【11/8日本市場の確認ポイント】
日経平均 27872.11(+1.25%)[27,704~27,943]
TOPIX 1957.56(+1.21%)[1,944~1,961]
マザーズ 741.02(+1.09%)[735~741]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+2.34%)
2.鉱業(+2.12%)
3.保険(+2.07%)
4.不動産(+2.00%)
5.化学(+1.97%)
値下がりセクターTOP5
1.空運(▲0.86%)
2.その他金融(▲0.75%)
3.陸運(▲0.23%)
4.なし
5.なし
週明けの日本株は序盤こそ中国のコロナ規制緩和をめぐる疑念からなかなか上値を伸ばすことができなかったものの、売り一巡後は次第に上昇幅を広げる展開。日経平均は一時+400円超の上げ幅となり、その後も中国株の下落などにより上値を抑えられる様子が目立ちましたが、後場はほぼ高値圏で推移しました。
最近の市場で話題独占のレーザーテック(6920)は+7.7%高と急伸、ソフトバンクG(9984)も株価7,000円手前まで上値を伸ばし+5.0%高と年初来高値更新。さらに主力どころの東京エレクトロン(8035)、ソニーG(6758)がともに+3.3%高、アドバンテスト(6857)が+3.0%高と軒並み堅調な動き。個別には決算材料でヤマハ発動機(7272)が+12.8%高、三井化学(4183)が+10.3%高と2ケタ急騰、日立造船(7004)も+9.1%と決算反応の良さも際立った一日でした。
反対に売られたのは、決算材料でNTTデータ(9613)が▲5.6%安と大きく、オリックス(8591)が▲2.9%安のほか百貨店株や鉄道株、空運株が軟調で、ザラ場中の決算発表で三菱商事(8058)や住友商事(8053)などは直近値動きの良さに反して逆行安を強いられました。序盤に大きく買われた川崎汽船(9107)もやや伸び悩んで終了。決算材料が相次ぐ主力銘柄への資金集中でここ最近値動きが冴えなかったマザーズも+1.1%高としっかりの展開でした。
【米国株概況】
米中間選挙に揺れる金融市場、市場乱高下はここから先ますます大きくなると予想
NYダウ 33160.83(+1.02%)[32,831~33,356]
S&P500 3828.11(+0.56%)[3,786~3,859]
NASDAQ 10616.20(+0.49%)[10,472~10,745]
ダウ輸送株 13844.6(+0.77%)[13,690~13,964]
半導体SOX 2503.4(+2.15%)[2,454~2,535]
日経平均先物(CME) 27,880(▲0.04%)[27,625~28,005]
ドル/円 145.32~146.93(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.246%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 4.130%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 88.67(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1715.75(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.6635(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)25.54(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 58(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)72.82(安値70.30:10/13)
米国株は主要株式指数がそろって3日続伸となり、ひと際強いNYダウは戻り高値を更新して33,000ドル台を回復しました。やはり相対的にNYダウの上昇が目立ち、また金価格もにわかに急上昇の動きを見せています。
米長期金利の低下も相まってナスダックやS&Pも堅調でしたが、そのときNYダウは一時33,355ドルまで上値を伸ばす場面があり、3時過ぎ頃から値動きが激しくなりました。NYダウは33,300ドル付近から32,800ドル台まで▲500ドルの値幅で急落し、その後は5:30頃にかけてV字回復と乱高下しています。注目は下振れ時にナスダックやS&Pは瞬間マイナス圏に突入しており、グロース株の不安定な動きは気にしておくべきかもしれません。
