【12/29日本市場の確認ポイント】
日経平均 26093.67(▲0.94%)[25,953~26,126]
TOPIX   1895.27(▲0.72%)[1,880~1,895]
マザーズ 720.88(+1.37%)[706~721]

値上がりセクターTOP5
1.水産・農林(+0.36%)
2.電気・ガス(+0.29%)
3.不動産(+0.29%)
4.精密機器(+0.13%)
5.石油・石炭(+0.02%)

値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲3.19%)
2.海運(▲2.68%)
3.ゴム(▲2.64%)
4.保険(▲2.34%)
5.食料品(▲2.27%)

 29日の日本株は続落、12月配当落ちの影響も重なり日経平均は一時26,000円割れの場面も見られました。中国のコロナ感染拡大を嫌気した関連株が下落、とくにファーストリテイリング(9983)の下げ幅拡大とともに日経平均が下値誘導される展開。その間に米10年債利回りが低下して為替が円高に振れるなど、前場の株安を助長しました。

 朝方の売り圧力こそ強かったものの、売り一巡後はTOPIXが持ち直したほか新興市場のマザーズも反発、結局はファーストリテイリング(9983)、ソフトバンクG(9984)などの影響が大きい日経平均のアンダーパフォームこそ目立ちましたが、12月配当落ちで急落した銘柄などにも押し目買いが入るなど下げ渋る動きの方が印象的でした。

 特徴的なのは、直近の物色傾向が反転してコロナ感染拡大を嫌気した経済再開銘柄が軒並み下落、海運大手3社も大きめの下落となった一方、売り込まれていた不動産株などには見直し買い、新興市場の逆行高に象徴されるようにネクソン(3659)やサイバーエージェント(4751)といったゲーム株も強い。債券市場では日銀が中期債も対象に加えた臨時オペ実施、さらに来年には2年債にも焦点を当てて短中期債に資金供給するなど、金利抑制を企図している模様。

【米国株概況】
コロナバブルを清算した後も米国株につきまとう試練、忍耐が必要な来年前半に米通貨政策は大転換

NYダウ 33220.80(+1.05%)[33,020~33,293]
S&P500 3849.28(+1.75%)[3,805~3,858]
NASDAQ 10478.09(+2.59%)[10,301~10,502]
ダウ輸送株 13496.2(+1.49%)[13,349~13,583]
半導体SOX 2534.9(+3.32%)[2,485~2,543]
日経平均先物(CME) 26,270(+1.12%)[25,895~26,330]
ドル/円 132.88~134.41(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.442%(高値0.470%:12/20、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.820%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 78.71(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1821.90(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.8293(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)21.44(高値37.79:2/24)
SKEW指数 113.27(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 36(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.57(安値70.30:10/13)

 29日の米国市場は長期金利が低下しハイテクグロース株の買戻しが鮮明、主要株式3指数はいずれも週前半の下落を埋め戻して前週末の水準に往って来いの動きとなりました。ざっくりと言えば、年末薄商いの中で米金融政策や中国コロナ感染拡大などを警戒して過度に売り過ぎたのを修正したという感じでしょうか。

 今年の米国株は空売り勢が主導してコロナバブルを清算した一年でした。反騰局面は空売りの買戻しによる上昇が主で、国際情勢の混乱を背景に象徴的に買われたのはエネルギー株、軍需関連株、ヘルスケア株といった銘柄群でした。

 バイデン米政権のインフレ抑制を目的とした米ドル高政策で米国内の製造業は壊滅的に傷んでおり、来年はこの政策反転で米ドル安へと誘導しながら輸出企業を後押しして立て直しを図ることでしょう。8月に成立させたインフレ抑制法は来年1月からEV購入の税額控除を適用して、米国内の自動車生産を促進させる狙いです。各国からは日本含め不満を訴えていますが、エネルギー価格上昇を再生エネやEV普及で相殺しようとするバイデン政策の是非が問われることになります。

