【10/7日本市場の確認ポイント】
日経平均 27116.11(▲0.71%)[26,921~27,198]
TOPIX   1906.80(▲0.82%)[1,896~1,913]
マザーズ 725.23(▲1.36%)[724~732]

値上がりセクターTOP5
1.陸運(+1.11%)
2.空運(+0.64%)
3.なし
4.なし
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲2.07%)
2.保険(▲1.91%)
3.機械(▲1.86%)
4.非鉄金属(▲1.51%)
5.サービス(▲1.26%)

 3連休前に日本株は足元の急ピッチ上昇で持ち高調整売り、日経平均は反落し27,000円をはさんでの攻防とみられるも、次第に押し目買いも入り下落幅を縮小して週末の取引を終えました。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり500/値下がり1254でした。

 値上がりセクターは陸運・空運のみ、旅行・レジャー関連の物色意欲が引き続き強いほか、経済再開期待では決算材料で乃村工芸社(9716)や丹青社(9743)などイベント関連株にも触手が伸びています。また、レーザーテック(6920)や東芝(6502)、業績上方修正のローム(6963)なども逆行高。直近で好決算発表の不二越(6474)など異彩を放つ上昇を見せるものも散見されます。

 やはり物色の二極化が進む気配が濃厚となる中、新興市場でもマイクロ波化学(9227)やリプロセル(4978)、プレイド(4165)などが商いを集めて上昇しており、この日に逆行高を見せるくらいですので今後の動きも注目されます。反対に決算がらみで急落したディスコ(6146)やC&R(4763)などは失望売りでしたが、これらは元々の期待値が高いこともあり調整完了にどれくらい期間を要するのかで地合いの好悪を判断するための目安にもなってくるでしょう。

【米国株概況】
米雇用統計をうけて金融引き締め強化懸念が再燃、S&P500が再び3600pt割れ、ナスダックがついに6月底値を割り込む

NYダウ 29202.88(▲0.32%)[29,010~29,485]
S&P500 3612.39(▲0.75%)[3,588~3,652]
NASDAQ 10542.10(▲1.04%)[10,449~10,669]【安値更新】
ダウ輸送株 12520.2(+0.34%)[12,420~12,596]
半導体SOX 2275.34(▲3.45%)[2,247~2,347]【安値更新】
日経平均先物(CME) 26,665(▲1.61%)[26,485~26,750]
ドル/円 145.23~145.83(高値145.88:9/23、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.244%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.888%(高値4.011%:9/28、安値1.668%:3/7)
WTI原油 90.70(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)
金先物 1674.95(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.4385(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)32.56(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 20(EXTREME FEAR:極度の恐怖)
High Yield Bond (HYG)71.24(安値70.94:10/10)【安値更新】

 米国市場は先週末の9月米雇用統計をうけて米FRBによる金融引き締めを強化するとの警戒感が再燃、米金利も上昇して再び高値圏に舞い戻っており、直近で急激なリバーサルを見せたグロース株がまたしても急落の憂き目をみることとなりました。

 とくに9月末に辛うじて底割れを回避したナスダック総合指数がついに6月安値割れとなったほか、半導体SOX指数も直近9月末につけた年初来安値を再び更新して、業界全体に業績見通し悪化の悲観ムードが広がってきています。
 しかし、半導体関連株に関しては、業績悪化の懸念を織り込めば相場としてようやく一連の下落トレンドに終了の兆しと考えられます。よって、今回の決算シーズンで各企業のガイダンスに軒並み下振れ予想と伝えられれば、ようやく株価底入れが期待できるようになってくると言えます。

 この辺りは米景気をめぐる市場の見方とも一緒で、株価は景気悪化の懸念が徐々に広まっていく中で下落し、実際に実体経済の景気が悪化してくる頃には株価反転の動きとなるのが相場です。景気先行指標の一つである半導体株の底入れはむしろ年末や来年にかけての相場をみる上では歓迎すべきことと言えます。

 また、米株市場での下値不安が拡大している中で、光明の一つがダウ輸送株の下げ渋りがみられることです。上記の定点観測データでは9月中旬ごろから早々に年初来安値を更新する動きを見せていましたが、足元では9/26に底入れとなりNYダウなどの下落に対して一定の耐性をみせています。これは同時に、前回に解説したグロース株売り、バリュー株見直しの市場特色を示すものでもあり、米国株も悲観一色というわけではなくなってきたと言えます。

