【3/2日本市場の確認ポイント】
日経平均 27498.87(▲0.06%)[27,408~27,617]
TOPIX 1994.57(▲0.16%)[1,991~2,004]
マザーズ 748.96(+0.49%)[740~749]
値上がりセクターTOP5
1.鉄鋼(+0.87%)
2.非鉄金属(+0.79%)
3.海運(+0.58%)
4.陸運(+0.50%)
5.紙・パルプ(+0.48%)
値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲1.59%)
2.証券・商品先物(▲1.44%)
3.銀行(▲0.72%)
4.機械(▲0.63%)
5.精密機器(▲0.51%)
日本株は一進一退で小動き、米長期金利の4%超えから半導体関連などグロース株の利益確定材料となリましたが、ファーストリテイリング(9983)やソフトバンクG(9984)が上昇して日経平均を下支えしました。グロース株が冴えない一方で、バリュー株が物色され、鉄鋼、商社、海運、非鉄金属など市況関連が堅調な動きを見せました。
グロース株、バリュー株を交互に物色しながらチャート上では強気の三角保ち合いを形成しており、とくにTOPIXでは2,000ptからの上放れに期待が高まっています。日経平均も28,000円手前のところまで来ると上値が重くなりますが、主力値がさ株の動向に左右される部分が大きいため、昨日堅調だったファーストリテイリング(9983)が月次発表で材料出尽くしとならなかった場合や足元で強く買われている中国関連、工作機械のファナック(6954)や安川電機(6506)が上値追いを続けられるかが鍵となります。
足元で米長期金利の上昇を受けて為替が再び円安方向に進んできており、輸出企業に対する業績懸念緩和や景気敏感株に対する中国経済再開の恩恵期待などが幅広く日本株を物色する動きにつながっています。足元では小型株を中心に資金が横にバラけやすくなっていますが、国内の金融機関や年金、ファンドなどの期末の決算対策売りが一巡して全体の煮詰まり感が解消してくるかが注目されます。
【米国株概況】
米FRBメンバーの次回利上げ消極的発言でショートカバー発生、来週のパウエル発言で利上げ幅の真偽を見極めか
NYダウ 33003.57(+1.05%)[32,665~33,083]
S&P500 3981.35(+0.76%)[3,928~3,990]
NASDAQ 11462.98(+0.73%)[11,273~11,487]
ダウ輸送株 15040.7(+1.86%)[14,639~15,094]
半導体SOX 2984.1(+0.96%)[2,892~2,996]
日経平均先物(CME) 27,705(+0.67%)[27,400~27,740]
ドル/円 136.02~137.11(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.501%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 4.068%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 77.94(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1843.60(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.0743(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)19.59(高値37.79:2/24)
SKEW指数 117.58(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 49(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)73.96(安値70.30:10/13)
米国市場は米長期金利が4%を上回って推移し、ハイテクグロース株主体のナスダックはテスラの新基本計画に対する投資家の失望から一時▲8%超の大幅安となっていたことなども影響し続落商状であった一方、NYダウは決算および強気見通しが好感されたセールスフォースが2桁上昇となって牽引、堅調に推移していました。
後場に入り、ボスティック米アトランタ連銀総裁が3月FOMCで0.25%の利上げを強く支持すると発言したことをきっかけにNYダウは上昇幅を拡大、ナスダックやS&P500もそろってプラス転換を果たし、次回FOMCでの大幅利上げに対する警戒感が和らいだことで売り方の買い戻しを誘発しました。
米FRBメンバーのうち、あくまでも1人の意見に過ぎないですから、実際の3月FOMCで0.25%利上げで済まされるのかはともかく、調整が続いてきたナスダックやS&P500が200日移動平均線付近で反発を見せたことは朗報と言えるでしょう。米金利上昇が再び強まる中、テクニカルのサポートラインが機能して切り返すことができるのであれば、直近で増加した売りポジションの買い戻しが続くと期待できるでしょう。
ただし、来週に米FRB注目の米経済指標発表が相次ぐほか、パウエル米FRB議長による上院公聴会での発言なども控えています。パウエル米FRB議長の発言はその他大勢の米FRBメンバーとは重みが違いますので、実質的に3月FOMCでの利上げ幅を決定づけられるかもしれません。
その一方、ここを無難に乗り切れれば金利先高警戒もさほど高まらず、前回解説した短期証券やMMFなどに滞留している資金が回り始めるきっかけになるだけで、株も債券も買い戻されるようになります。リスク指標では一時の過熱感が薄れてF&G指数は中立水準まで戻ってきています。調整一巡感が意識されやすい局面でもあるだけに、来週は今後の投資スタンスを検討する上で、押し目買いか、戻り売りか、とくに向こう3か月の中期トレードにおいて重要な判断局面になってくると言えるかもしれません。
【日本株投資戦略】
米株高に連れ高して日本株も全面高商状、売り方の買い戻し誘発で日経平均28,000円に接近
日本株は指数が一進一退ですので手がかりを求めて材料株に資金が回りやすい状況ですが、昨日引け後にファーストリテイリング(9983)が月次発表して株価は上昇反応ですので、日経平均が上値ブレイクするにはこの機を逃さず値がさグロース株が相場を牽引していく必要があります。
ファーストリテイリング(9983)の他にもファナック(6954)や信越化学(4063)、アドバンテスト(6857)など果敢に上値を試している日経寄与度の上位銘柄が堅調なうちは、仮にバリュー株に利益確定の動きが出ても影響は限定的で、期末の配当落ちなどがあっても日経平均の下値は底堅く推移するでしょう。
その一方、こうしたグロース株が上昇一服となってきた場合、いかに鉄鋼株や商社株などが上値を伸ばしても影響が限定的で、バリュー株はいずれも配当利回りが高いために配当落ち後の株価下落インパクトが大きくなりやすいと言えます。そうした観点では調整して割安感が出てきたグロース株を逆張りで狙う戦略が有効となってくるかもしれませんが、代表的なグロース系といえば情報・通信、サービス、医薬品で、ソフトバンクG(9984)はじめリクルート(6098)やエムスリー(2413)、塩野義製薬(4507)などが直近で安値圏に沈んでいます。
バリュー株でもグロース株でも強弱感は二極化しており、バリュー株VSグロース株どちらを狙うべきかというより、投資スタンスとして順張り派か逆張り派かという点で投資先が分かれてくると思います。米国株同様に日銀の金融政策に大きな修正が加えられないのであれば、値動きが良く上値追い銘柄を順張りでついていく方が短期パフォーマンスを期待できることでしょう。
◆日銀3月会合でサプライズ見込まず、金融機関の含み損拡大に懸念の声(2023/3/1)
ただし、同じく10〜15%程度の期待リターンを見込む場合に、下振れリスクを見積もる上では高値圏にある銘柄ですと配当落ち込みで▲10〜20%を受容しなければなりません。その点、下値調整中のグロース株を逆張りで狙う場合は日銀サプライズが無い限りにおいて配当落ち影響が少なく、戻りの水準訂正で同じリターンが期待できるメリットがあります。その代わり、リターン実現のために要する時間がかかることも覚悟して取り組む必要があるのが逆張り戦略です。
銘柄選定にあたっては期待リターンとリスク、さらにパフォーマンス実現にかかるまでの取り組み期間を考慮して投資スタンスを決定する必要があります。この日米金融政策決定のタイミングでボラティリティが再び低下して、グロース株見直しの動きに期待が持てるようになってきたというのは好材料で、来週以降の調整局面はむしろ昨年末同様に積極的に押し目買いを狙っていきたいところでしょう。
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