【2/14日本市場の確認ポイント】
日経平均 27602.77(+0.64%)[27,553~27,721]
TOPIX 1993.09(+0.78%)[1,987~1,996]
マザーズ 772.46(+1.07%)[766~774]
値上がりセクターTOP5
1.鉄鋼(+1.95%)
2.食料品(+1.73%)
3.金属製品(+1.71%)
4.その他製品(+1.50%)
5.機械(+1.45%)
値下がりセクターTOP5
1.サービス(▲0.51%)
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし
日本株は米国株高を好感して連れ高し、鉄鋼株が商いを伴いながら上値を伸ばして日本製鉄(5401)が新高値更新、同業の関連株も揃って買われました。米国のハイテクグロース株が見直されたことをうけた半導体株なども持ち直し、セクター別には唯一サービス業のみが値下がりと全般的に買いが入ったと言えます。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1458/値下がり330と全面的に強含みましたが、その割に指数の上値が重たかったのも特徴的です。グロース株堅調の中、リクルート(6098)が決算売りで▲5%の急落が痛手でしたが、日米の金利上昇をうけてなお主力グロース株や新興のマザーズなども買い直す強気な姿勢は見事と言えるでしょう。
幅広く買いが入る中で決算材料を手がかりに鹿島(1812)が+5%超の大幅高、決算好感組ではルネサスエレクトロニクス(6723)や三井松島(1518)なども大幅続伸とバリュー株の方が資金流入が顕著です。ただし中小型株ではグロース市場だけでもストップ高銘柄をそれなりに輩出しており、短期筋の物色意欲は衰えていないとみられます。
【米国株概況】
1月CPIをうけて米金利が軒並み上昇、米国株はヘッジのカバー取引で乗り切る
NYダウ 34089.27(▲0.46%)[33,827~34,331]
S&P500 4136.13(▲0.03%)[4,095~4,159]
NASDAQ 11960.15(+0.57%)[11,760~11,999]
ダウ輸送株 15351.8(+1.11%)[15,041~15,363]
半導体SOX 3121.6(+2.10%)[3,013~3,131]
日経平均先物(CME) 27,745(+0.45%)[27,515~27,765]
ドル/円 131.51~133.30(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.498%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.753%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 78.81(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1865.30(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.0895(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)18.91(高値37.79:2/24)
SKEW指数 121.27(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 73(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.99(安値70.30:10/13)
昨晩の米国市場では注目された米CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回り、米FRBの早期利上げ停止期待が後退する中、米金利が各年限ともに大きく上昇。米10年債利回りが3.75%と年初以来の水準に舞い戻ったほか、米2年債利回りも4.6%台に乗せて昨年11月以来の高値圏に到達してきました。長短金利の逆イールドは拡大、米金利上昇に伴い為替市場でもドル円が昨年末以来となる一時133円台をつけました。
朝方に発表された米CPIでは前年比伸び率が6.4%と前月の6.5%から鈍化したものの、前月比では0.5%上昇となったほか、中でも住居費の伸びが押し上げ要因となったことで金融当局者の利上げ継続を正当化させる内容となりました。
ただ、米国株は事前にCPIショックに対する警戒感からヘッジしていたため影響は限定的なものにとどまり、個別株によってまちまちの動き。主要株式3指数の中ではショートカバーで上昇しやすいテスラやエヌビディアがそれぞれ大幅高してナスダックを押し上げ、NYダウやS&P500は小反落となりました。
米CPIの内容や米金利上昇の割には底堅く推移したと言え、事前のヘッジポジションが奏功したと言えます。実際、VIX指数は直近で20pt超えでしたが、米CPI発表とともに急落、プットオプションの需要が後退したことを示しています。
ただし、今晩にも米小売売上高の発表を控えており、昨晩でヘッジを外したことによってこれが大きく悪化を示すようだと投資家の守りが薄くなったところに追撃を食らう形となります。米CPIを無難に消化したことで気が緩みやすいところでしょうけれども、株価としては需給面に支えられているのが現状ですから、需給が崩れやすいポイントは注意しておく必要があるでしょう。
【日本株投資戦略】
TOPIXの大台目前で伸び悩み、上値を抑える日本株の伝統的バリュエーションのカベ
日本株は米CPIを通過して為替がドル高円安に進んできましたので、ここで一気に上値を試しておきたい場面ですが伸び悩む展開。昨晩の米国ナスダックや半導体SOXが上昇して、指数を引っ張る役割の東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)といった半導体株、あるいはファーストリテイリング(9983)などがもう少し奮起を促したいところですが、現実には今ひとつの状況です。
実際、米国株でもテスラやエヌビディア、AMDなど一部の銘柄が局所的に買われた、あるいは買戻されたことによるナスダック上昇という側面が強いため、景気改善期待で上昇するのとでは状況が異なりますので致し方ないでしょう。
日本株で今相場を引っ張っているのは鉄鋼株と銀行株を中心としたバリュー株ですので、残念ながら日経平均でのこれらの指数寄与度は小さいため、実勢を反映しづらいといった特徴があります。その点ではTOPIXの動向の方が日本株の現状に近いと言えますが、本日は2,000ptの大台にあと一歩のところにまで迫っています。
ただこの大きな節目を突破するのはなかなか至難の業で、昨年から一貫してこの2,000ptのカベは日本株にとって大きな試練となっており、3月・8月・11月と3回チャレンジして一時的にクリアはするものの達成感からかその後あえなく反落といったことが繰り返されています。
日本企業のバリュエーションからすると日経平均のPERは現在16.5倍で、過去の長年の推移では16倍超えると頭打ちとなりやすい水準と言えるため、単純にコロナ禍以来の割安性という見方も通用しなくなっています。それどころか、足元の企業業績がやや悪化したことでEPS(1株当たり利益)は昨年時よりも低下したために割高な印象になりつつあります。
実際、日本ではコロナ禍での強制貯蓄がリベンジ消費などでまだ吐き出されていない、つまり欧米のようなコロナ禍の反動で消費が爆発するような現象なども起きていないため、通常運行を続けてきたのが日本市場の特異性とも言えます。これは完全に日本政府がコロナ対策の舵取りとして意図してかせざるかはともかく、周回遅れさせたことによるものと言えるでしょう。
これが今年5月を目途にコロナ解放となり、日銀の新しい人事から金融政策も見直される中で、上記の分厚いカベを突破できるかが今後の焦点になります。ある意味、今年全体の相場を考えればここで変に無理して高値トライして空売りの餌食になるよりも、企業業績の下振れを一時的要因として素直に織り込みながら膿を出し切り、コロナ抑圧からの反動で経済活性化に向かう来期業績での挽回の方が、株価としても素直に業績相場として上値を伸ばしやすくなるでしょう。
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