【9/9日本市場の確認ポイント】
日経平均 28214.75(+0.53%)[28,091~28,286]
TOPIX 1965.53(+0.40%)[1,957~1,969]
マザーズ 741.32(+2.42%)[730~743]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+2.86%)
2.電気・ガス(+1.50%)
3.不動産(+1.18%)
4.鉱業(+1.13%)
5.サービス(+1.09%)
値下がりセクターTOP5
1.空運(▲0.72%)
2.ゴム(▲0.68%)
3.精密機器(▲0.32%)
4.陸運(▲0.20%)
5.小売(▲0.06%)
日本市場は朝方に9月SQ(先物・オプション清算)を28,253円で清算した後、やや弱含みとなったものの日経・TOPIXともに前日比プラス圏を維持し、後場はほぼ膠着状態となりました。為替ドル円が昼過ぎに黒田日銀総裁の発言があり急速に円高方向に振れたものの、株式市場全体への影響はみられませんでした。とくに新興グロース株が強含みで推移し、マザーズ指数は+2.42%と大幅高になっています。
日経平均は前日のショートカバーから続伸するグロース株を中心に反発、東京エレクトロン(8035)をはじめエムスリー(2413)、塩野義製薬(4507)などのほか、海運大手3社が徐々に強含み、そのまま値上がりセクタートップまで上り詰めました。一方で、JRの鉄道株や空運株が軟調で、さらに自動車株が弱含みであった点にはやや円高が影響したのか逆行安した形です。
新興市場は直近の物色意欲が旺盛なプレイド(4165)やプレミアアンチエイジング(4934)などが時価総額の半分近い商いを集めながらストップ高まで買われたほか、直近IPOのM&A総合研究所(9552)なども上昇チャネルラインを維持しています。市場全体の新高値銘柄数も100を超えて8月中旬以来の高水準となっています。
【米国株概況】
改めて注目される今週の米経済指標、米経済ソフトランディング期待は信用できるのか
NYダウ 32151.71(+1.19%)[31,876~32,227]
S&P500 4067.36(+1.53%)[4,022~4,076]
NASDAQ 12112.31(+2.11%)[11,958~12,132]
ダウ輸送株 14060.9(+2.44%)[13,805~14,078]
半導体SOX 2721.8(+2.39%)[2,693~2,732]
日経平均先物(CME) 28,195(+0.70%)[27,855~28,205]
ドル/円 141.52~144.11(高値145.00:9/7、安値113.48:1/14)
日10年債利回り 0.246%(高値0.268%:6/17、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.315%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 86.10(高値123.68:6/14、安値81.20:9/8)
金先物 1727.60(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.5550(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)29.23(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 45(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)75.81(安値72.92:6/13)
米国株は欧州株の反発にNYダウ先物が連れ高し、寄付きから窓開け上昇して始まり終日堅調に推移しました。主要株式3指数はそろって3日続伸、好悪需給の分かれ目となる75日線を再び上抜けてきました。
前回お伝えしたパウエル米FRB議長による米経済のソフトランディング期待を背景に、商いは低調ながらナスダックは+2%超の大幅高、さらに景気の先行指標とされるダウ輸送株も+2%超の大幅高となっており、売り方による買戻し需要の多さが窺えます。
