【12/23日本市場の確認ポイント】
日経平均 26235.25(▲1.03%)[26,106~26,291]
TOPIX 1897.94(▲0.54%)[1,887~1,899]
マザーズ 707.23(▲2.00%)[707~714]
値上がりセクターTOP5
1.保険(+2.28%)
2.銀行(+2.19%)
3.電気・ガス(+1.82%)
4.その他金融(+0.31%)
5.石油・石炭(+0.16%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲1.89%)
2.非鉄金属(▲1.71%)
3.不動産(▲1.69%)
4.機械(▲1.45%)
5.精密機器(▲1.34%)
23日の日本株は米国のグロース株、半導体株の大幅安が重しとなり反落、日経平均は10/3以来の安値圏に沈みました。日経先物は10/22夜間に26,000円の節目を割り込んでおり、朝方から窓を開けて急落スタートとなりましたが、売り一巡後は下げ渋る動きで、ザラ場中は26,000円を上回って推移しました。
直近の日銀政策修正により為替円高と連動して売り込まれた自動車株や日本金利上昇観測から売られた不動産株などが一旦の下げ止まりを確認、一方で金利上昇による利ザヤ改善で買われた銀行株、保険株などに上昇一服の動きなどもみられました。グロース株売り圧力から東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、さらにエーザイ(4523)などの材料売りで大幅安となる銘柄も目立って日経平均の下落を主導。反対に、足元で攻勢を強める銀行株はじめ電力・ガス株も日本政府のGX推進を評価するなどして材料高、TOPIXも同じく10月以来の安値をマークしたが2日連続で陽線形成と相対的に下げ渋りの動きを見せました。
他方で、新興市場のマザーズは大きめの売り圧力が続いており▲2%安、10/13以来の安値圏で節目の700pt台は維持しているものの、まだ下げ止まりの兆しはありません。日本における金利上昇観測が本格化してきたことでグロース株には逆風と受け止められやすいほか、かねてからのIPOラッシュで市場需給が換金売りによって緩むのは致し方なく、下値模索の展開が続きやすい状況は否めません。
【米国株概況】
米経済指標発表が一巡し3連休前にひとまず小休止、来年のインフレ動向を左右する外部環境にらみでまだまだ神経質な展開続く
NYダウ 33203.93(+0.53%)[32,814~33,226]
S&P500 3844.82(+0.58%)[3,797~3,845]
NASDAQ 10497.86(+0.20%)[10,361~10,514]
ダウ輸送株 13564.8(+1.07%)[13,407~13,586]
半導体SOX 2535.5(+0.09%)[2,490~2,536]
日経平均先物(CME) 26,215(+0.25%)[26,025~26,290]
ドル/円 132.17~133.14(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.371%(高値0.470%:12/20、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.751%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 79.35(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1806.00(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.8130(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)20.87(高値37.79:2/24)
SKEW指数 114.57(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 39(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.39(安値70.30:10/13)
23日の米国市場では、相変わらず米経済指標と米FRBの金融政策を巡り神経質な動きを続けているとみられます。米国株は前日の大幅安時にNYダウが一時32,600ドル近くまで売られた後に切り返し、その多くは売り方の買戻しによる反発に過ぎないものですが、この日も11月米PCE(個人消費支出)価格指数で急落スタートし、朝方の売り一巡後は買戻しから節目の33,000ドルを回復して引けました。
米FRBがインフレ指標として注目する米PCEはある意味、米CPI(消費者物価指数)よりも重要視されるところがあり、とくに変動の大きい食品、エネルギーを除くコア指数が前年比+4.7%と市場予想の+4.6%を上回ったことで、米金融引き締め政策の長期化を市場が織り込む必要があり、足元の急落を演出したものとみられます。
ただし、米金利市場ではやや長短金利の逆イールドが縮小しており、12月ミシガン大1年先期待インフレ率確報値が前月分の4.6%から4.4%に低下、同5年先インフレ率も3.0%から2.9%に低下したことによってインフレ高進懸念は若干緩和したと言えます。
◆1年先の米インフレ期待、21年6月以来の低水準-ミシガン大調査(2022/12/24)
金融引き締め政策の長期化というだけでは足元のグロース株売りは説明つかず、やや行き過ぎた反応にも思えるかもしれませんが、そもそもこの時期特有のアノマリーとしてタックスロス・セリング(節税売り)による市場下押し圧力が強まりやすいことや、例年でも流動性が枯渇しやすい年末相場が米金融当局のQT(量的引き締め)政策によって余計に買い支えるマネーを干上がらせてしまっていることに留意しなければなりません。
ひとまず重要な米経済指標の発表などが一巡してきたことで、足元の売り圧力が収まってくることが期待されるところですが、NYダウとナスダックの水準には大きな違いが生じている点は気がかりになります。米国株と米金利の関係性からバリュエーション調整がある程度進んだ結果とみられる反面、来年の米景気後退シナリオがより正当化されてくる場合には、現在まだ下げ渋っているNYダウにも一段の下値調整余地が意識されやすくなります。
米国株はすでに12月初旬での天井形成したとの見立てから、次の焦点は来年1月の企業決算シーズンに移っていくと同時に、アク抜けを期待するには少なくとも米FRBの利上げ軌道が定まってくる必要があります。ここからしばらくの間は仮に市場が一旦下げ止まったように見えても、決定的な反発材料に欠ける中で外部環境にらみの展開を覚悟しておく必要もあるでしょう。
【日本株投資戦略】
年末の節税売り一巡を見越しながら買い転換の時期、週末にかけて年末株高「掉尾の一振」を期待
日本株は日銀サプライズの影響から為替円高と株安セットの動きが先鋭化、日経平均は12月SQ値27,576円を切れた瞬間から下げ幅を一気に広げる展開となっています。リスク性の高い資産が売られて一見するとリスクオフの動きにも見えなくもないですが、市場物色はきっちりとバリュエーションの選別が行われている模様で、バリュー株は下げないどころか逆行高を見せるなど特色が表れています。
足元で日銀の金融政策転換が意識されて買われる銘柄、売られる銘柄がくっきりと二分されたというのは、来年の相場を見据える上でも重要なヒントになると考えられます。少なくとも来年の相場では日本市場も世界に周回遅れしている金融政策の正常化を前提に進んでいくこととなりますので、今以上にグロース株VSバリュー株の構図に逆転現象が起こり、バリュー株の優位性が際立っていくことは間違いありません。
年末相場も今週で大詰めとなりますが、権利付最終日は12/28ですから実質的にそれまでが節税売りの下押し圧力がかかりやすい時期となります。したがって、今週前半のところではまだ上値の重さが目立つかもしれませんが、12/28を境に株式市場の需給は好転しやすくなってくるとみておくべきでしょう。
つまり、足元で12月上旬のところで利益確定して余力確保しておいた資金は週央から週末にかけて買い向かっていくべきであり、また、空売りポジションなどを持っている投資家はこの週前半のうちに利益確定させて、ドテン買いを検討すべきタイミングを迎えるということになります。
注目しておくべきはやはり為替の動向です。これは何度も指摘してきていることですが、為替と株価の相関関係、つまり連動して動く方向性を見極めていくことがとても重要なことになってきます。いずれ為替円高が日本株にとっての逆風ではなく、追い風となって潮目が変わってくる転換点を捉えておくことが、来年の投資パフォーマンスに大きく関わってくるのです。
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