イチから考えるお金のこと
ー立ち止まって考えたいインフレ対応策ー
第31回のまねまねコラムは、これまで学んできたお金の歴史や投資にまつわる知識をふまえながら、この先の人生に活かしていくためにも私たちが置かれている現状を正しく認識すること、今しておくべきことなどについて述べていきたいと思います。知識はただ学ぶだけでは宝の持ち腐れで、実践で活かされてこそ知恵となって昇華されていきます。
これまでも繰り返し述べてきたことではありますが、日本社会に見を置く私たちにとって今後直面する脅威はインフレの進展、それによって生じる実質賃金の低下、さらには増税および国家財政の危機といった中で、実生活レベルにおいても食料品やエネルギー価格高騰に伴う家計の圧迫、経済的な困窮だけでなく招来する新たなパンデミックなど、未だ体験し得ない未曾有の混乱を乗り越えていく必要があります。
そこでまず、今求められていることは、国家単位でも個人単位でも経済的、そして精神的な自立です。グローバリゼーションの進展によってもたらされた過度な相互依存や、行き過ぎた金融資本主義によってもたらされた格差社会といったものが急速に見直されていく中で、今起きていることは世界レベルでは軍事的・経済的な面で米国依存からの脱却、個人レベルでは国家や企業に対する高度依存の解消ということになります。
しかし、概念的なことばかり並べても実際にどう対処していくべきか分かりにくいかと思いますので、一つ一つ問題を解決していくために考えなくてはいけないことを整理していこうと思います。
歴史的なインフレに私たちはどう向き向かうべきなのか
歴史的なインフレと言っても世界と見比べてみれば日本は困難な状況に追い込まれているわけではありません。とりわけ日本はこれまでの「失われた30年」と揶揄されてきた低成長経済の中で、ずっとデフレにさいなまれてきたわけで、現時点における世界的なインフレ環境に直面してもなおインフレ率は世界最低を記録しています。
◆日本はむしろ物価高から取り残された異様な状態-世界の潮流との差で犠牲になっている人がいる-(2022/10/20)
https://toyokeizai.net/articles/-/626045
ですから、私たちがインフレと言われてもピンとこないの...
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