8月中旬の高値34,000から約3000ドル下落したNYダウはこれでほぼ3分の1戻しとなりました。注目は75日線ブレイクですが、それよりも9/2の米雇用統計発表時の高値を上抜けてきたことです。この週末から金融当局は9月米FOMCのブラックアウト期間(FRBメンバーの金融政策発言控え)に入りました。直近で米雇用をふまえてのパウエル米FRB議長発言で市場に期待を抱かせたまま口を閉ざすことになりますので、その余韻だけでもう一段の戻り余地を試しにいくこともあり得るでしょう。
ただし、米金融政策をめぐっては今週13日の8月CPI(米消費者物価)と14日の8月PPI(生産者物価)、15日に8月小売売上高、16日に9月米ミシガン大消費者信頼感指数がずらりと控え、米国のインフレと個人消費に関する経済指標ですから、米景気がソフトランディングできるかどうかの答え合わせを一つ一つ(思惑含みで)こなしていく必要があります。
米国株そして米ドルと原油相場の動向から今後の展開は大きく左右されることになるかと思いますが、やや専門的になりますので【先読みの近未来(スタンダード会員以上の方対象)】で詳述します。
【日本株投資戦略】
戻りのメド達成から一段高に期待も、行く手を阻む海外勢のドカ売りスタンスを確認
前回のパウエル米FRB議長発言を取り上げたところから見ますと、世界の株式市場は日米だけでなく欧州も中国も週末にかけて一斉株高になりました。完全にアク抜けしたとは言えない中で少し出来すぎのような気もしますが、何はともあれ日経平均は前回述べた戻りメドである25日線の28,250円付近にタッチしました。
今年の3/9年初来安値からちょうど半年が経過して絶対期日とぶつかったところですが、この期間における移動平均線を営業日ベースの125日で算出しますと、27,200円で上向いています。当然ながら需給面では買い方有利の状況にあるわけですが、これまでの上昇局面を振り返りますとやはり売り方が主導権を握っている印象が否めません。
これは日米の株式市場に共通して言えることですが、やはり波乱要因が次々と持ち込まれてきますので、相場が上昇すれば下落をヘッジする需要が高まり、反対に下落すればしたでヘッジを外すカバーが入ります。上にも下にも突き抜けることができないまま、往ったり来たりを繰り返して煮え切らない上に、アク抜けもなかなかしない難しい相場つきになっているのが現状です。
しかし、いつまでもこのまま一進一退が続くかと言えば、そういう状況でもなくなってきています。前回の【先読みの近未来(9/9号)-永久保存版-】では詳しく解説しましたが、計ったようなタイミングで為替相場の変調も始まり、今週からは金融占星術でいう水星の逆行期間入りの影響が出始めます。相場の乱高下には注意したいところです。
そこで、現状における日米のファンダメンタルや他市場の動向などはこの際置いておいて、需給面にだけ着目してみます。最新の8/29-9/2における投資部門別の取引状況をみますと、海外勢は現物・先物で▲1兆円超えと大量に売り越しており、その前週8/22-8/26からは2週連続で売り越しで計▲1.5兆円超えです。この内の一部が買戻しに回るだけで市場を持ち上げることは容易と言えるでしょう。今年の累計では未だ▲2兆円強の売り越しで、先物をロールしているかどうかは別としても、依然として日本株を売り叩いていると言えます。
今年は11月に米中間選挙やG20など重要イベントも控えており、年末ラリーのアノマリー前にアク抜けがほしいところですが、上昇する前には下落を期待しているというのが海外勢の手口に表れているのかもしれません。それが前のめりに売り過ぎて皮肉にも世界株を底堅く見せている要因ということでしょうか。
足元の相場では3月や6月の底入れ時のように政策的な後押しが期待されるところです。欧州などはすでに手遅れなまでに状況が悪化してやむなく対策を講じるみたいですが、どの政府も物価高対策がやっとで、大規模な財政出動に踏み切る余裕は無さそうです。日本政府も大型経済対策を用意すると謳っていますが、物価対策の3兆円では対症療法なだけで、国力アップの成長促進には結びついてきません。今は攻めよりも守り優先といった段階なのでしょう。
安倍元首相の国葬やエリザベス英女王も国葬が行われると各国要人は大忙しですので、マーケットどころではなく政治空白が生まれます。ただ、これは世界の注目を集める大イベントですし、岸田首相は9月下旬にNY証券取引所で演説を行う予定ですから、買い場はむしろイベント後で日本株に期待できるのは今ではなくもう少し先ということになるでしょう。
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