【10/28日本市場の確認ポイント】
日経平均 27105.20(▲0.88%)[26,981~27,265]
TOPIX   1899.05(▲0.34%)[1,892~1,908]
マザーズ 745.73(▲0.28%)[742~747]

値上がりセクターTOP5
1.輸送用機器(+0.87%)
2.サービス(+0.41%)
3.陸運(+0.41%)
4.ゴム(+0.37%)
5.保険(+0.32%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲2.62%)
2.精密機器(▲2.17%)
3.鉱業(▲1.77%)
4.非鉄金属(▲1.05%)
5.電気機器(▲1.03%)

 前週末の日本株は上値の重さが意識されて続落し日経27,000円の攻防、一方で押し目買い意欲も高く下値も堅い展開で、決算通過後の半導体株でアドバンテスト(6857)はじめイビデン(4062)や新光電気工業(6967)などが大幅高となって注目を集めました。

 反対に、決算失望のファナック(6954)が▲5.5%、HOYA(7741)が▲4.4%の大幅安、設備投資関連で連想売りの安川電機(6506)も▲3.5%となったほか、アナリストによるレーティング引き下げで川崎汽船(9107)が▲5%など海運株の売りも目立ちました。主力値がさ株のファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン(8035)などの反落もあり、日経平均が押し下げられました。

 前日から大きく売られたデンソー(6902)のザラ場中決算が注目され、9月の自動車生産が部品不足緩和で急速に改善しているトヨタ(7203)が買われるなどして自動車セクターが値上がりトップに浮上、TOPIXも一時前日比プラス圏まで浮上する場面がありました。後場は香港株が再び売られ直して大幅安だったこともふまえれば中国株影響で弱含んだのも仕方ないと言え、米国株のナスダック続落といったグロース株逆風の中でも新興・小型株のマザーズが日経下落に対して相対的に下げ渋るなど、条件悪化の割に底堅い展開だったと言えるでしょう。

【米国株概況】
米経済指標の悪化がインフレ懸念、金融当局の引き締め緩和期待を後押しする好材料に、強烈なショートカバー誘発で米国株大幅高

NYダウ 32861.80(+2.59%)[32,158~32,889]
S&P500 3901.06(+2.46%)[3,808~3,905]
NASDAQ 11102.45(+2.87%)[10,766~11,117]
ダウ輸送株 13575.0(+1.54%)[13,256~13,585]
半導体SOX 2433.7(+3.98%)[2,338~2,436]
日経平均先物(CME) 27,505(+1.83%)[26,970~27,535]
ドル/円 145.98~147.85(高値151.93:10/21、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.239%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 4.010%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 88.38(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1648.30(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.4320(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)25.75(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 61(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.55(安値70.30:10/13)

 米国株は主要株式指数が軒並み大幅反発、ハイテク大手GAFAMの決算売り影響が尾を引く状況の中で、米経済指標が市場予想を下回り、インフレ高進懸念が緩和するとの観測期待からリバーサルの動き。決算通過でアマゾンは大幅安を余儀なくされるも、アップルが+7.6%と急伸、マイクロソフトなども大幅反発してNYダウを押し上げました。

 これでNYダウはハイテク大手の決算売り影響をうけながらも6日続伸、+828ドル高の大幅高となったことに加えて、10月に入ってからのNYダウは結局4週続伸で、10月相場は強いというシーズナリティを見事に体現しました。

 他方、先週派手に売られてきたGAFAMをはじめとしたハイテク株主体のナスダックですが、この週末は全体のショートカバーでようやく素直に上昇し、とくに半導体株への業績懸念織り込みからの反発が強まっています。主力ハイテク株の上昇に目を奪われがちですが、これでシクリカルな銘柄への見直し買いを誘発しており、米景気後退懸念も株価下押し圧力としては完全な払拭はしきれないものの、出口が見え始めてきたと言ってもよいかもしれません。

 また、米経済指標では米FRBが注目するPCE(個人消費支出)価格指数は前年比+5.1%となり、予想の5.2%を下回ったことでインフレ高進への懸念緩和、さらに1年先の期待インフレ率低下も前月より低下したことが決定打となってヘッジファンドなどによるショートカバー(空売りの買戻し)を強烈に促しました。

 これで事実上、米中間選挙ラリー本番といった装いとなり、まだ11月米FOMCを目前に控えてはいるものの、市場織り込みもこれまでの過程で十分に進んでいるとみられることから、引き続きマーケットの上値志向から押し目買いが報われやすい相場環境が作られていると考えてよいでしょう。

【日本株投資戦略】
米ハイテク株の持ち直しで強気相場を再確認、海外株との比較よりも日本株自体の底堅さに注目

 先週の米国株がド派手な決算売りとその後の急反発を横目に見ながら、日本株は中国株の大幅安などにも翻弄され、結局のところは一進一退の動きに終始しました。月末のファンドリバランスも出るとみられる中で、11月上旬の株高期待は継続、単に雰囲気で売られた銘柄などは押し目買い好機を演出しています。

 先週発表の日銀政策はまたしても現状維持を確認、金融緩和姿勢は継続されるとの見方を強めつつ、米中間選挙前の米国株の陰に隠れながら控えめな上昇が続くものとみられます。控えめとは言っても、以前に申し上げた上値抵抗ライン27,600円~700円の抵抗帯を上抜けることができれば、米国株同様にショートカバーを誘発して値がだいぶ軽くなるとみられます。

 外部環境の悪材料を気にしつつも、足元では上述したような半導体株の決算後反応が強気な動きを見れば、シクリカル銘柄全般に見直し買いが波及していく期待感があります。今週も引き続き決算発表が相次ぎますので、決算プレイが活発化しやすいと思われる反面、日本は11/3(木)が祝日休場といった特殊な日柄要因もあります。ちょうど11/1~2の米FOMC明けの重要な場面にあたりますが、マーケットの強気局面は当面続きやすいとみられ、休場明けには一層強含む可能性がありそうです。

 主要企業の決算は今週でヤマ場を迎えますが、以前にも解説しましたとおり業績懸念を織り込みながら下値不安が限定的ならば買いといった相場全体の地合いの強さも目立っています。短期目線の決算プレイはともかくとして、日本企業は為替円安のプラス面、コストアップのマイナス面を差し引きしてみても、業績自体は事前の懸念ほど悪くないという見方から押し目買いが入りやすい環境と言えます。

 どうしても米国株や中国株の動向が気になるかもしれませんが、日本株に対する物色意欲は株価水準の見た目以上に旺盛であるとみられ、売買代金の推移なども確認しながら目先の上昇についていくのが賢明な相場と言えるかと思います。

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