【1/26日本市場の確認ポイント】
日経平均 27362.75(▲0.12%)[27,284~27,502]
TOPIX 1978.40(▲0.12%)[1,974~1,987]
マザーズ 777.28(▲0.12%)[774~782]
値上がりセクターTOP5
1.精密機器(+1.30%)
2.不動産(+1.06%)
3.その他製品(+1.00%)
4.水産・農林(+0.84%)
5.化学(+0.77%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲1.78%)
2.陸運(▲0.63%)
3.電気機器(▲0.40%)
4.石油・石炭(▲0.40%)
5.機械(▲0.33%)
日本株は寄付直後に日経平均が27,500円タッチした後に反落、戻り待ちの売りが優勢となり上値を阻まれました。半導体の東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)が昨年12月高値付近で上値を抑えられているほか、海運大手3社が大きく売られました。
相場の先導役が不在の中、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり761/値下がり966とやや値下がりが優勢。ただ、前回決算ミスで取り上げた日本電産(6594)が自社株買い発表を支えに下げ渋り昨日は反発と、企業決算がこれから本格化を迎える手前でそれほど警戒心が高まったわけでもない様子。むしろ昨日引け後に信越化学(4063)が業績上方修正を発表して決算期待が買い方を勇気づけそう。
新興市場でもマザーズは戻り高値更新後に小幅安と高値圏維持、小型株の決算はまだ少し先であることもふまえて個別株を物色する動きはなお活況と言えるでしょう。2023年最初のIPO案件となるテクノロジーズ(5248)は公開価格の2倍以上の株価でも買いが殺到して寄り付かず、初値は持ち越しとなったことからも新興市場の地合いの強さが窺えます。
【米国株概況】
10-12月米GDPは市場予想上回り米FRBの利上げ正当化、米企業決算の明暗が分かれ株式市場は荒い値動き続く
NYダウ 33949.41(+0.61%)[33,635~33,953]
S&P500 4060.43(+1.10%)[4,013~4,061]
NASDAQ 11512.41(+1.76%)[11,069~11,334]
ダウ輸送株 14292.2(+0.01%)[14,071~14,370]
半導体SOX 2966.6(+1.63%)[2,905~2,969]
日経平均先物(CME) 27,500(+0.44%)[27,260~27,515]
ドル/円 129.04~130.62(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.461%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.506%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 81.10(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1929.70(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.2830(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)18.73(高値37.79:2/24)
SKEW指数 121.49(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 69(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)76.39(安値70.30:10/13)
米国市場は10-12月米GDP速報が発表され、年率換算で前期比2.9%増と2.6%増の市場予想を上回りました。年末商戦の不振が懸念されていた中で、7-9月実績の3.2%からは減速したものの比較的底堅いことが確認できたと言えるでしょう。
これで米FRBがタカ派的な金融政策を維持するとの見方が強まった一方、今晩予定されている米PCE価格指数はインフレ動向を確認する指標となりますが、事前観測ではインフレ鈍化の予想が支配的で来週の米FOMCでは利上げ幅が縮小するとの期待が相場を下支えしています。
◆米PCE価格指数は鈍化の予想、FRBの追加利上げ意欲には影響せず(2023/1/26)
