【9/27日本市場の確認ポイント】
日経平均 26571.87(+0.53%)[26,523~26,680]
TOPIX 1873.01(+0.47%)[1,870~1,883]
マザーズ 701.27(+1.05%)[695~705]
値上がりセクターTOP5
1.その他製品(+1.49%)
2.食料品(+1.31%)
3.サービス(+1.10%)
4.非鉄金属(+1.08%)
5.空運(+1.04%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲0.85%)
2.鉱業(▲0.68%)
3.不動産(▲0.61%)
4.石油・石炭(▲0.42%)
5.建設(▲0.41%)
米国株が年初来安値を更新、米長期金利が4.0%にも迫ろうかという場面で日本株は意外にも4日ぶりの反発、景気敏感株や主力株の軟調が目立ったものの全体には値上がり1093/値下がり636で、値上がり株が優勢となりました。前日の日経▲722円安が下げ過ぎた反動ともとれますが、その割には力強さに欠けますし、今ひとつ違和感が残るような相場でした。
9月最終週で権利付き売買最終日である28日を前に朝方の寄付直後は商いが低調で、ほぼ様子見ムードでした。売り圧力がさほどでもないと分かってか徐々に押し目買いが入り始め、日経は上昇幅を250円まで拡大しましたが、海運株、エネルギー株、半導体株などの主力どころは冴えず、任天堂(7974)などのその他製品が値上がりセクター上位になりました。
気迷い相場の時には任天堂が買われるのはよくあることですが、米金利一段の上昇に対してグロース株が特段弱い反応を見せたわけでもなく、かと言ってバリュー株が健闘したわけでもありません。コナミ(9766)やカプコン(9697)などゲーム株の強さが目立ち、小型株のクルーズ(2138)やgumi(3903)などのメタバース関連の材料動意に刺激されたというわけではないかもしれませんが、マザーズ指数は700ポイントを回復して引けました。
【米国株概況】
欧米金利急騰で株式、商品が軒並み年初来安値更新、その反面グロース株の下げ渋りで底入れ期待も
NYダウ 29134.99(▲0.42%)[28,958~29,659]【安値更新】
S&P500 3647.29(▲0.21%)[3,623~3,717]【安値更新】
NASDAQ 10829.50(+0.24%)[10,741~11,040]
ダウ輸送株 12130.3(+1.09%)[11,953~12,229]【安値更新】
半導体SOX 2398.0(+1.04%)[2,362~2,435]
日経平均先物(CME) 26,185(▲0.51%)[26,045~26,450]
ドル/円 144.06~144.91(高値145.88:9/23、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.246%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.949%(高値3.992%:9/27、安値1.668%:3/7)【高値更新】
WTI原油 77.96(高値123.68:6/14、安値76.25:9/26)【安値更新】
金先物 1636.50(高値2,085:3/8、安値1,627:9/26)【安値更新】
銅先物 3.2935(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)32.60(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 17(EXTREME FEAR:極度の恐怖)
High Yield Bond (HYG)71.13(安値71.02:9/27)【安値更新】
前回からの欧米市場における金利上昇圧力がさらに強まる中、上記の定点観測では米国株や商品市況も年初来安値を更新する動きが目立っています。米長期金利はついに4.0%目前にまで迫り、イギリスでは4.5%、ドイツでは2.25%、イタリアでは4.79%と実体経済への深刻な影響も懸念される水準まで急上昇し、その一方で、為替市場ではドルインデックスが114.4ポイントと2002年以来の高値をつけてきています。
ただし、前回のところで警戒したよりも金利が一段と上昇を強めた割には株価下落への影響は限定的とみられ、米株ではNYダウ、S&P500が年初来安値を更新しましたが、最も金利上昇に弱いはずのナスダックが6月安値を死守して踏み止まっています。これはかなり意外なことで、もしも現在の市場流動性におけるレベル感ではすでに売り枯れた状態なのであれば、株価下落は当面のところで底入れしたとの可能性も考えられます。
リスク指標ではいまだVIX指数が30ポイント超え、ハイ・イールド社債が安値更新といった状況ではありますが、6月に底入れしたパターンですとこの似たような条件でグロース株が下げ渋ったところから大きく反発に転じました。
