【1/10日本市場の確認ポイント】
日経平均 26175.56(+0.78%)[26,132~26,316]
TOPIX   1880.88(+0.27%)[1,879~1,894]
マザーズ 731.41(+1.52%)[727~735]

値上がりセクターTOP5
1.鉄鋼(+2.82%)
2.機械(+2.00%)
3.海運(+2.00%)
4.ガラス・土石(+1.74%)
5.非鉄金属(+1.60%)

値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲1.172%)
2.水産・農林(▲0.93%)
3.サービス(▲0.85%)
4.保険(▲0.75%)
5.銀行(▲0.74%)

 3連休明けの日本株は反発して3日続伸、前週末に発表された米雇用統計やISM非製造業PMIなどの経済指標悪化によって米FRBの金融引き締めに対する警戒感が和らいだことが主因です。米国ハイテク株の買戻しを好感しながら日経平均は26,000円台を回復、マザーズ指数も1/4高値を更新して戻りを試す動きを見せました。

 主力どころでは半導体の東京エレクトロン(8035)を中心に、売り込まれていたグロース株が大きく買い戻されているほか、昨日は景気敏感株の日本製鉄(5401)が高値を更新。売り込まれていたソフトバンクG(9984)やダイキン工業(6367)など日経平均の寄与度が大きい銘柄の上昇も目立ちました。

 一方で、12月に物色が目立っていた銀行株がやや軟化、またディフェンシブ銘柄の一角が売り込まれて悪目立ち。NTT(9432)やKDDI(9433)などの大手通信株をはじめ食料品や医薬品、水産・農林セクターには下値模索の動きがみられる他、東京電力(9501)やリクルートHD(6098)が▲3%超の大幅安となりました。

【米国株概況】
米経済指標悪化を手がかりとしたショートカバー続く、米金融当局者の牽制発言なければ自ずと株高に

NYダウ 33704.10(+0.55%)[33,421~33,726]
S&P500 3919.25(+0.69%)[3,877~3,919]
NASDAQ 10742.63(+1.00%)[10,589~10,743]
ダウ輸送株 14055.6(+0.26%)[13,859~14,066]
半導体SOX 2721.3(+1.29%)[2,663~2,722]
日経平均先物(CME) 26,255(+0.36%)[26,065~26,290]
ドル/円 131.41~132.48(高値151.93:10/21、安値129.77:1/3)
日10年債利回り 0.503%(高値0.503%:1/10、安値0.131%:3/6)【高値更新】
米10年債利回り 3.615%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 74.71(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1881.30(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.0810(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)20.58(高値37.79:2/24)
SKEW指数 114.65(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 50(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)75.71(安値70.30:10/13)

 米国市場は6日の米経済指標悪化を手がかりに大幅反発を見せた後、利益確定の動きを交えながら戻りを試す動きが継続。米金融政策への警戒感が和らいだことをきっかけに米金利低下でハイテク株が買い戻され、主要株価3指数はそろって25日移動平均線を回復しています。

 昨晩はパウエル米FRB議長の発言を警戒した売りで序盤に下げる場面もみられましたが、終盤にかけて再び上値を試す動きを見せて高値をつける展開。金融当局者のタカ派発言さえ気を付ければ、市場は買い安心感が広がりやすいリスク選好ムードにあることを感じさせた内容。

 今週は先日の米雇用統計に続いて米FRBが重視する、物価指標の12月米CPI(消費者物価指数)が控えています。ただし、直近の期待インフレ率低下傾向をふまえれば警戒よりも、売り方の買戻しを誘う一段の反発材料となってもおかしくない状況と言えます。

 米金利の逆イールドが縮小していることや今のところ為替も比較的落ち着いていることなどから株式市場では戻りを試す動きが期待されます。とくに週末の金融株を皮切りに企業決算シーズンに入ってくるため、足元で堅調なNYダウやダウ輸送株平均などにおいて11月高値に迫るような動きが出てくるか注目されます。

【日本株投資戦略】
景気敏感株の見直しで日本株にも戻り本格化の動き、来週の日銀会合までにどこまで上値を試せるかに注目

 日本株も米国株同様に年末年始の下値から戻りを試す展開が続くと予想、今週末に1月限のマイナーSQが控えているものの、足元の需給よりも市場の焦点は来週の日銀金融政策決定会合や企業決算に移っているとみられます。

 足元で懸案だったのは海運株の軟化や半導体株の下値模索の動きでしたが、代表株の日本郵船(9101)や東京エレクトロン(8035)が復調し、この影響はその他の関連株にも広く波及していきます。とくにこの2つのセクターは景気敏感株にとって先導役を務めてきましたので、市場の方向感を探る上でとても重要な存在と言えます。

 日本の産業構造は製造業が中心であるほか、日本株の強弱を示す日経平均にしてもTOPIXにしても景気敏感株の存在感が大きく、これらは世界景気の影響を色濃く受けやすいのが特徴と言えます。足元でこれら景気敏感株が見直されてきていることは株式市場の先行きにとっても明るい材料と言えます。

 とくに10-12月期の決算発表が控えるこの時期、外部環境が悪化しても企業の業績期待が高ければ買い手が押し目買いに動きやすく、相場を下支えしてくれます。最近の日本株を観察するに、米国株ほどには空売りの買戻しで上昇するというパターンにはなりづらくなってきたとみられ、やはり地力で買い上がっていく強さが試されます。

 これまで大量に売り越してきた海外勢が足元ではやはり日本株の優位性に着目し始めている動きは見逃せません。昨日公表された12月第4週分の投資部門別売買状況でも先物こそ売り越しながら現物株は買い越しで、これは昨秋のところでも要所で日本株シフトを強める動きを見せていました。

 前回指摘しましたように、外部環境として厳しい状況にあるはずの中国や欧州が株高になっていて、日本株が低迷したままというのはあり得ません。足元ではようやく米国株も復調してきたところで、米系投資家の懐事情も改善してくるに伴って日本株も自律反発を強めていく展開が期待されます。

 ただし、注意点としては上述したように日銀金融政策決定会合がまもなく控えていますので、問題はやはり為替と株価の関係になります。金融政策が大きく変更されるといった場面では、グローバル投資家のポジションリバランスを生じさせやすくなるとともに、相場の変動もおのずと大きくなります。

 投資家の戻り期待に水を差すわけではありませんが、これまでも解説してきた通り為替と株価の関係性が変わらない限り日本株の上値は限定的と言わざるを得ません。目先の急反発で上値を試した場合でも円高とともに株が売られやすい間は過剰に期待し過ぎない方が無難と言えるでしょう。

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