 いずれにしても米国事情をふまえれば、昨日の米ドル安=株高という市場論理はこれまでの強い米ドル政策を転換した先に米国株を下支えする上でも重要な示唆となります。裏を返せば、景気後退で米金利低下の副産物となるような場合の米ドル安は歓迎されず、米国株売りを引き起こしてしまってはバイデン米政権にとって致命的なダメージになりかねないということにもなります。

 これは米国単独の問題ではなく世界の、とりわけ新興国にとって最も重要であり、米ドル建て債務負担を緩和する作用があるからです。インフレ対策で自国通貨を防衛するために外貨準備の体力を奪われた新興国は、財政の信頼が損なわれるや否や信用危機に発展する危険性をはらんでいるため、いくらでも米ドルを刷ってウクライナ支援に回すような基軸通貨国である米国の台所事情とは訳が違うのです。

 よって、米国は自国主義の米ドル高政策を転換してなお経済を回さなければならず、来年は今年以上に難しい綱渡りをしていくことになります。米金融引き締め政策の影響が少なからず米経済を蝕んでいく傍ら、米国株は来年前半の過酷な試練を乗り越えた後も、当局による金融調整の上で一進一退のレンジ相場を強いられることになりそうです。

【日本株投資戦略】
米国時間と日本時間で異なる市場論理、今こそ為替が円高に動く意味を考える

 激動の2022年も本日の大納会をもって幕を閉じますが、年末最後の最後に「掉尾の一振」は実現するか?週初の宣告どおり、やはり週央の12月権利付最終売買、翌日の配当権利落ちのあたりが仕込み好機となりました。大納会はともかく、狙いは新年のご祝儀相場ですが果たして結果はいかに?

 ここで注目されるのは商いの水準ですが、例年よりも年末のボリュームとしては平時と変わらない水準をマークしており、投資家は押し目買いに動いていることが分かります。しかしそれ以上に注視しておくべきなのは為替動向と株価の相関性です。これは何度も指摘してきたことですが、来年の日本株が上がることを期待する上では円高環境で株高という風に市場の解釈が変わってこないと実現しないからです。

 そういう意味では、昨日の日銀発表には大きな意味があります。これまでの長期金利を抑えるために10年物国債を買うだけでなく、短中期債も公開市場操作で資金供給オペをするということは金利市場を完全に日銀支配下に置くことを意味します。これはつまりイールドカーブを順行のまま留め置くのが目的で、仮に世界景気が悪化して日本経済もその煽りを受けようとも長短金利の逆イールドはできるだけ回避するという意思の表れでもあります。

 とくに今年は欧米の金融政策に注目が集まった1年でしたが、来年は周回遅れとなっている日銀の金融政策が市場の関心事になるのは間違いないでしょう。とくに今はまだ政府・日銀・財務省といった当局者たちが日銀政策修正の市場観測を火消ししていますが、来年1月の金融政策決定会合あたりからはその論調も変わり始めてくるかと思います。

 昨晩の米国時間では、リスク回避=安全資産としてのドル買いと解釈されていたこともあり、リスクオンではドル安・株高という論理で動いていました。しかし日本時間では昨日、そして本日も前場の観測では円高=株安の構図となっており、まだ円高=株高との認識にはなっていない模様です。もはや時間の問題になってきていると言えますが、コンピュータ売買のアルゴリズムがそういう風にセットされている以上は日経平均3万円の壁は厚いことに変わりありません。これを打破するには市場論理の変化がどうしても必要になります。 
23年の日本株、「3万円台回復」の声も 米利下げに期待(2022/12/28)

 ですから来年1月は新年のご祝儀相場を期待しながら、上記の為替と株価の相関性に注目しておいてください。海外マネーが日本に流入して円高になる意味が重要です。単にリスクマネーの退避場所なのか、あるいは日本株、日本の不動産買いの原資に使われるのかではだいぶ意味合いが異なります。

 とすれば、もし来年になっても円高=株安の論理が続いているようなら、ご祝儀的な上昇は一過性のものに終わってしまいます。足元で安く仕込めたポジションが長く保有できるものか、あるいは早々に利益確定させる必要が出てくるのかはまさにその一点にかかっていると言っても過言ではないでしょう。

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