米国株は今週の相場において概ね時間外では弱含みで推移し、朝方に大きく売られる場面が目につくものの、いずれも下落を埋める強い切り返しがみられています。NYダウは34,000ドルの大台回復が目前に迫り、S&P500も昨年末の高値4,100ptを窺う動きとなっています。
この日は注目度の高いテスラの決算が好感され10%超の大幅高となったことでハイテク株が軒並み急伸。弱いガイダンスを発表したマイクロソフトでさえも3%超の大幅高となったほか、セールスフォースは5.7%高とNYダウ、ナスダックの押し上げに貢献しました。
NYダウ採用銘柄ではIBMがレイオフ公表と合わせてFCF強気見通しを示すも売上鈍化予想が嫌気され▲4.5%安と大きく値を崩しましたが、その一方で石油大手のシェブロンが決算を前に巨額の自社株買いおよび増配を発表して4.9%高と大幅高しました。
まさに決算で悲喜こもごもの状況と言える米国株ですが、快調に上値を試している半導体SOX指数が昨夏以来となる3,000ptの大台回復に迫ろうという中で、大手のインテルも弱いガイダンスを発表しています。PC需要の減退はマイクロソフトやIBMなどの決算ミスからも明らかでしたが、多くのICチップメーカーにとっても逆風となることが懸念されると同時に、米半導体業界の不振は対中半導体競争対立の激化を加速させます。
◆インテル株が急落、PC需要不振の深刻化で厳しい業績見通し(2023/1/27)
これの窮地を脱するためにバイデン米政権はますますドル安政策転換を図って輸出競争力の強化で打開を狙ってくるものとみられ、昨年の米ドル独歩高が新興国のドル建て債務をめぐり大きく問題視された次はドル安をめぐって各国の通貨政策を混乱させることになるかもしれません。
【日本株投資戦略】
売り方の買戻し一服で上値トライに二の足を踏む日本株、高値ブレイクを後押しする企業自社株買いと政府の規制緩和に期待か
日本株も企業決算の本格化を前に期待と不安が入り混じる展開ですが、上述のとおり地合いは良好のまま大手企業の決算発表を迎えることができます。本日は設備投資関連のファナック(6954)と日立建機(6305)などが景気敏感株を代表するところで注目されますが、昨年後半から大きく株価が見直されている地銀株などの決算も相次ぎます。
日本株は日経平均の27,500円攻防よりもTOPIXの2000pt台回復、あわよくば昨年11月高値の2023ptまで見に行けるかが注目されますが、逆にそこまで一気に行ってしまうと達成感が出やすく「節分天井」も意識されるようになってしまうかもしれません。
米企業の決算からもわかるように銘柄によって決算反応は大きく明暗が分かれる結果となっており、例えば業界で一括りにしてしまうと片方は好調なのにもう片方は決算ミスといったように株価反応では大きな落とし穴が待ち受けているかもしれません。
全体としては先日の日本電産(6594)のように、たとえ業績見通しを下方修正しても自社株買いを発表するように企業側の強気メッセージがあれば投資家の買い気を奮い立たせてくれるでしょう。昨年の日本企業における自社株買いは過去最高を記録し、9兆円超にものぼっています。
◆上場企業、自社株買い最高の9兆円超-今年、厚い手元資金配分 大株主から取得も-(2022/11/18)
これが昨年の各国中銀が金融引き締め競争に走った下落相場の局面で日本株を下支えする大きな原動力になったことに疑う余地はありません。決算シーズンが本格化していく中で業績懸念が高まったとしても、株価としては一時的な調整で済むことになりますし、もし「節分天井」でも春以降の回復が見込めれば投資家は強気で買い向かうことができます。
まだ相場が腰折れしたわけでもないうちから心配は無用かもしれませんが、日米ともに金利が再び上昇してくれば機械的にアルゴリズムが相場調整するように動いてきます。テクニカル上で短期サポートを維持できれば目先の抵抗ラインをブレイクアウトする期待は高まりますが、逆に下値で押し目買いを待ち構えているサポートが打ち破られれば戻り基調が崩れることになります。
売り方のショートカバーが一巡してきた今が正念場であり、ここから先は上値を果敢に買っていく投資家が次々に出てくるような展開になる必要があります。こんな時に国会で日本株を刺激するような政策材料が出てくれば良いですが、子育て支援みたいな局所的なテーマでは昨年の高値には届きません。どうせなら各方面で手足を縛っている規制緩和をどんどん推進するみたいな話が出てくると株価の動きは一変してくるでしょう。
◆株買い戻しに一服感 日銀会合1週間、引き締め懸念なお(2023/1/25)
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