【9/15日本市場の確認ポイント】
日経平均 27875.91(+0.21%)[27,801~27,946]
TOPIX 1950.43(+0.15%)[1,946~1,954]
マザーズ 751.08(+0.93%)[746~756]
値上がりセクターTOP5
1.空運(+1.77%)
2.不動産(+1.49%)
3.陸運(+1.08%)
4.その他製品(+0.88%)
5.保険(+0.83%)
値下がりセクターTOP5
1.鉄鋼(▲1.44%)
2.精密機器(▲0.82%)
3.非鉄金属(▲0.79%)
4.倉庫・運輸(▲0.77%)
5.紙・パルプ(▲0.76%)
日本市場は急落後の戻りに精彩を欠いて小幅高、25日線割れを回避した新興マザーズ指数のみが比較的しっかりした戻りを見せました。引き続きアフターコロナ期待でインバウンド需要増を見込む旅行・レジャー関連で空運株のJAL(9201)・ANA(9202)やJR・私鉄など陸運株もしっかり、コーセー(4922)やマツキヨココカラ(3088)などの化粧品・ドラッグストア株などの一角が新高値を更新しました。
一方で、鉄鋼や半導体関連、素材などがやや弱含んできており、景気敏感株は軟調な展開。需給が良好な小型株やテーマ・材料株には局所的に物色意欲が旺盛なところがみられるものの、上値の重さが目立つようになっています。
為替の円安恩恵で上昇してきたような輸出関連株も例外ではなく、来週に日米英の中央銀行による金融政策決定会合が集中するほか、シルバーウィークで立会日が3日間と限定される特異スケジュールとも相まって、様子見ムードが強まりそうです。もっとも3連休前後で市場の商いが細る場面においては仕掛け売りも警戒され、それは株式市場だけでなく金利や為替の動向にも注目しておくべきでしょう。
【米国株概況】
米国株の下値不安が拡大、米金利上昇懸念と先行指標悪化で下値模索の展開続く
NYダウ 30961.82(▲0.55%)[30,882~31,277]
S&P500 3901.35(▲1.13%)[3,888~3,959]
NASDAQ 11552.36(▲1.42%%)[11,497~11,760]
ダウ輸送株 13510.7(▲1.06%)[13,450~13,779]
半導体SOX 2549.5(▲1.62%)[2,530~2,601]
日経平均先物(CME) 27,480(▲0.72%)[27,440~27,795]
ドル/円 142.77~143.80(高値145.00:9/7、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.250%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.449%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 84.62(高値123.68:6/14、安値81.20:9/8)
金先物 1672.50(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.4690(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)26.27(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 40(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.95(安値72.92:6/13)
米国市場は8月CPIショック後の後遺症が続く中で、先行指標のダウ輸送株や半導体SOX指数に直近安値を割り込む動きがみられています。目前に控えた9月米FOMCでの大幅利上げ幅が0.75~1.00%に上振れする観測も広がるなど、米金利はさらに逆イールド現象が深化しています。
◆米2年債と30年債の逆イールド、一時33bp強に拡大-今世紀最大(2022/9/15)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-14/RI7UUSDWX2Q501
米国の金融政策をめぐっては当局者たちがブラックアウト期間で発言が控えられる中、政策金利の誘導目標が4%超に広がるとの見方も台頭し、債券王の異名をもつレイ・ダリオ氏などは金利が4.5%に達する可能性とともに警鐘を鳴らしています。
◆レイ・ダリオ氏、金利が4.5%に達すれば株価は20%近く下落と予想(2022/9/15)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-14/RI7W36DWX2PS01?srnd=cojp-v2
また、足元では天然ガス価格が下落してインフレピークアウト期待を醸成していましたが、再び急騰・急落して商品市況が乱高下する状況となっており、先行きのインフレ見通しにも暗い影を落としています。米国では国内貨物輸送の3分の1を占めると言われる鉄道輸送がストライキで混乱に陥る可能性が取り沙汰されており、サプライチェーンへの大打撃に加えて労働者の退職などから米雇用の悪化などにつながる恐れも警戒されています。