また、米長期金利が金融当局の掲げてきた22年末政策金利4.0%にも達してきたというところで株価が下げ渋っている、もっと言えば、先行して下げてきていたダウ輸送株や半導体SOXなどは自律反発しているという事実をふまえますと、9/22配信の【日本株投資戦略(9/22号)】で述べたとおり株価に金利上昇耐性がついてきた可能性も考える必要があるということです。ここでは1970~80年代のインフレ環境で金利上昇と株価上昇が同居した特異な時代があったことについてもふれています。
9/21付での米FRBバランスシートではたしかに6月底値形成時の8.93兆ドルから8.81兆ドルと1000億ドル程度を圧縮したとみられ、しかしこの間にも為替市場で1割以上も米ドル高が進んできましたから実質的な債務負担が軽減されたわけではありません。米ドル建て債務の多い新興国や金融市場、実体経済への圧力は今後も緩和されることなくかかり続けることと思われます。
しかしながら金融市場におけるそもそもの過剰流動性を正常化するためのプロセスという中でみればそれは当然のことで、その代わりに今は金融市場から流出した現金が膨大に積みあがっています。株式市場では次第にバリュエーション調整が進んで、金利上昇が止まってくればまたリスク資産に資金が流入し始めるということを繰り返します。
つまり、米政策金利4.0%という節目で一旦金利上昇に達成感が出てきた場合には、株式市場も自律反発が生じやすくなるというわけです。前回解説しておりますように米中間選挙アノマリーということもふまえて考えますと、今回9月末のところにおける下値余地よりも11月の米FOMCや米中間選挙を経て11月後半の下値余地が深くなることを前提に考えておいた方がよいのかもしれません。
こうした判断の根拠となるのは、やはり米国以上に混乱しているはずの英国、欧州の金融市場では、どういうわけか株式市場にパニック売りのような事態にまでは発展してきませんでした。株式市場がすでに織り込み済みとは考えにくいのですが、需給面でみればやはり歴史的な水準にまでヘッジ需要が盛り上がっていることを鑑みれば、売り方の買戻しも相応に株価下支え要因になるはずです。底入れ判断とするにはまだその可能性がある程度ですが、売り一辺倒への期待値は低下している可能性も考えておいた方がよいでしょう。
【日本株投資戦略】
下値不安拡大の局面でも意外なほど底堅い株式市場、金融危機回避で自律反発の可能性も検討しておきたい
日本株においても足元で200日移動平均線割れから下落が加速しましたが、6月末の日経26,000円付近の水準まで押し戻されてきたことを考えますと、米国株にある程度下値不安が限定的になってきた状況とあわせれば今週末および9月末の時点で下値の限界も決まってくると言ってよいかもしれません。
10月は米FOMCが開催されず次回は11/1~2の予定となり、日銀および欧州ECBは10/27です。一つの可能性として考慮しておきたいのは混乱の渦中にあるイギリスでしょう。英中銀がもし歴史的な英ポンド売り防衛に動いて臨時会合を開くなどした場合には、金融市場に大きなインパクトをもたらすかもしれません。
ただ、そうしたリスクもふまえつつ、日本株は日銀が頑固として金融政策変更はしないということであればいくら単独為替介入しても、株式市場にとっての影響は限定的と言えます。為替は構造要因としてもドル高円安転換が本格化するのは10月中旬、11月中旬と段階を追ってテコ入れされていくことになるかと思われます。
そこで足元の日本株においては、9/26に新安値銘柄数が150を超えたのは6/20以来でしたが、翌27日は84と半減しています。9月残りの立会日は、本日が9月権利付き最終売買日で、9/29が権利落ち日、そして9/30が月末のファンドリバランスおよび10月の日経採用入れ替えに伴う特殊需給が発生と、商いが膨らみやすい重要な局面です。ここで仮に新安値銘柄数が減少していくようであれば、6月安値形成時と同様に底入れ期待が高まっても不思議ではないと言えます。
反対に、商いが膨らんでいる上で下値を掘り下げていくような動きがみられれば、10月相場も多くは期待できないことになると思われます。したがって、9/30に向けてはまず空売りポジションなどがあればそれを買い戻す時期、買い方として押し目買いを狙うのであれば9/29の権利落ち分を月末までにどれだけ埋め戻せるかを見極めて動く必要があると思います。
9月の権利落ち分は日経で220~230円程度とみられますので、まずは目先26,000円の防衛ラインの攻防で権利落ち分を加味して25,750円付近で下値確定することができるかどうかが重要です。9月末は機関投資家のファンドマネージャーなども四半期成績で空売りポジションはある程度利食いしてくるとも考えられますので、やはり一時的に26,000円割れがみられたとしても30日引け後には26,000円台を回復していることが望ましい展開と言えるでしょう。
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