【12/16日本市場の確認ポイント】
日経平均 27527.12(▲1.87%)[27,488~27,713]
TOPIX   1950.21(▲1.20%)[1,948~1,959]
マザーズ 774.83(▲1.48%)[774~780]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+0.65%)
2.不動産(+0.01%)
3.なし
4.なし
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.非鉄金属(▲2.27%)
2.その他金融(▲2.25%)
3.機械(▲1.81%)
4.電気機器(▲1.79%)
5.紙・パルプ(▲1.67%)

16日の日本株は欧米株の大幅続落を受けて主要3指数が揃って続落、日経平均は寄与度の大きい値がさグロース株の大幅安を受けてTOPIXをアンダーパフォームしました。為替がやや円安に振れたことで海運株の逆行高や自動車株に下げ渋りの動きが見られるも、銀行、不動産、食料品といった内需株に対してエレクトロニクスや精密、電子部品など国際優良株および景気敏感株に強い売り圧力がかかりました。

 日経平均の下落を主導したのはファーストリテイリング(9983)▲3.5%、東京エレクトロン(8035)▲4.5%、ソフトバンクG(9984)▲3.8%といったお馴染みの面々のほか、アドバンテスト(6857)やエムスリー(2413)などの大幅安が響きました。一方で逆行高したのは鉄道株や不動産株、百貨店株など国内の経済再開期待に連なる銘柄群で、異彩を放ったのが海運株と再編思惑の東芝(6502)や刺激材料で物色が集中しやすい中小型株の一部でした。

 新興市場ではこの日3銘柄がIPOで初値が公開価格を上回ったのはうち2銘柄、リベース(5138)は公開価格より2.3倍の初値形成となりましたがその後の売りが嵩み上昇幅の半分を消失する大陰線、一方で吸収金額がやや大きめの中型案件で初値上昇率が控えめだったオープンワーク(5139)は商いを伴って急伸し、最後はストップ高まで買われて引けています。今後もIPOラッシュが続く中で需給が緩みやすい新興市場は相場の強弱感を端的に表すものとして注目しておくべきでしょう。

【米国株概況】
年末ラリー期待剥落で米国株は長く厳しい冬の時期を迎える公算、目先の売り一巡後も米金融政策の重しが続く見込み

NYダウ 32920.46(▲0.85%)[32,654~33,166]
S&P500 3852.36(▲1.11%)[3,827~3,890]
NASDAQ 10705.41(▲0.97%)[10,642~10,833]
ダウ輸送株 13738.0(▲1.09%)[13,644~13,849]
半導体SOX 2636.1(▲0.95%)[2,612~2,670]
日経平均先物(CME) 27,280(▲0.69%)[27,130~27,630]
ドル/円 136.30~138.62(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.245%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.488%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 74.50(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 1803.00(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.7700(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)22.62(高値37.79:2/24)
SKEW指数 120.04(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 42(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.60(安値70.30:10/13)

 米国市場は引き続き米FOMC材料消化や景気後退懸念の織り込みが重しとなって続落の動き、NYダウは3日続落で33,000ドル割れとなったほか一時は550ドル近くまで下げ幅を広げる場面もみられました。米経済指標は12月PMI(購買担当者景気指数)が市場予想を大きく下回る数値が発表され、景況感の悪化が意識されたほか金融当局者によるタカ派発言などが重なり、幅広い銘柄が売られる中で最も注目されたのは何かと話題株のテスラが▲4.7%安で年安値更新したことです。

 米金利の動向も含めて米景気後退懸念が意識されていることは否定できませんが、実際の物色内容では建機大手のキャタピラーや航空・宇宙関連のボーイング、化学大手のダウなどが逆行高しており、一概に景気敏感株が売られやすいというわけではなく、むしろハイテクグロースのマイクロソフトやアップル、セールスフォースなどの下落が目立っています。また、マクドナルドやナイキ、アメリカン・エキスプレスなど米個人消費の悪化を反映した小売株、ユナイテッドヘルスなどヘルスケア関連や不動産株などに至る内需株全般の軟化が目につくようになっています。

 12月米FOMCでは金融当局のタカ派姿勢が再確認されたことで、米国株にとっては次回2月米FOMCまでの期間は絶えずこの金融政策見通しが重しになりやすい環境が続くとみられます。年末にかけての景気悪化懸念織り込みがどのくらい進展するかにもよりますが、12月前半でだいぶバリュエーションも甘めに意識されてきた分、その反動は大きくなるとみておくべきで、指数で高値調整▲10〜15%程度は想定しておくべきかと思われます。

 ただし、上記の物色傾向をふまえればグロース株中心に資金流出が顕著であることから、やはり米国市場においても米金利水準に関わらずバリュー株VSグロース株でバリュー株の優位性が意識されやすいと言えるでしょう。これはつまり、米金融政策における利上げ環境の長期化観測や今後も一定のペースでQT(量的引き締め)が進められていく市場逆風を無視できない現実を表していると考えられます。

 したがって、次に米国株への期待が復活してくるのは、目先の売り一巡してくるのが来年1月の次回米FOMC前のタイミングです。しかし、本格的に反転上昇というのにはハードルが相当に高く、少なくとも中期的な上昇展望を描けるようになるには来年3月以降の利上げ停止時期が明らかになるタイミングや、どこかで景気悪化の歯止めが必要になって米FRBがQT停止に追い込まれるタイミングまで待つ必要があると言えるでしょう。

【日本株投資戦略】
本格的に売りシグナル点灯の世界株式、日本株では為替動向を意識しながら急落の混乱時が狙い目に

 日本株は為替ドル円の反発などを支えに下げ渋るものの油断大敵、米国はじめ世界景気悪化で米ドルが資金逃避所として買われやすいというのは前回も解説しましたが、それもいつまで続くかは疑問符が付きます。この米ドルが本格的に売られ出してくると、本質的に安全資産として買われやすくなるのは金や日本円、スイスフランなどであり、キャリートレードの巻き戻しも重なって一気に円高や金価格の高騰といった現象が起こりやすくなってきます。

 その時、日本株は為替円高に直面することになり、今までの市場論理にしたがえば為替円高⇒外需企業の業績懸念⇒国際優良株の下落といった市場の動きに結びつきやすいわけですが、一方ではこれまで何度となく説明してきましたように日本企業の円高耐性は強化されているという部分も見逃してはいけません。

 為替が円高に振れることによって、製造業における部材やエネルギーコストの高騰といった負の側面も同時に解消されることが見込まれ、また川上の産業などは十数年ぶりの値上げ攻勢で売上高が伸びてきているため、輸入コスト減少はそのまま利益マージン増加に直結しやすくなるといったポジティブな面が評価されやすくなると考えられるからです。

 市場における年末特有の需給要因は前回も解説しているとおりですので、目先の株価調整は甘んじて受け入れる必要があると思いますが、今のところはまだ想定よりもだいぶ下げ渋っている印象です。ただし、今後売り圧力という水かさが一段と増してきて、ダムが決壊するようになると恐怖にかられた投資家のパニック売りが思わぬ下げ幅を演出するようなことも考えられますので、今週から来週にかけてのところでは十分に警戒しておいた方が良いでしょう。

 目先の下落局面でもし逆張り戦略を考えるのであれば、日経VIの20pt超えや騰落レシオ(25日)の70pt台突入、新安値銘柄数が3桁を記録する場面なども目安になるかと思います。とくに世界全体で戦争やら反政府運動などの革命騒ぎやらがあちこちで展開されるようになっていますので、きな臭いニュースなどが出てきたところが買い場として狙っておくのがよいでしょう。

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