◆米鉄道のストライキ突入警戒し商品市場が動揺、天然ガス先物急騰(2022/9/15)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-14/RI7WZVDWX2PU01?srnd=cojp-v2
◆アムトラック、長距離路線の運行を15日から全てキャンセル(2022/9/15)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-14/RI7QOCDWLU6N01
【日本株投資戦略】
ショック安後の下値不安は限定的ながらも、市場逆風の悪材料が次々と投入される展開
日本市場は週初における指数反発から暗転して再び25日移動平均線線を下回る動きとなっていますが、個別でみると急落の影響はさほど感じられません。とくにリスクへの感応度が高い小型株にいたっては物色が活発に行われており、信用評価損益率も▲10%以下で投資家の懐具合には余裕があるように見受けられます。
事実、米国よりも底堅い動きが続いており、日銀も金融緩和政策を継続していますので、この絶大なる信頼感が個人投資家に強気な姿勢をもたらしていると言えそうですが、債券市場ではじわじわと日本10年国債の利回りが上昇し、再びYCC(イールドカーブコントロール)の上限0.25%に到達してきました。
さらに、日銀の指値オペで買入対象に入っていない銘柄には売り圧力が膨らんで、年限が短いにもかかわらず利回りが高くなる逆イールド現象がみられ始めており、上記の日銀神話にも暗雲が立ち込める状況となってきました。
◆長期金利、日銀「上限」に到達 6月17日以来(2022/9/14)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB291070Z20C22A8000000/
◆長期国債で利回り逆転現象、残存9年債がYCC上限超え0.26%に上昇(2022/9/15)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-15/RI6MYHDWRGG001?srnd=cojp-v2
ここでようやく財務省もインフレ対策に重い腰をあげて、輸入物価上昇を抑えるために為替の円安対応として為替介入を匂わせ始めましたが、まだまだ実行性の疑わしさから為替市場への影響は限定的とみられています。ただし、足元の貿易赤字はコロナワクチン購入やら高止まりしているエネルギー・資源の購入などで過去最大に膨らんでおり、日本の輸出産業だけではとてもまかないきれなくなっています。
◆日銀が「レートチェック」 為替介入の準備か(2022/9/14)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB144B50U2A910C2000000/
◆鈴木財務相、為替介入「やるときは間髪入れず瞬時に」(2022/9/14)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA14ACJ0U2A910C2000000/
◆貿易赤字8月は過去最大、円安などで輸入増 赤字は継続見通し(2022/9/15)
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N30M02F?il=0
ようやく製造業におけるサプライチェーン混乱の影響が緩和してきたところであるのに、中国ではコロナ規制強化、米国では鉄道輸送がストライキで物流がストップする事態で、これらの影響が長引いてしまいますと再び供給制約の問題が経済の下押し要因となってしまいかねません。
◆日銀、9月の景気判断7カ月連続据え置き 生産は上方修正(2022/9/13)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC126WV0S2A910C2000000/
日本市場は来週に3連休が2回ある影響から市場立会日はわずか3日間に限定されますので、安易に動きづらいほか、売り仕掛けが入りやすくなることにも注意しておかなければなりません。しかも、前半の3連休はエリザベス英女王の国葬で世界の関心はイギリスに目が向けられる一方、国連総会で岸田首相が演説を予定しています。このときNY証券取引所でも「インベスト・イン・キシダ」の演説が行われるはずです。
ちょうど昨年の9月に岸田政権誕生とともに日本株がコロナショック後の天井を形成し、岸田ショックなどと揶揄されたのが思い起こされます。今回はその時の雪辱を晴らして日本株が再び世界の投資家を呼び込む転換点にすることができるのか注目でしょう。
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