【2/24日本市場の確認ポイント】
日経平均 27453.48(+1.29%)[27,128~27,465]
TOPIX 1988.40(+0.67%)[1,974~1,989]
マザーズ 748.84(▲0.52%)[746~754]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+3.83%)
2.電気機器(+2.08%)
3.不動産(+1.88%)
4.機械(+1.59%)
5.陸運(+1.47%)
値下がりセクターTOP5
1.銀行(▲1.17%)
2.医薬品(▲0.98%)
3.鉄鋼(▲0.85%)
4.非鉄金属(▲0.56%)
5.鉱業(▲0.52%)
日本株は休場明けで大きく反発し再び日経27,500円を窺う動きとなりましたが、前場で植田次期日銀総裁候補の所信聴取における発言をある程度織り込んだ後は伸び悩みました。日銀材料で大きな動きを見せたのは不動産株の見直し買いと銀行株の売りでしたが、それ以前に海外市況を受けて海運株や半導体株の大幅高が際立っており、主力株を中心にリスク選好の動きを強めました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1333/値下がり441で値上がり銘柄が優勢でしたが、意外にもTOPIXはバリュー株の利益確定売りが嵩んで伸び悩み、グロース株もマザーズがマイナス推移と主力どころ以外の軟調が滲む相場でもありました。半導体関連が材料好反応に加え、海運株もバルチック市況改善と市場物色を引っ張る筆頭格が揃って上昇したのは吉報ですが、代わりにここまで相場を押し上げてきたバリュー株、中でも銀行株、鉄鋼株の利益確定売りが目立つようになってきています。
日経平均が優位性をもって上昇トレンドを維持する場合、ファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン(8035)、ファナック(6954)、ソニー(6758)など主力かつ値がさ株の動向がカギを握ることになりますが、これらは同時に株式分割がこれから相次ぐ機会も増えてまいります。特に構成割合の大きいファーストリテイリング(9983)、東京エレクトロン(8035)は単独でも日経平均を動かせるだけのインパクトを持っていますので、分割後の動向に注意を払っておくべきでしょう。
【米国株概況】
米金融政策の利上げ警戒高まる、米短期金利は2007年以来の高水準に
NYダウ 32816.92(▲1.01%)[32,643~32,999]
S&P500 3970.04(▲1.05%)[3,943~3,978]
NASDAQ 11394.94(▲1.68%)[11,334~11,434]
ダウ輸送株 14629.0(▲0.54%)[14,425~14,670]
半導体SOX 2935.1(▲1.80%)[2,913~2,950]
日経平均先物(CME) 27,330(▲0.18%)[27,130~27,450]
ドル/円 134.06~136.52(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.499%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.947%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 76.32(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1817.10(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.9520(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)21.67(高値37.79:2/24)
SKEW指数 121.22(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 59(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.17(安値70.30:10/13)
米国市場は米FRBがインフレ指標として重要視しているPCE(個人消費支出)価格指数が公表され、市場予想を上回ったことから金融政策の利上げ強化見通しが重しとなって米国株は反落。一時はNYダウが▲500ドル超の下落幅となったものの、徐々に持ち直して下落幅を縮小しました。
