【1/13日本市場の確認ポイント】
日経平均 26119.52(▲1.25%)[26,090~26,409]
TOPIX 1903.08(▲0.27%)[1,899~1,914]
マザーズ 736.78(▲0.96%)[734~744]
値上がりセクターTOP5
1.銀行(+4.26%)
2.非鉄金属(+2.02%)
3.保険(+1.64%)
4.鉱業(+1.43%)
5.鉄鋼(+1.60%)
値下がりセクターTOP5
1.不動産(▲1.53%)
2.繊維(▲1.46%)
3.その他製品(▲1.26%)
4.陸運(▲0.98%)
5.倉庫・運輸(▲0.88%)
日本株は米国株続伸の流れに乗れず続落、為替円高が重しとなり外需株を中心に下落しました。決算を嫌気されたファーストリテイリング(9983)が▲8%の大幅安となり、わずか1社で日経平均を▲217円押し下げたほか、為替円高が逆風となる自動車関連株の下落も目立ちました。リクルートHD(6098)やエムスリー(2413)といった内需グロース株がやや大きめの下落、日本の金利上昇が嫌気された不動産株も下値拡大の動きでした。
一方、金利上昇が追い風となる銀行株は軒並み上昇、メガバンクはじめ地銀株の一角には+5%超の大幅逆行高を見せる銘柄が続々。また、台湾TSMCの日本進出に追加工場建設の材料などを手がかりに半導体株が買われ、東京エレクトロン(8035)は+3%の大幅高、アドバンテスト(6857)もこれに続き日経平均を下支えした格好です。
日経平均は寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)などの下げに引っ張られたものの、TOPIXは銀行・保険・証券など金融株加えて鉄鋼、商社、機械などのセクターが逆行高したことで下げ渋り、序盤はプラス圏で推移する場面もありました。ただ、相対的に堅調だったマザーズなども反落しており、地合い悪化で下押しされる銘柄が多かったとみられます。
【米国株概況】
米銀決算を皮切りに決算シーズン本格化、高まる米経済の軟着陸期待と政治・財政リスク
NYダウ 34302.61(+0.33%)[33,915~34,342]
S&P500 3999.09(+0.40%)[3,947~4,003]
NASDAQ 11079.16(+0.71%)[10,900~11,084]
ダウ輸送株 14364.4(▲0.27%)[14,240~14,383]
半導体SOX 2800.7(+0.39%)[2,753~2,802]
日経平均先物(CME) 25,790(▲1.11%)[25,670~26,355]
ドル/円 127.46~129.43(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)【安値更新】
日10年債利回り 0.507%(高値0.553%:1/12、安値0.131%:3/6)【高値更新】
米10年債利回り 3.498%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 80.07(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1923.35(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.2175(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)18.35(高値37.79:2/24)
SKEW指数 121.70(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 63(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)76.64(安値70.30:10/13)
米国市場は金融株の決算発表を皮切りに10-12月期の決算シーズンを迎えました。大手銀行株の金利収入が大幅に増加して市場の利益予想を上回ったところが続出、その一方で将来の景気後退懸念への備えとして貸倒引当金を大幅に積み増したことが売りを誘い大幅安でスタート。しかしながら景気後退はそこまで深くならず、米経済のソフトランディングシナリオでは売られ過ぎとの見方が支配的となり一転して買戻しの動きへと急反転。
NYダウは序盤に▲274ドル安のところから切り返して終盤には152ドル高まで上昇、S&Pやナスダックもそろって反転上昇し、終わってみれば主要株式3指数が続伸となりました。株価とともに米金利も終盤にかけて上昇しましたが、ミシガン大学が発表した1月の1年先期待インフレ率速報値は4.0%と3カ月連続で低下し、インフレ軟化による米利上げ鈍化期待によりナスダックなどもしっかりの動きとなりました。