基本的に直近の相場では米中間選挙ラリーの色合いが濃い中で、選挙に関し米共和党が議席数確保で優位になれば米民主党が掲げる富裕層増税策や大胆な経済対策といった大きな政策変更の手が封じられることを好感して米国株は買いの構図を作っています。一概にそれだけの理由で片付けることはできないのですが、市場の解説ではそういったものが多く取り上げられているという状況です。
ただ、米共和党が優勢であれば株買いというのは合点がいくところで、根本的に財政規律が緩みやすい米民主党よりも米共和党が優位となれば米金利も低下し、米ドル高政策の転換も促されやすいと言え、米国株にとって追い風となることは間違いないでしょう。
問題はそれがスムーズにいくかどうかの方で、米中間選挙の結果判明から確定に至るまではかなり物議を醸すことになるかもしれません。それがマーケットにおいてポジティブに働くのか、大波乱になるのかを見極めるのが難しい点であり、もし米大統領選挙2020のように不正選挙の疑いが持ち上がったり、あるいはそうした疑惑から選挙票集計機械の信用性といった観点から全て手作業で集計し直しとなる場合などは、米中間選挙というもの自体が長引く恐れがあり得ます。
◆アングル:米投票機メーカー、中間選挙控え右派の陰謀論と格闘(2022/11/7)
◆米中間選挙の票集計巡る訴訟相次ぐ、投票日前日も(2022/11/8)
その他に、足元の注意点としてはこのタイミングで金価格がにわかに急動意してきたことで、これは前回、商品市況が全面高した際に解説した動きとは異なり、商品指数が下落している中でなぜか金価格だけが逆行高している点には注意が必要です。また、仮想通貨(暗号通貨)のビットコインが▲10%超の急落に至っていることから、目先どこかのタイミングで大きな局面転換を示唆している可能性も考慮に入れておくべきと言えます。
よって、米中間選挙ラリーはこの先、マーケットの上昇につれてチキンレースの様相を呈してくるとみられ、いわば昨晩あるいは昨晩以上の高値波乱となっていく可能性は大きく、新規買いのポジションは取りづらくなっていると言えます。むしろ、今後11月中旬から下旬にかけてのところではより一層ボラティリティが拡大していく可能性もあるほか、年末にかけてのところでも年末ラリーへの期待感は薄れているのが実体経済ですので、ポジションは徐々に縮小させていく、具体的には売り上がりの方が望ましい戦略と言えるでしょう。
【日本株投資戦略】
米中間選挙速報で値動きが荒くなることも想定、さらに米中間選挙ラリーが長引く可能性も
日経平均は続伸で28,000円の大台回復が目前、テクニカルではボリンジャーバンド+2σ接近で利食い売りも出やすいところですが、上記レーザーテック(6920)やソフトバンクG(9984)が大商いかつ値幅を伴った上昇で全体を主導し、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1431/値下がり335と堅調です。
先週4日の反落で一息入れたことがかえって余分な過熱感を削ぎ落して好循環を生んでいると言え、新高値・新安値銘柄の数を見ても程よいバランスで上値トライ継続が期待できそうです。やはり先導株比率の高さが目につきますが、景気敏感株を中心に半導体関連などは周辺銘柄にも物色の拡がりが見られており、セクター別にみても幅広く買いが波及しています。
ただし、米中間選挙や米CPIといった一大イベントにより強気ムードの市場に水を差すことへの警戒感も無視できず、今週は上下動が大きくなりやすいことを念頭に置いておく必要があります。それは昨晩の米国市場でもNYダウがいとも簡単に500ドル上下してしまう値動きにも表れており、とくに本日などは米中間選挙の開票速報がヘッドラインで報じられますので、ニュースに振り回されることのないように心の準備が大事です。
おそらく米中間選挙に関しては、米共和党優勢というのが市場でもコンセンサスとなっており、波乱が持ち込まれるとしたら意外に米民主党が健闘した場合でしょう。さらに、米国に限った話ではないですが選挙不正の疑惑を抱える中での選挙結果が速報されても、今日明日で結果判明するとは限らないのが難しいところでしょう。
これはある意味、米中間選挙ラリーが長引く可能性もあると言え、マーケットとしては意外高につながる場合も考えられます。不透明感というのはいわば市場が最も嫌う要因ですが、それは上昇局面においても思惑がプラスに働くことで上値を伸ばすことにつながり、相場が育つといった特徴もあります。
要するに、共和党優勢=買いとか、テクニカルで上値いっぱいだからといって売る、というような相場を決めつけてポジションを取るのはキケンという場面です。戦略的にポジションを調整していくことが大事で、必ずその前に逆の目が出た時にはどうする?といったこともあらかじめ考えながら売買判断を行っていくようにしましょう。
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