル高の方向に巻き戻しを誘発されやすくなるとともに、米国企業のファンダメンタルでは製造業中心にこれが重しとなりやすいでしょう。

【日本株投資戦略】
強弱材料が交錯する中で配当権利にからむ売買も集中、基本姿勢は変わらず押し目買い対応

 日本市場は本日が配当権利付最終売買日ということで、配当取りの駆け込み需要と明日の配当落ち分を空売りでヘッジする動きが交錯し合う特殊な需給が発生しやすい日になります。昨晩の米国市場は下値を確認しながらも最終的には小動きで終わっており、外部環境として注目されるのは上述したように米ナスダックを実質的に下支えした中国企業の動向になりそうです。

 中国市場が始まる10:30以降で日本株に影響を及ぼすかどうかですが、直接的に関係してくるのはアリババとの資本関係にあるソフトバンクG(9984)の動向に注目で、昨日の下げ分を埋め戻した上でどこまで上値を試すか、それによって日経平均の上昇寄与度も変わってくるかと思います。

 一方で、直近のグロース株売りの流れから東京エレクトロン(8035)など半導体関連が今日明日で持ち直す動きがみられてくるかも重要です。日本株は世界景気敏感株でとりわけ米ナスダックとの相関性が高いとされていることから、半導体株への売り圧力が強まるようですと単純に日経平均を押し下げやすくなります。

 本来、配当落ちがみられた後の展開では配当落ちした銘柄の需給が緩みやすく、むしろ配当落ち影響の少ないグロース株に資金が向かいやすいはずですが、足元ではちょうど金利環境が上昇に転じてきたタイミングでこれがグロース株にとっての逆風として意識されやすいと言えます。

 結局のところバリュー株は配当落ちの調整がある一方、グロース株は金利逆風が吹く状況ですから、全体的には結局バランスしてレンジ内での動きにとどまるといった曖昧な考えしか持てませんが、バリュー株で配当落ち分をすぐに埋め戻すような銘柄が強いと判断するポイントになります。総括しますと、基本的には押し目買い姿勢を堅持しつつ、ファンドリバランスのある月末を乗り切って4月以降の上昇相場に期待をしておきましょう。

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