 米国株の場合は、どうしてもGAFAMや+αのテスラ、エヌビディアなどを加えたハイテクグロース株の比重が高い指数の動きは、米金利の動向に大きく揺さぶられて当然と言えます。これまでに散々これらの銘柄一極集中で吊り上げられてきたわけですから、これらが調整に転じればその分下落も大きくなりがちになるのも納得です。

 とはいえ、米金利も再び米10年債利回りが4.0%付近に接近して、米FRBメンバーらの発言からも来年の利上げ見通しを4.5%にと、ようやくインフレの現実に即して金利上限見通しを引き上げ始めたことから、市場の織り込みも急加速してきたところです。

 正直、この程度で利上げの限界になるとは思っていませんが、4.5%上限で本当に済むのであれば米国株はこのS&P500の3,600ptで下値がある程度固めていく期待が持てるでしょう。ただし、ここからさらに原油価格や穀物価格などが上昇して、年初来高値を更新してくるような動きになるのであれば話は別です。その時にはこの4.5%金利上限の見通しも甘く、来年の期待インフレ率が再び上昇し始めることになるでしょうから、株価ももう一段の下値(以前指摘したS&P500の3,200pt)を覚悟する必要が出てきてしまいます。
 よって、ここから先は米企業の業績悪化の具合と商品市況(原油やガソリン、穀物など)の動向に目を向けつつ、11月上旬の米FOMCまで神経質な闘いが続くことを覚悟しておくべきかと思います。

【日本株投資戦略】
米国株安に連れて日経先物は26,500円割れまで急落、日本株にとっては押し目買い好機

 3連休明けの日本株も先週末の引け後と比べて欧米、中国株の水準低下が著しいために弱含みとなることは避けられないかもしれませんが、おそらく相対的には底堅さを発揮するとみられますので極端なパニック売りなどにはつながらないでしょう。

 むしろこの間で注目されるのは為替市場でドル円が再び145円台後半に差し掛かってきている点であり、前回の日銀・財務省が為替介入した水準と近接しています。ここから146円台へと突入してくるようだと当局の防衛ラインが後退していることに付け入って投機筋が一気に円売りを仕掛けてくる可能性が高まりますので、その時の為替と株価の感応度をよく見ておくことが重要となります。

 もっとも怖いのはイギリスや欧州のように株安・債券安・通貨安のトリプル安となる場合で、各資本市場で一斉に節目を割る動きが生じた場合にはマージンコール発生で、いわば追証売りが至るところで連鎖的なパニック売りを助長させることになるからです。今のところ、そうした兆候はみられておりませんので、足元の株安場面はむしろ押し目買い好機に映るはずです。

 日本株を長年やってきた投資家はどうしても米国株に追従する日本株のイメージが頭にこびりついていますので、米国株が崩れると大変だと思いがちですが、徐々に市場構造は変化してきています。金融当局の政策に違いがあることからも、日本株は今後より世界の株式市場とのデカップリングが際立っていくことになるということを認識し、頭を切り換えておかないと相場を本質的に見誤ることになってしまいます。

 おそらく3連休前に米雇用統計発表後の相場に期待して買い込んだ投資家などは期待が裏目に出て青ざめているかもしれませんが、イベント通過待ちで様子見を決め込んでいた投資家などは一斉に押し目買いに動いてくることでしょう。とはいえ、今週もまだまだ重要な経済指標の発表が米国、中国で予定されていますし、週末には米国の金融株決算、そして中国で共産党大会が開かれる予定となっています。

 したがって、週前半で前のめりに買い向かう投資家が多くみられても、週後半にかけては再び持ち高調整の売り圧力が強まりやすいということも認識しておくべきでしょう。とくに短期筋などは13日の米CPIや14日の消費関連指標および中国の経済指標を狙ってくると考えられますので、買い方としては今週前半あるいは来週明けのところが押し目買いのチャンスとなってきます。

 前回解説した個別銘柄ごとに需給の強弱を認識して売買判断することと、日米ともに決算シーズン入りで企業業績、ミクロデータの方が注目されやすくなっていきますので、市場の物色が局所的になりがちになる点などをおさえて取り組むようにしましょう。米国株の下落をそれほど警戒する必要はありませんので、とにかく個別の需給に着目して弱い銘柄の見切りと、強い銘柄の押し目買いを徹底するようにしましょう。

スタンダード会員へご登録いただくと、1.今後のマーケットについても展望する【先読みの近未来】、2.日々の≪重要ニューストピック≫を厳選して深堀りする【揺れ動く世界情勢の解説】などを加えた内容充実のメールマガジンをお届けします。