他方で米利上げ政策の軟化をうけた米ドルは大きく売られ、ドルインデックスは102pt台へと急反落。ドル建ての資産価格が上昇して原油や金、銅といった商品市況が大きく続伸の動きとなったほか、ビットコインなど仮想通貨市場でもFTX問題を発端とした信用懸念をはねのけて大幅反発の動きがみられています。
今晩はキング牧師誕生記念日で米国市場は休場となるため3連休前の持ち高整理として、売り方が買戻しを進めた側面もあるかと思われますが、米国ではインフレ鈍化と労働市場が依然堅調であることをうけて景気後退は回避できるとの見方が強まっています。これに関してはイエレン米財務長官もソフトランディングに自信を覗かせており、それと引き換えに米国財政の債務上限問題について言及しています。
◆米経済は軟着陸に移行、低失業率とインフレ抑制に自信=財務長官(2023/1/14)
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-yellen-idJPL6N33Y0B3
◆イエレン米財務長官、デフォルト回避へ19日から特別措置講じる意向(2023/1/14)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-13/ROFP5FT0AFB401?srnd=cojp-v2
米国内ではウクライナ支援に傾倒するバイデン米政権の方針に米共和党が難色を示しており、足元ではバイデン米大統領の機密文書保持が相次いで発覚するなど米議会を中心に政治リスクが高まる事態となっています。米経済がソフトランディングできるかはまさにこれから本格化してくる米企業の算で占われる面があります。しかし、米国株に関してはある程度の業績悪化を織り込みつつ、むしろ米金融政策にらみで売り方の買戻しを誘発するか次第と言えるでしょう。
【日本株投資戦略】
為替円高が一段と加速、今週の日銀会合に注目すべき点と決算シーズンで企業選別する重要性
日本株は週末の米国市場で一段と為替円高が加速しており、売り物が出てきやすい状況と言えます。ただし、上述したように全面安となっているわけではなく新しい市場環境に対応したポジションのリバランスといった側面が強く出ているため、地合い悪化を深刻にとらえる必要はないとみられます。
とくに今週は17日から18日にかけて日銀金融政策決定会合が予定されており、ここで金融政策修正が行われるかが市場の焦点となっている一方、当局者は12月のサプライズとは裏腹に金融緩和を続けるとの発言を続けています。すでに一旦梯子を外された市場が日銀に対する信認を失っている面は否定できませんが、だからといって急に金融引き締めに舵を切るといったことも考えにくいと言えます。
一部の噂では今回の日銀会合で金利上昇を抑えるYCC(イールドカーブコントロール)を撤廃し、3月か4月の会合では利上げに踏み切るとの見方も浮上しているのですが、足元の市場がそれを前提に動いているのだとしたら日銀が現状維持を決定した場合、株式も債券も為替も相場が逆回転を引き起こします。
昨年の米国株のように利上げ政策は株式市場とりわけ成長期待の大きいグロース株にとっての逆風となるだけでなく、実体経済における景気を冷やす影響が大きく出てきてしまいます。今の日本経済を冷静に俯瞰すれば企業の賃上げもまだ道半ばの状態で日銀が方針転換することは考えられず、せいぜいYCCの上限金利を引き上げるのが精いっぱいと言えるでしょう。
また、日本株の動向においても為替円高が重しとなって株価が下落するという見方は現状否定できませんが、実際に日本市場を牛耳っている海外勢からみればドル建て日経平均は為替で相殺されてほとんど下落していないどころか、むしろ上昇基調にあることが分かります。
日本人投資家にとってみれば日本株は世界株式に出遅れており、逆に海外投資は株価堅調でも為替影響でそれ以上に下落している状況に追い込まれているという状況ですが、為替円高というのは日本人、日本経済にとって輸入物価の下落をもたらし恩恵が大きくなります。いずれそのことを実感する日が訪れるかと思いますが、目先の投資戦略としては海外勢と一緒になって下値を拾うか、まもなく始まる企業決算の本格化を前に本格的な円高環境の到来に向けて厳しく投資先を選別する目を持っておくことが大事と言えるでしょう。
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