週足ではNYダウがこれで4週続落となったほか下落率も▲3%と大きめの下げとなったことで、投資家センチメントは若干悪化してFear&Greed指数は59と中立レベルに接近。調整色を強めつつ米金融政策をめぐって神経質になる展開が増えてきました。米国でインフレ長期化の懸念が再燃してくれば、昨年同様に世界同時で金利上昇懸念が強まる可能性も高まる恐れがでてくるため、投資家にも一時の市場支配的だった楽観ムードが薄らいできました。
米国債は米2年債利回りが4.8%台に乗せて昨年11月高値を上回ってきたほか、水準的には2007年以来のリーマン・ショック前と同水準にまで上昇してきたことになります。米FRBの利上げ見通しにつきましても、3月、4月、6月での利上げ確率が高まって3会合で75bpの利上げ観測する声も強まっており、米10年債利回りも再び4.0%に接近しています。長短金利差の逆イールド拡大が市場の不確実性を高めており、オプション市場では3月FOMCでの50bp利上げ可能性も意識され始めてきています。
ただし、難しいのは市場全体として警戒感は強まってきているのは事実として、それでも悲観的な状況に陥るのではなく過度な楽観が剥落して慎重さが意識されるようになったというところで、良い感じにガス抜きをはさんでいるとの見方もできます。米FRBメンバーのタカ派メッセージや米経済指標を過度に警戒したりしなければ、利上げ長期化を悲観し過ぎなければ大きく崩れるようなことにはつながらないでしょう。
その反面、年初の過度な楽観にみられたように今度は悲観に傾き過ぎるようになると米国債に集中しているグローバルマネー全体に影響が及び、米国債売りの米金利上昇から株安はじめリスク資産全面売りという構図につながっていきやすくなります。米金利が利上げ長期化、金利ピーク予想引き上げからじわじわと織り込みが進んでいく分にはまだ問題ないと言えますが、これが急に反応が敏感になって金利が急騰すると問題が大きくなります。
米FOMCの日程から逆算して米FRBメンバーのブラックアウト入り前には重要発言が増え、さらにオプション市場でのIVも敏感に反応しやすくなってくると考えられますので、3月前半は米金利の上昇ペースやリスク指標に急激な変化が起きないかなどを中心にチェックしておくとよいでしょう。
【日本株投資戦略】
米国株安の割には底堅いが為替円安の割には上値も重い、膠着続く日本株で勝機は個別株の一本釣りのみ
日本株は利益確定売りと押し目買いの強弱感が対立してもみ合う展開が続き、株式市場内でグルグルと資金循環して本日は半導体株売りの鉄鋼株買いで、全体としても日経、TOPIXは小動きで高安まちまちの展開です。為替円安でドル円が136円台をつけていますので外需株中心に底堅く、それなりに売り物が出てきてもすぐに押し目買いが入ってくるため下げ渋っている印象です。
米金利上昇観測から為替が一段と円安に振れていくシナリオ前提では、自動車関連市況の改善と相まって外需株中心に強含む期待が高くなるはずですが、ただその割にはトヨタ(7203)などの動きが冴えない状況が続き、これが為替水準に対してTOPIXの上値が重い要因にもつながっています。
自動車の周辺部材などには市況改善を先取りする動きで強含んでいる銘柄も散見されますが相場の牽引役にはならないために、個別で狙っていける人にとっては物色し甲斐がある相場と言えるでしょう。足元ではまだ低PBR・高配当利回り銘柄への物色関心は根強いように思われますが、中にはすでに息切れ感が出始めているものも散見されています。
やはりこれらを細かく見るとテーマで一括りにまとめるのも難しい印象ですので、銘柄選びは好業績であったり、好需給であったりと本当に一本釣りしていく必要があるように思います。とくに3月は日米の金融政策決定会合の注目度がとりわけ大きくなるとみられますので、なおさら外部環境よりも日本企業の個別毎の先行き期待に対して優劣感が際立ってくるようになるかと思われます。
ただ、その間に小型、新興株には金利上昇圧力への意識から軟化しやすい面は否めず、リスク面を大型株などと並列で考えると足元をすくわれる可能性は以前よりも高くなっていますのでやや注意を要するでしょう。
少なくとも金融当局が正常化に向けて引き締めこそすれ、一段と緩和することは考えにくくなることは間違いないですので、今の指値オペ拡充などは日銀による最後の資金供給の局面とでも言った方がよいかもしれません。ここで主力株が奮起してくるようでないと日本株の先行きも全く上値期待が高まっていかないと思われますので、3月から4月の相場はその日銀政策動向と合わせてとくに重要視しておくべきでしょう。
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